町田市議会で「町内会・自治会について」質問しましたので原稿を投稿します。

 

町内会・自治会は日本の地域社会において他の組織によって代替することのできない重要な役割を担っており、近年その加入率が話題となります。

 

市内の事例を紹介しながら、加入率向上と行政の更なる活動支援を求めて質問しました。

 

 

 

以下質問原稿

 

 

 

 

2021.6一般質問(町内会・自治会) 渡辺 厳太郎

 

(壇上質問) 厳太郎

 

項目番号2「町内会自治会について」(1)現状と今後の方向性について問う。

 

人類は太古の昔から集団生活を営んできました。

 

それは、孤立して生活するよりも集団でお互いに協力して生活する方が食糧の生産や外敵の防衛にも良かったからであり、厳しい自然と向き合いながら共に協力して生きていくことが便利であると同時に人生を楽しむために会得した知恵でした。

 

それらが集まって村落となり一つの町や国が出来上がってきました。

 

明治大正になると、経済の拡大・社会問題の激化にともない国策の徹底を図るために行政補助団体として町内会は整備されていきました。

 

戦後,昭和22年5月政令により町内会などの自治組織はすべて解散させられましたが、日々の生活を維持し身の安全を守るためには、身近な人々の相互協力が不可欠であったことや行政としても住民の協力を求めざるを得なかったなどの理由より、厳しい罰則のついた政令下にもかかわらず、解散後3ヶ月以内に8割近くが名目のみを変えて再建されました。

 

このように,困難な時代にも支持された住民組織は、日本の地域社会において他の組織によって代替することのできない重要な役割を担っていくものと考えられています。

 

物質的な豊かさにより地域の連帯感や人間関係が希薄になり、自治会の活動に無関心な世帯が増えてきたことも事実だと思いますが、大規模災害時に自治会の果たした役割から自治会が見直されてきています。

 

そして、行政との協働のまちづくりの推進のためにその必要性は確実に増大しています。

 

町田市では町内会・自治会は、地域の課題を解決し、地域住民相互の親睦を図るために組織された、自主的・民主的な任意団体であり、福祉を増進し、会員相互の親睦と扶助等の事業を行っている団体と位置付けています。

す。

 

町田市データブックによりますと、市内の町内会・自治会は加入世帯及び加入率は

 

2003年 9万7千世帯。 加入率60.6%

2008年 10万3千世帯。加入率58.1%

2016年 10万4千世帯。加入率54.3%

 

それぞれの年の町田市の人口

 

2003年 38万9千人

2008年 41万1千人

2016年 42万6千人

 

となっていますので、この期間で人口は1割近く、世帯数では7千世帯増加しています。

 

一方、町内会加入率は6,3%も下落しています。

 

地域住民の合意形成を図るためにも町内会・自治会は重要ですし、自分の住んでいる地域を我が事のように思い、寛容性を持ちながら地域を良くしようとする方が1人でも多くなることは直接的に町の魅力につながると考えます。

 

最近の町内会・自治会の加入率の推移をお答えください。

町田市の町内会・自治会の加入率向上への考え方もお示し下さい。

 

 

 

【答弁】市民協働推進担当部長

項目2の「町内会・自治会について」の(1)「現状と今後の方向性について問う。」について、お答えいたします。

 

町田市の町内会・自治会加入率は、2018年度が52.8%、2019年度が51.5%、2020年度が50.3%という状況でございます。多摩26市では八王子市、府中市、多摩市に次いで4番目でございます。

 

市ではこれまで加入促進策として、「広報まちだ」や町田市ホームページ、町田市広報番組「まちテレ」で加入の呼びかけを行ってまいりました。また、町田市町内会・自治会連合会と連携して加入促進チラシを作成し、転入者などに配布しております。さらに、市民協働フェスティバル「まちカフェ!」におきましても、加入促進チラシを配布し、加入の呼びかけを行いました。

 

2019年12月には、地域情報の発信を強化するために町内会・自治会連合会のホームページをリニューアルし、集会施設や町内会・自治会のイベント情報などを掲載しております。

市といたしましては、引き続き加入促進に向けた広報活動と町内会・自治会の魅力向上に向けた活動支援を行うことで、積極的に加入率向上を図ってまいります。

 

 

 

【再質問1】 厳太郎

 

加入率向上には、加入促進に向けた広報活動と、町内会・自治会の魅力向上に向けた活動支援を行うことが重要だと理解いたしました。

 

 まずは町内会・自治会活動を知ってもらうことは加入促進の第一歩目として大切なことだと思います。

 

そのため行政も様々な手段で広報活動を支援し加入率向上を図っている事だと思いますが、それでも変化する社会情勢の中で打開策が見つけられず加入率が減少しているのだと思います。

