先日、町田市議会 建設常任委員会で、鹿児島市「加冶屋まちの杜公園ParkーP F I事業について」調査するため、鹿児島市役所を訪れ、視察させていただきました。

 

 

近年、我が国では厳しい財政制約の中での社会資本の効率的な整備、老朽化した施設の適切なメンテナンスが課題となっており、

都市全体の戦略的かつ効率的な維持管理が課題となっています。

都市全体が様々な課題に直面する一方で、都市の貴重な環境基盤である「緑とオープンスペース」も同様に様々な課題に直面しています。

 

少子高齢化や人口減少など、都市を取り巻く社会状況の大きな変化を踏まえ、緑とオープンスペース政策は、そのポテンシャルを都市のため、地域のため、市民のために最大限引き出すことを重視するステージへの移行が求められています。

 

緑とオープンスペースである公園は、管理者である市の財政負担を軽減しつつ、都市・地域・市民のため公園の「質」や「役割」を最大限引き出すステージへの移行が求められており、

ParkーP FI制度を導入し公園管理をする自治体が出てきました。

 

「Park-PFI制度」とは、民間資金を活用した新たな整備・管理手法のことで、公園に施設を設置して運営する民間事業者を公募によって選定する制度で、

 

公園に民間の優良な投資を誘導し、管理者の財政負担を軽減しつつ公園の「質」や「利便性」を向上させることが目的の制度です。

 

この度、視察させていただいた鹿児島市「加冶屋まちの杜公園」は元々、市立病院があり、公共施設の集約の一環で移転した市立病院の跡地利用で都市公園となりました。

 

 

整備方針は

 

①市民が憩い、潤いと安らぎを感じることができる「都市の杜」を創出する。

 

②近接する甲突川左岸緑地との連たん性等を考慮し、中心市街地における花と緑の回廊をつくり、回遊性の向上を図る。

 

③利便性の高い立地条件を生かした交流拠点をつくる。

 

整備費 約6億円

総面積 1、37ヘクタール

 

広大な都市公園の「加冶屋まちの杜公園」は、ユニバーサルデザインに配慮した「ふれあいの庭」、

姉妹都市の樹木を植樹した「風の丘」、

 

大型遊具が揃う「みんなの原っぱ」、

 

 

3歳児以下の幼児が安全に遊べる「すくすく広場」、

 

市民病院跡地であった歴史を留める「育みの並木」、

防災拠点としても活用される「交流広場」、

四季折々の花を楽しめる「花のプロムナード」、

多様な使い道を提供する「創作広場」、

直線的な並木で街の爽快感を表す「緑のプロムナード」、

民間活力が導入されたレストランカフェ「ブラックスミス」、

 

 

都市の杜を表現するアコウのシンボルツリー、

 

 

夜間ライトアップされる銀杏並木など多彩なコンセプトで彩られており、

 

鹿児島市の中心市街地において潤いと安らぎを感じることができる都市の杜が創出されており、市民や訪れた方々が回遊性を楽しめる都市空間づくりは鹿児島市の新たな魅力の創出に一役買っていました。

 

今回注目したのは公園内1670㎡の公募対象公園施設としての民間活力エリアです。

 

公園の魅力向上や市の財政負担軽減を目的に、公園整備に民間活力を導入し、民間事業者によるレストランカフェやイベントによる賑わいの創出がなされていました。

 

公園は法律の縛りによりこれまで民間事業者の参入ができないエリアでしたが、

「加冶屋まちの杜公園」では新たにPark-PFI制度を活用することにより、公園内に民間の力でレストランカフェと駐車場、広場、植栽を整備・出店しました。

 

 

 

公募によって選定された民間事業者は、飲食・物販等の収益施設及び駐車場、広場・植栽等の公園施設の整備と管理運営が任されており、

 

民間事業者の責務は土地の賃借料として年間50万円を支払う、毎日の公園全域のごみ拾い清掃とのことでした。

 

事業コンセプトは「市民の誰もが誇りに思える世代も国籍も超えた交流拠点」で、公募によって選定された事業者は鹿児島市の地元企業の株式会社グッドフェローズダイニングです。

 

店舗名は所在地である加治屋町と鍛冶屋をもじって英語の鍛冶屋を表す「ブラックスミス」プレミアムガーデンとなりました。

 

 

 

 

ブラックスミスでは飲食店の通常営業の他に、グランピングやBBQ用品のレンタルをはじめ、ガーデンパーティ、レストランウエディング、石窯を活用したピザ調理体験、レンタルキッチンや料理教室など様々な試みがなされています。

 

民間事業者と連携した公園整備の効果として、中心市街地に多くの市民や来街者に緑豊かな憩いと交流の空間として親しまれ、民間事業者の視点を取り込むことで、公園の新たな魅力を引き出し、回遊性の向上に寄与しています。

 

「加冶屋まちの杜公園ParkーP F I事業」は戦略的かつ効率的な公園の維持管理によって管理者の財政負担を軽減しつつ公園の「質」の向上に寄与するだけではなく、

 

中心市街地に立地する公園全体の価値の向上を図ることにより、都市全体のイメージを向上させ、市民には鹿児島市の住環境としての素晴らしさやシビックプライドを醸成させますし、

 

訪れる人々には鹿児島市の魅力を伝える交流や憩いの空間としてその存在意義を高めているなと感じました。

 

鹿児島市のキャッチコピーは、どこの都市でも見受けられるありふれたものではなく「つながる人・まち 彩りあふれる 躍動都市・かごしま」であり、

 

まさに今回視察させていただいた事業にぴったりと当てはまるなと感じました。

 

町田市でも幾度となくPark-PFI制度の導入が検討されてきましたが、今回の鹿児島市の「加冶屋まちの杜公園」のように公園の一部を民間事業者のビジネス可能エリアに提供し、

 

公園全域の清掃といった日常のメンテナンスもお願いしつつ、公園全体は行政が様々なコンセプトで企画・管理している姿は、今後の町田市の公園管理を考えていくうえで大変参考になりました。