先月の議会で一般質問した際の原稿を投稿します。

あくまでも原稿ですので当日の議場とは多少異なりますが、概ねこの内容にそって議論しています。

 

要旨

「町田市産業振興基本条例」の改正を受けて、との項目で、町田市が行う契約において、いかに市内事業者の受注拡大を図るのか?について質問しました。

 

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町田市議会では今年、議員提出議案として「町田市産業振興基本条例」を全会一致で改正しました。

この改正は、昨今、消費者の価値観の変化、経済のグローバル化など、市の産業振興を取り巻く環境が大きく変化する中、市内事業者の受注機会の増大に努めることにより、市内経済の持続的な発展や経済循環を促すことを目的に行われました。

 

一方で、行政の対応には変化が感じられない面もあることから、条例が改正されたことに対する実効性を求めて質問しました。

 

この度の質問の後半部分では少々きつい事もお話ししましたが、町田市の公共工事を町田市の市内事業者が喜んで受注し、市内の工事で実績や体力をつける事によって、市内経済の循環を図ると共に、市外でも活躍して大きく成長できるような環境を整備すべきというのが私の本意です。

 

町田市内の建設業者は20年前から比べると随分と数を減らしています。

市内の建設業者は、災害時には応急復旧の要となる事から、町田市の大切な財産です。

以前、市外の業者から「町田市の公共工事は草刈り場だ!」と言われていましたが、今後はそのような印象を一切持たれないようにすべきだと考えます。

 

今回の質問で満点の答弁を引き出すことは出来ませんでしたが、今までの姿勢を再検討するための一石を投じられればと思います。

 

以下原稿

 

2019.9一般質問 産業振興基本条例の改正を受けて

 

壇上(厳太郎)

市が行う契約における市内事業者の受注機会の増大をどう図るのか。

 

項目2 「町田市産業振興基本条例」の改正を受けて についてご質問します。

昨年の12月議会で「町田市産業振興基本条例」が全会一致で改正された事は皆様の記憶にも新しい事と思います。

 

町田市では、町田市産業振興基本条例に基づき、産業振興に関する施策を展開してきました。

しかし、ICT技術の産業分野への急速な普及や、消費者の価値観の変化、経済のグローバル化など、市の産業振興を取り巻く環境が大きく変化してきました。

 

これらに対し町田市議会では、環境変化に対応しながら、地域経済の持続的な発展を促すため、条例改正を致しました。

 

その趣旨は以下の通りです。

①今後想定される労働力人口減少やAI、IOT等の技術革新に留意した産業振興施策を展開する事。

 

②町田市の地域経済、地域産業の持続的な発展の為には、地域の資源を使って、新たな価値を生み出していく「地域内の経済循環」を重要視し、市で行う工事等について、市内事業者の受注機会の増大に努めること

 

これらの考え方により、町田市産業振興基本条例第4条―5として、新たに「市は、地域産業の発展のため、市が行う工事の発注、物品及び役務の調達等にあたっては、市内事業者の受注の機会増大に努めるものとする。」との一文が加わりました。

 

それではこの条例改正を受けて、どのような変化が起きてきているのでしょうか?

前議会である6月議会でも質問をしようとしたところ、もう少し時間がほしいとの事でしたので、今9月議会で改めてお聞きします。

市が行う契約における市内事業者の受注機会の増大をどう図るのか。お答えください。

 

答 弁(高橋副市長) 

 町田市はこれまでも、「一般競争入札に係る入札参加要件のガイドライン」や工事と物品購入それぞれの「指名競争入札参加者指名基準」等において市内事業者への優先発注や入札参加条件の緩和を定め、市内経済の活性化に寄与する取り組みを行ってきた。その結果、工事契約や物品購入契約の分野における市内事業者の受注率は高水準を保っている。

 

2018年度の実績は、工事契約では、全188件のうち160件を市内事業者が受注し、受注率は85.1%となり、発注金額は約90億円。物品購入契約では、全32,116件のうち21,572件を市内事業者が受注し、受注率は67.2%となり、発注金額は約4億円。

2019年度第1四半期は、工事契約では、全33件のうち32件を市内事業者が受注し、受注率は97%となり、発注金額は約14億円。物品購入契約では、全8,649件のうち6,231件を市内事業者が受注し、受注率は72%となり、発注金額は、約2億円。

 

 

再質問1 (厳太郎) 

相模原市や横浜市でも「相模原市がんばる中小企業を応援する条例」や「横浜市中小企業振興基本条例」を設け、市内事業者の育成に努めていますがこれらに対しての認識はどうですか?

相模原市や横浜市等の他市でも条例を設けている状況下で、受注機会の増大を図るため、市は今回の条例改正をどう受け止めていますか?