 

活発的な地域はよくよく分析すると理由が必ずあると思います。

 

 

 

私の知っている消防団のある先輩は中心市街地で生まれ育ち、相手を尊ぶ古き良き江戸っ子のような方で、誰よりも地域を愛する人です。

 

中心市街地でも時代の流れにより、それまでの景色が大きく変化し、次々と高層マンションが建設され、新旧住民もどんどん入れ替わり、以前は地元住民で賑わっていた地域での夏祭りも徐々に規模縮小しているように私は感じていました。

 

消防団を退団された後、その先輩は自分が育ってきたような活気あふれる地域を目指し、毎年毎年夏祭りが近づくと新しく出来た全てのマンションに出向き、「どうも、町内会の○○です。来月夏祭りがありますのでご案内をポストに入れておきます。是非ご家族皆さんで足をお運びください!」とマンションのエントランスで一軒一軒全てのインターホン越しに、ご案内してきました。

 

チラシにはお子様が遊べる1回無料券や抽選券が添付されていました。

 

夏祭り当日はそれまで見たことがない新住人を見かけると、「こんばんは!ようこそ、ようこそ!まーまー座ってビールでもどうぞ!」と親しく話しかけ、皆さんとの会話を盛り上げ、次々と新しい地域のお父さんを巻き込み、

数年もすれば地域のマンションの子供たちが指折り数えるほど待ち遠しがる大変賑やかな夏祭りを取り戻し、地域が明るくなり、町内会活動も活発化されていきました。

 

この事は地域のことを私ごとと捉え、卓越した行動力により新住民の新たな居場所を形成してきた好例だと思います。

 

 

また、相原地区のある消防団の先輩は消防団を退団後しばらくして町内会長になられました。

 

会長になられて、高齢化などの理由で続出する退会者に歯止めを掛けるべく、要因を突き詰めて分析し、町内会加入の直接的で明確なメリットを打ち出すことが必要との考えに至ったそうです。

 

東日本大震災の時の停電を思い返し、震災発生時の情報伝達の要である携帯電話の充電設備の整備に着手しました。

 

懇意にするJA町田市堺支店の方々と共に、ご自身で最善の機器の選定から、町内会費に負担をかけないように購入費に充てる東京都の補助金申請までをこなしました。

 

この先輩のご尽力により、町内会員が災害時に優先的に活用できるカセットボンベ式発電機を導入し、100台のスマートホンが4日間充電可能な体制が整いました。

 

更にはパソコンのパワーポイントで導入経緯のプレゼン資料も作成し、広く皆様にご説明し、町内会退会者の削減に努めました。

 

「町内会員であることにより災害時などでの停電時でも充電可能」という解りやすいメリットを作り上げた好例だと思います。

 

このような大がかりな機材は個人が平時から買い揃えることは考えにくいですが、いざという時は必ず必要となるものですので、町内会に所属する大きな動機となる事でしょう・

 

以前、町内会に加入する直接的なメリットを提供できるこの取り組みを全市的に導入し加入率の向上を図ってみてはと思い、市民協働推進課にご案内したところ、

 

「行政として町内会加入者と未加入者を分ける施策は取りづらい」との事でしたので、今日まで手をこまねいていましたが、「まちびと」にもこの事例が掲載された事ですし、行政が直接的に行うのではなく、導入したいと思うであろう自治会に積極的に情報提供し、東京都への補助金申請などの作業を共にお手伝いをするという事でしたら可能だと思いますので、加入する直接的なメリットの構築に一歩踏み出してはいかがでしょうか?

 

 

こうした加入のメリットになるような魅力的な事例は、先ほどご答弁いただきました、町田市町内会・自治会連合会のホームページなどを通して他の町内会・自治会や未加入世帯にも広げていくことが有効だと考えますが、いかがでしょうか。

 

 

【答弁】市民協働推進担当部長

魅力的な事例の共有や横の展開についてでございますが、どの町内会・自治会も会員の加入促進に大変苦慮されていると伺っております。議員からご提案いただいた好事例を他の町内会・自治会や未加入世帯の皆さまと共有することは、町内会・自治会の魅力向上やPRにつながり、加入率向上が期待できるものでございます。市といたしましては、引き続き町田市町内会・自治会連合会と連携してそうした事例を共有し、連合会のホームページなどを通じて情報発信をしてまいります。

 

 

 

【再質問2】 厳太郎

 

ありがとうございました。情報共有につきましては、ぜひよろしくお願いいたします。

 

広報に関してですが、ある先輩の奥様は町内会婦人部として地域活動を一生懸命やってらっしゃいます。

 

