先日、東京都市議会議員研修会がありました。

今回の講師はアーチェリーで過去5回もオリンピックに出場している山本博先生です。



演題は
「オリンピックを目指して得られたもの~五輪メダリストからのメッセージ~」でした。






山本博 先生は4年に1度のオリンピックに11回も挑戦し、5回出場、
1984年ロサンゼルスで銅メダル
2004年アテネで銀メダルを獲得。

アジア競技会では6回出場し、2度も金メダルを獲得しています。

現在進行形で選手を続けていて2020年東京大会にもエントリーしたとのことです。

ご自身を「日本一諦めの悪い男!」と紹介していましたが、私のような凡人からすれば、正に鉄人だ!と感じます。

山本博先生は「今日1日を納得させて終わらせたい!」との信条で、毎日自分に厳しく挑戦し続け、この日も講演が終わり次第その足で練習場に戻り再び練習するとのことでした。

世界の頂点を目指すアスリートの世界は熾烈極める過酷な世界だそうです。

その競技の公平を期すドーピング検査は大会前3ヶ月の全てのスケジュールを申告しておき、いついかなる場合でも検査官が抜き打ちで登場すれば応じなくてはならないとのことでした。

その間は風邪薬一粒すら飲めない生活をすることから完璧な自己管理が求められるそうです。

外国人選手の中には、直前に他人の尿を注射器で尿道から膀胱に入れておいてドーピング検査をしたが、発覚しメダル剥奪となった選手もいたそうです。

山本博先生は、長い競技人生から、何事も「もういいや。と思ってからもう一度頑張ろうとする習慣をつけさせることが大切だ!」
と教えてくださいました。

先生も技術向上のため、ご自身の体と向き合っているうちに、免疫学に行きつき47才の時に新たに弘前大学に入学し学んだそうです。

毎日毎日向き合うことによりアイデアが生まれ、まだ勝算があると感じ、挑戦し続けることにより人智を超えるような結果につながるとのことでした。

一流と三流の選手の違いについても教えていただきました。

一流の選手はどこまでいっても満たされてない人が多く、練習欲が強く、自分が必要なものは自分で取りに行くタイプで、結果が出ても気持ちを満足させずに次に進める選手で、

三流の選手は、コーチが何でも教えてきていて自分で考えてきていないので、すぐにあきらめる選手だそうです。

一流選手のコーチは選手を安心させて練習をおさえさせ、三流選手のコーチは選手を引っ張っていかなくてはならないため、コーチは自ずとコミュニケーション能力や観察力がずば抜けてなくてはならず、
集中させるために選手の様子を見て瞬時に楽しめるメニューを臨機応変に組まなくてはならないとのことでした。

消防団の消防操法も、ある面スポーツに通ずるところもあり、操法への向き合いかたや訓練指導について大変納得できました。

また、日本には「文武両道」との言葉がありますが、学力とスポーツの相関関係はアメリカの方が進んでいると感じることがあるそうで、

例えば2016年のリオデジャネイロオリンピックの時、アメリカが獲得した金メダルの20%は、全米学力上位5位のスタンフォード大学の生徒によるものだそうです。

このスタンフォード大学のメダル獲得数は全フランスが獲得したメダルに匹敵するそうです。

この学力とスポーツの相関関係を日本の議員である我々にもっとよく考えていただきたいとのことでした。

メダリストになるような方の究極目標はメダルではなく、自分を高めることであるそうです。

そして、現在の日本は豊かで何でも手に入り、今の子は欲しいものを持っているので、
自分の力で手に入らない努力が求められるスポーツや学問に貪欲になれる人の育成のため、競技を通じて自分を高められる人材を育成していってほしい。

「もういいや。と思ってからもう一度頑張ろうとする習慣をつけさせる人々を育成していってほしい」

この言葉は現代の日本の教育分野ではキーワードとなってくるでしょうし、そのような人材を育成していくことが、日本の未来を支えていくことになると思います。

山本博先生は「自分のことだけを目標にしている選手より、チームや地域も含めて目標にしている選手の方が極めて強いので、皆様も人や社会のために自分を高めて頑張ってほしい!」とおっしゃっていました。

我々地方議員は勿論自分のためではなく、社会のために働くものですので、飽くなき探究心を持って自分を高め、少しでも地域が良くなるように貪欲に様々な社会の諸課題と向き合っていかなくてはならないなと感じました。