 

 

答 弁(財務部長)

他自治体にて「地元事業者の受注機会の増大」を確保する条例を制定していることは以前から承知していた。町田市では、条例ではないが、様々なガイドラインや基準を制定し、同様な取り組みを行ってきた。この度、2019年第1回町田市議会定例会で「町田市産業振興基本条例」が改正となり、これまでの市の取り組みを集約する条項が盛り込まれたことは、その正当性が証明されたことと評価している。

 

 

再質問2 (厳太郎)

それでは、条例改正を受けて、市内事業者への優先発注に関する「要綱」を制定しないのでしょうか?

町田市の中で「要綱」を設けないのは条例を作って作りっぱなしなのかと思うのですが、検討なされないのでしょうか?

 

他市ではこれらの市内事業者を育成する条例を受けて「要綱」を設置しています。

条例改正を受けて「要綱」の設置は行わないのでしょうか?

そうしないと条例改正が生きてこないと思いますがいかがですか?

 

今どのような動きをしていますか?

 

 

答 弁(財務部長)

先行して、条例を制定した相模原市と横浜市では、どちらも条例に基づいて、条例で掲げる施策の基本方針に沿って実施しております。

町田市では、市内事業者への優先発注や入札参加条件の緩和について、市のガイドラインや指名基準等において「市内に本店を有する者」を優先指名の対象として、既に定めております。この市のルールに基づき、市内経済の活性化に寄与する取り組みを継続してゆき、要綱の制定については研究してまいります。

 

 

再質問3 (厳太郎)

研究をしていくとのご答弁は、要綱設置にあまり前向きではないとの事と思います。

市内事業者向けの優先発注のガイドラインがあるから、条例改正の影響は限定的と受け止めているのでしょうか?

 

条例改正の背景には、

 

「市内事業者の件数ベースの受注率はそれなりに高水準ではあるが、発注金額ベースの受注率では、真反対になっている」との声や、「大きな工事に関して、実績が足りないので入札に参加出来ないと言われるが、機会が無い以上、一体どこで実績を積めば良いのか?」との声を受けての改正です。

 

私は、ガイドラインがあるから条例があるのではなく、条例があって、要綱やガイドラインがあるのだと思いますがいかがですか?

 

答 弁(財務部長)

   先ほど申し上げましたとおり、町田市では、一般競争入札や指名競争入札、

総合評価方式など契約方法ごとに定めているガイドラインや要領の中で、そ

れぞれにおいて市内事業者の優先発注や入札参加条件の緩和について定めて

いるため、限定的ではなく市内事業者の優先発注や入札参加条件の緩和が行

われております。

 そして、今回の改正された条例は、それらのガイドラインなどに基づいて、市がこれまで取り組んできた取り組みを集約したものと認識しております。

 

 

 

再質問4 (厳太郎)

市内事業者優先発注の要綱設置やガイドラインの見直しを研究検討していってほしく思います。

 

確かに町田市では、工事請負契約の一般競争入札では入札参加資格を、市内事業者と市外事業者を完工実績のでは、市外事業者は5年前までですが、市内事業主は10年前まですし、

金額の面での入札参加資格は、予定価格の,市外業者が同等以上、市内業者では3分の1以上の工事実績と、と入札参加資格を緩和している事は承知しています。

 

では大型の工事等はなるべく部門別に分けて分離して発注する事を盛り込んでいって頂きたく思います。

 

出来うる限り一本工事は市内事業者。大きい工事は分離発注とする「要綱」を作るべきと考えるが、どうでしょうか?

 

例えばリサイクルの再整備の時などの大きい工事は、一括契約とせずに、管理棟、機械、土工事や周辺整備の土木等と、業種分けして発注出来ないものだったのでしょうか?

 

特記仕様書で外溝は市内にすると一文入れる事は出来なかったのでしょうか?

 

 

今までのガイドラインで十二分に事足りていたのなら、先程ご紹介した様な条例改正の背景にある「声」は無かったでしょうし、条例改正をしてまで市内事業者の育成や市内経済の循環を大切にする必要性が無かった事になってしまいます。

いかがでしょうか?

 

 

答 弁(財務部長)

  現在でも町田市では、国からの「公共工事の円滑な施工確保について」の要

請に基づき、地域の中小建設業者等が受注し易くなるように、可能な限り分

離・分割して発注を行い、受注機会の確保に努めております。

 ただし、案件によっては、工程面等からみて分離・分割して発注すること

で、経済合理性や公正性等に反する場合があるため、その場合は一括発注と

なります。

先ほど、ご質問にありました町田市熱回収施設の整備につきましては、市が

作成した要求水準に基づいて履行する性能発注方式であり、契約内容に設計業務が含まれ分割では発注できないため、一括発注としました。 

 今後も、一括発注で行う際には、分離・分割して発注することによる経済合

理性や公正性等を検討した上で、可能な限り、分離・分割して発注を行ってま

いります。

 

 

再質問5 (厳太郎)

私は、今条例改正を機に、要綱やガイドラインの見直しを図り、市内事業者をいかに入れ、それぞれの市内事業者の実績や点数をいつまでに何%上昇させるかの目標を明記する事が大切だと思います。

 