その方のお気持ちはご自分のお子様達やその同級生の生活圏である「地域」の皆が顔見知りのような関係となり、より安心で安全な地域を作っていくことです。

 

町内会活動をしていないご近所さんなどに活動を説明する際、町内会の概念や意義などがなかなか伝わりにくく相手に理解していただくことがなかなか難しいとおっしゃっていました。

 

同様のご意見も多くの方々から聞いています。

 

町内会・自治会の概念や意義を未経験者に解りやすくお伝えする事も加入率向上には必要な観点ではないかと思います。

 

以前、その先輩の奥様から好事例だと思われる相模原市のチラシをいただきました。

 

今回、資料⑧としてお隣の相模原市のチラシをご紹介していますので、町田市の町内会・自治会活動の啓発に参考にしていただけないでしょうか?

相模原市の自治会広報

 

【答弁】市民協働推進担当部長

 町内会・自治会活動の啓発のチラシについてでございますが、市では、町田市町内会・自治会連合会と連携し、加入促進のチラシを作成しております。

 

 2018年には、庁内で実施した「見直そう!“伝わる日本語”推進運動」の一環として、アドバイザーの意見を取り入れながらチラシ内容の見直しを行い、主に子育て世代に訴求効果の高いキャッチコピーや写真を用いたものにリニューアルいたしました。

 

 また、町内会・自治会の主な活動について、見やすい図柄で表示し、詳細をホームページへ誘導するQRコードも合わせて掲載しております。

 

 今回議員にご紹介いただきましたチラシも参考に、引き続き加入促進チラシの内容を検討し、ホームページと連動して魅力を伝えることで、加入率向上につなげてまいります。

 

 

 

【再質問3】厳太郎

 

町田市のチラシについては認識しています。

 

今回、このチラシを議場の皆様に資料として配付させていただいた理由は、よくある町内会勧誘チラシや最近のおしゃれっぽいチラシでなく、表現が大変適格だと感じたからです。

 

世の中の方々は町内会・自治会の存在は知っていますが、その重要性に視点をあてず、なんとなく面倒かなと思いがちです。

 

このチラシは町内会・自治会の役割や存在意義をストレートに表現し、「聞きづらいことと、答えづらいこと、言いづらいことに踏み込んでいる」からこそ解りやすいです。

 

是非とも町田市でも参考にしていただきたく思い、資料として提出していますので加入促進のためご活用くださいますよう、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

情報共有の次は、もう一歩町内会・自治会の活動に踏み込んで頂きたく思い質問します。

 

町内会・自治会は地域の課題解決にそれぞれ知恵を絞って取り組んでいますが、その町内会・自治会自体の課題に行政として今一歩踏み込んでいただきたく思います。

 

先程の加入率の件はどの地区も共通課題だとは思いますが、それ以外に各地区によって課題は千差万別です。

 

ある地区では自治会館に隣接している土地を手放したく考えていますし、ある自治会は会員2世帯となっていて回覧板のパスのみであったり、隣接地の除草が課題となっていたりと、それぞれ課題が異なりますので、

 

先ずは市内それぞれの自治会の課題の聞き取りをし、出来る限り課題解決の手助けをお願いしたく思います。

 

市民協働推進課には町田市の行政運営において大変経験豊富な諸先輩方が「地域応援コーディネーター」としていらっしゃいますので、それぞれの自治会の課題解決の糸口を見い出すことと思いますがいかがでしょうか?

 

 

 

【答弁】市民協働推進担当部長

 課題の聞き取り、課題解決についてでございますが、市では市民センターの地域相談窓口の機能強化を図る目的で「地域市民相談室」を開設しております。

 

各市民センターで概ね週1回、市民協働推進課の地区担当職員であります「地域おうえんコーディネーター」が、地域のお困りごとに関する相談を受け付けています。

 

 そして、受け付けた相談内容により、庁内のみならず市内の関係団体をコーディネートし、課題解決に向けた支援を行っております。

 

 今後も引き続き、「地域市民相談室」の周知を図り、「地域おうえんコーディネーター」を中心に、地域の課題解決に向けた支援をしてまいります。

 

 

 

 

まとめ 厳太郎

 

 「地域応援コーディネーター」の方々が相談を受けてくださっている現状だとは思いますが、相談をお待ちするだけではなく、更に一歩踏み込んで能動的に出向き、自治会と共に課題やニーズを掘り起こし分析し、課題を解決していく事をお願いしたく思います。

 

そのことにより、究極的には全ての自治会での加入率が向上し、市内全域が益々住みやすい地域の集合体となると思います。

 

「地域応援コーディネーター」の方々の卓越したご経験を今一歩より良い地域創出のためご活用されることをお願い申し上げて質問を終わります。

 

ありがとうございました。