少し前のことですが、自宅の庭の改修を、初めて植木屋さんにお願いしました。
これまでは時間を見つけて自分で何とかしてきましたが、木があまりに大きくなって素人では難しくなったタイミングを機に、
芝生の張り替えを含め全体的に手入れしていただくことにしました。
35年前、今は亡き母が必死に働いてこの家を建てた際、兄妹3人で1人1本ずつ木を植えなさいと言われ、それぞれ梅、桃、リンゴの木を植えました。
当時の小さな苗は、屋根を越えるほど大きく育ち、成長を楽しみにしていた母に見せたいものです。
思い出深い庭を改修するのは少し寂しい気もしましたが、元消防団長である植木屋さんは、庭をじっくり見て回り、残す木、伐採する木を考えてくださった上、
作業開始前には、木に御神酒をかけて手を合わせる姿を拝見し、
この度お願いして本当に良かったと思いました。
消防団長だったときの厳しい顔や、
お祭りでお会いするときの柔和な顔とも違い、
真剣で、庭や植木にかける愛情と、仕事へのプライドや情熱を感じる眼差しを拝見することができました。
78歳という年齢にもかかわらず、
丸太をひょいとかついで投げ、
重機を運転し、
スコップで土を堀り、
逞しく朗らかな仕事ぶりに
改めて憧れの念を抱きます。
元の庭の良さを最大限活かしつつ、新しい生活スタイルに合わせた改修をしてくださり、
また、思い出深い木は残してこの先も元気でいられるよう手入れしていただき、
過去の思い出とこれからの未来がすべて明るく繋がるような気持ちになりました。
依頼されたことを単純な「作業」で終わらせるのではなく、相手の心に寄り添い、言葉に出さない想いを汲み取って形にする「仕事」とは、こういうものかと改めて教えていただく思いでした。