市内事業者の育成と言うのですから、新たな事業者の創業支援や事業承継も勿論大切な事ですが、現在活躍中の市内事業者の体力向上や、市外にも打って出て行ける実績作りも市内経済循環や雇用創出の観点からとても大切だと考えます。

 

市内事業者育成の為に、実績向上の目標設定についてご見解をお尋ねします。

 

 

答 弁(財務部長

 市内事業者への育成の視点としましては、目標として明記はしておりませ

んが、市内事業者の入札参加資格を緩和し、多くの入札に参加し、実績を伸ば

せるようにしております。

例えば、工事請負契約の一般競争入札では、市内事業者以外は予定価格と同

等の金額の工事実績となりますが、市内事業者については予定価格のおおむね3分の1の工事実績の金額を入札参加要件としており、実績の3倍の工事まで参加できます。また、実績も市内事業者については、過去10年度内まで認めております。(※市外事業者は過去5年度以内)

このように、市内事業者の入札参加資格を緩和し、多くの入札に参加しても

らい、町田市の公共工事を通じて工事実績を伸ばすことが育成に繋がります。

 

 

再質問6 (厳太郎)

では少し話を変えますが、公共工事の質や魅力の向上には行政側の管理体制も大変重要です。

ここ十年この仕事をしていますと公共工事現場での様々な困りごとを耳にします。

以前は市の担当者ともっとコミュニケーションがとれていたと聞きます。

また、地元との折衝も市の担当者が行っていたとも聞きました。

 

こんな例があります。

事業者が工期の関係で地元住民とも協議し土曜日も仕事をする事を行政に伝えると担当の個人的な都合で断られたりした事例があります。

 

また、警察協議の結果、仕様書通りでは工事にならない事が判明し、工事の様式を変更する旨、町田市に伝えても、認められない。→町田市は現場を見ないで設計し、変更も認めないとなると、いかにして工事するのでしょうか?

 

町田市は設計図を確認して仕事を出しているにも関わらず、物理的に不可能な工事を、後からでも認知した上で、その設計変更をせずに一方的に「企業努力で何とかしろ!」というのは、あまりにもぞんざいではないでしょうか?

 

また、仕上げも終わりペンキも塗ってある石膏ボードと壁との接着強度を、後から検査しろと言われ、常識的に考えられない話しだが、仕上げた壁を壊して検査した事例もあります。

 

こんなことは頻繁に検査で顔を出しているのですから、事前に伝えておけば何ら問題は無かったはずです。

(勿論きちんと施工されていたので何ら問題ではなかった)(しかも担当者は検査しろと言ったことすら後に忘れているようであった)

 

また、吹きぬけの所に、設計図や仕様書にはまるで記載されていない天井を、工事が終わってから新設させられたり、新たに断熱工事を言われたりして、竣工図も後から書き直さざるを得なかった事例があります。

 

これらは全て事業者負担でやらされています。

 

このように事業者は、行政側のミスをその都度その都度、尻拭いさせられている現状があります。

 

私はこれら個別の事例を本日ここで一つ一つ確認するつもりは御座いませんが、

事業者も人間です。

 

理不尽な事が多く発生する公共工事を通じて市内事業者の育成や工事品質は語られるわけも御座いません。

 

私は、市内事業者育成の観点で条例改正が行われた今を契機に、これら悪しき状態は当然改善していくべきだと思いますが、いかがお考えになりますか?

 

新たな、町田市産業振興基本条例の第4条(市の責務)の3では「事業者の事業の拡大を図るための支援、及び働きやすい環境を整備するための支援を推進する。」と明文化されました。

 

先程話したような、現場での事例も改善していく風土作りをしていかなくては、「仏作って魂入れず」となってしまうと思いますがいかがでしょうか?

 

 

答 弁(財務部長)

事業者団体と定期的に実施している意見交換会や市内事業者へのアンケートなどを通じて、公共工事の施行において、事業者から様々な率直なご意見があることは、把握しております。

今後もこのような団体と良好なコミュニケーションを図りながら、市内事業者育成に取り組んでいきます。

 

再質問7 (厳太郎)

縷々ご議論させていただきました。

確かに町田市の契約状況は今日まで職員の皆様のご努力で、市内事業者に優先発注出来るように創意工夫されていて相当の実績を出してきている事は承知しています。

この事があまり知られておらず、行政として歯がゆい思いもあるかと思います。

 

率直に現状や、市が取り組んでいる工夫、実績、効果、を広報し知らしめることも大切だと思います。

 

私は、「町田市の良い部分はさらに良く、改善すべき所は速やかに」と思っています。

 

今回の質問を通じ提案したいことは「町田市産業振興基本条例」の改正を受け、この改正を契機として、市内事業者の受注機会の増大や更なる育成のため、

 

①   より良いガイドラインの再考 

②   市内事業者育成の数値目標の設置 

③   大型工事案件の分離発注の促進

④   行政の対応の質の向上

⑤   市の取り組みの周知、成功事例の紹介

 

の5点です。

 

最後にこれらについて何かご見解があればご答弁お願いします。

 

 

答弁(どなたか)