今、福岡市は全国で最も人口増加率が高くなり、交流人口も増加し、国際会議の開催件数は全国の政令指定都市で第1位となりました。

新たな企業の開業率も税収の伸び率も第1位となりましたし、クルーズ船の寄港数も横浜を抜いて日本一になりました。

ホテルの稼働率も84%となり、12年前に11.4%だったオフィス空室率も1.5%まで下がり企業が借りられるスペースも極端に足りなくなりました。

そこで福岡市では九州を代表する繁華街として有名な天神地区において、規制緩和によって民間資金を最大限活用しながら、10年で30棟のビルを生まれ変わらせる「天神ビッグバン」(=大規模な再開発計画)に着手しました。

天神ビッグバンは「天神」をアジアの拠点都市にすることを目指し、天神交差点を中心に半径500mのエリア(約80ヘクタール)を再開発・整備を進める計画です。

福岡市は福岡空港に近いため、航空法により建物の高さを67メートルとする制限がありました。

しかし、2014年に国家戦略特区に認定されたことにより、天神ビッグバン開発対象範囲の一部エリアに限り高さを100m~115mまでにする規制緩和がおこなわれました。

その結果、2015年2月~2021年2月の時点で老朽化の進んでいたビルなどの建築確認の申請が計画を上回る52棟に上り、
2021年9月末時点で建て替えが完了したのは43棟になりました。

さらに、100m近い高層ビルの建設も進んでいます。

天神地区を訪れてみますと、中心地に次々と新しいビルが建て替えられている様子で、それまで複数に別れていたものを一体的にまとめ、日本最大規模の免震構造を持つ天神ビジネスセンターの登場していたり、
小学校跡地に有名ホテルのリッツ・カールトンが開業間近となっていたりしました。



これらの政策により政令指定都市で唯一連続税収が過去最高を更新しており、地価上昇率は東京都や大阪府の倍近くにもなっています。

市が税金によって中心地の再開発を行うのではなく、規制緩和で民間投資を呼び込む手法によって、民間には利益がもたらされ、行政は可能な限り税金投入を抑え、

災害に強く、快適で活力溢れるまちづくりを実現している姿は、中心市街地の再開発を控えている町田にとって大変参考になる好事例だと感じました。