本日は小樽市を訪れました。
小樽市は大正11年に市政が施行され、今の市役所自体は昭和8年に市職員自らの設計で建設された大変歴史あり、とても趣深い建物です。

 

 

 

小樽市の年間総降雪量は5メートルで市民からの除雪要望も強く、
坂道の多い市域の道路にはロードヒーティングが入っており、
除雪の年間予算は15億円で、その内北海道電力に支払う電気代が多く占めています。

 

『小樽の沿革』

 

小樽の地名は、アイヌ語の「オタ・オル・ナイ」(砂浜の中の川の意味)と呼ばれたことが由来だそうです。

 

今から400年前に松前藩の知行地として開かれ、やがてニシンを求めて定着する人が増加し、
1865年(元治2年)が小樽の開基とされています。

 

1880年には夕張辺りに埋蔵する豊富な石炭の搬出を目的として、北海道で最初の鉄道が敷かれました。

 

1889年には「特別輸出港」に、
1899年には「外国貿易港」に指定され、石炭や雑穀、日用雑貨等の輸出が盛んになりました。

 

日本全国の海産物の70%が小樽に集まったと言われています。

 

それにともない銀行や商社が軒を競い「北のウォール街」と呼ばれるようになり、
小樽の穀物相場がロンドン市場の相場に影響を与えるほどでした。

 

小樽は大正9年の第1回 国勢調査においては全国13番目の都市として位置付けでした。

 

平成14年までは日銀小樽支店までもが小樽市内にありました。

 

2024年から新一万円札のデザインになる、「日本の資本主義の父」とも称えられる渋沢栄一氏からも、
「小樽の発展は予想以上だった」と言わしめた都市でしたが、

大戦後、経済情勢や流通機構が大きく変化したことから、小樽市を牽引していた卸売りは衰退の一途をたどり、
多くの都市銀行が撤退する「斜陽都市」と言われました。

 

長い停滞の後、現在では年間観光客800万人の一大観光都市となりました。

 

『市民と語る会』

 

本日は小樽市議会の「市民と語る会」について視察に訪れました。

 

小樽市議会では、平成24年から、議会報告・意見交換会のあり方を協議する場を設けることについて議論が進んできました。

 

同年、小樽市議会「広報・公聴委員会」が設立され、さらに議論が進み、

「(仮称)議会報告・意見交換会」の名称を「市民と語る会」に決定しました。

 

平成25年から5月から
『市民と語る会』が実施され、
「除雪について」や
「防災について」といった
決められたテーマをもとに
市民と語り合い、
今までで11回、23箇所で市民の意見を聴取しています。

 

「市民と語る会」は、議員と市民が様々な市内の課題や、あり方について建設的に語り合い、それを政策として提言していくのが狙いなのに、

 

市民側から寄せられる多くの発言は、要望に終止してしまいがち、とのことでした。

 

本来の目的は市民と対峙することではなく、広く市民の意見を聞き、政策提言に結びつけていくことですが、
ついつい市民から質疑を受けると答弁する対峙型になりがちなので、グループワーク型のようにし、議員はコーディネーターとしてグループの司会等をする形の方が良いのではないか?とのことでした。

 

『留意事項』

①議会活動の状況を報告し、聴取した市民意見を整理分類の上、議会内でも議論・政策形成につなげていく

 

②質問・意見に対して答弁を求められた際には、議会としての考え方や議論の経過などについて、説明責任を果たすよう努めるものとし、市民に執行機関の立場と混同されないように留意することが肝心なところです。

 

③質疑及び意見交換会は、小樽市議会が合議機関として決定・確認した、事項を踏まえて実施するものであり、
原則的に議員自身の意見や会派の見解等を開陳する場ではないこと

 

『課題解決のために』

 

小樽市での「市民と語る会」の出席者の多くは高齢者で、そこからあがる意見は除雪の要望が多いとのことです。

 

高齢者の市民は、除雪の要望が多いのですが、内容として、市が所有する土地なのかどうかはあまり理解されず、相手先のよく分からない要望になってしまうこともある。

 

今後は市民から上がった意見は議員が一回預り、意見をまとめ、整理がする場が必要とのことでした。

 

『今後の更なる課題』は

 

聴取した市民のご意見に対して、その後どのように政策に反映させ、それをどのように広報していくか、が課題とのことでした。

 

「議会報告会」や「市民と語る会」の目的は、市民に開かれた議会を目指し、
議会活動の報告や、市政の課題について議員と市民で情報や意見の交換を行うことにより、
施策や提言に市民意見を盛り込み、市政の発展に臨み、
広く住民福祉の充実に資するよう取り組むことが肝心なところだと思います。

 

この度の視察では「議会関心度の向上」や「市民参加」がキーワードとして取り上げられ、
既に実施している自治体を多く見させていただきました。

 

一時全国的に流行った議会基本条例等もこれれらのテーマです。

 

メリットやデメリット、コストや効果的な手法などをよく検討していきたく思いました。