続きまして、旭川から札幌に行きまして、札幌市議会を訪れました。

 

札幌市は厳寒の石狩の原野に北海道開拓の拠点として創建されて以来140年の間に、人口196万人(北海道の人口の約3割)、

全国5番目の大都市へと急成長した世界的にもまれな都市です。

 

 

 

大正11年(1922年)8月1日の市制施行以来、近隣町村との度重なる合併・編入によって、市域を拡大してきました。

 

札幌市の気候は日本海型気候で、夏はさわやか、冬は積雪寒冷を特徴としており、四季の移り変わりが鮮明です。

 

札幌市議会にて

 

 

(1)『議会の機能強化及び改革の取り組み』と、

 

(2)『大規模災害対応要領』について政令市の札幌について勉強させていただきました。

 

(1)
議会改革の取り組みでは、平成25年に議会基本条例を制定し、議会機能強化・改革検討委員会を設置し、全会派意見の一致をみた場合のみ結論を出すそうです。

 

主な成果として、
①費用弁償の廃止
②「政務調査費の手引き」の策定
③長期欠席議員の報酬を減額する規定の新設

 

があり、

 

①の費用弁償の廃止については最高裁まで訴訟が続き、廃止まではとても大変だったそうです。

 

②の政務調査費では、当時策定した手引きにより、平成20年度交付分から領収書の全面公開をしたそうです。

 

③の長期欠席議員については、それまで法の規定がなかったことから、平成23年の第4定例会で改正条例案を可決し、減額することが決まったそうです。

 

議会というのは中々物事が進まない面もあるので、改定していくことは大変ではあったでしょうが、
今の市民感情や町田市から見れば当然の事ではないかと思う事が散見されました。

 

続きまして、町田市には無い「議会基本条例」の制定の経緯や背景について教えていただきました。

 

 

先行事例として、さいたま市議会、所沢市議会、中央大学教授 佐々木信夫さん、を視察調査し、全議員勉強会を実施したそうです。

 

素案の作成には先行している13自治体の条文と比較しつつ、80件の公募された市民意見を反映させ条文化しました。

 

この議会基本条例の中には「市民参加」について規定される条文や、「災害時の議会の役割」も明文化されました。

 

ここで明文化された第5条「災害時の議会の役割」が後々、

 

(2)
『札幌市議会大規模災害対応要領』
となりました。

 

札幌市議会基本条例の第5条 

「議会は災害が発生した場合においては、必要に応じて関係機関と連携を図るための組織を設置するなど、災害から復興に向け積極的な役割を果たすよう取り組むものとする。」

 

これを受け、「札幌市大規模災害対応要領」が検討されました。

 

策定にあたって注意したことは、

 

①議員の活動を災害対応につなげるために、
地域の状況を最もよく知っているのが議員との考え方から、地域での活動の明記をしました。

 

②また混乱しがちな災害時に反対に議員の活動が災害対応の妨げとならないように、窓口の一元化をはかり、市災害対策本部との連絡体制の構築をしました。

 

③また議員自ら安否の自主的な連絡を定めることにより、事務局機能の軽減を図りました。

 

そして市議会の災害時の「任務」を以下のとように決定しました。

 

①議員安否情報の取りまとめ
②市対策本部から収集した災害情報の議員への提供
③議員からの災害情報の収集・整理及び市対策本部への提供
④地元選出の関係国会議員への要望
⑤他市議会からの支援物資、義援金の受け入れ
⑥その他本部長が必要と定める事項

「札幌市大規模災害対応要領」を策定後の一年以内に実際に大規模災害が札幌市を襲いました。

 

平成30年9月6日
「北海道胆振東部地震」が発生し、最大震度6弱、マグニチュード6.7、死者2名、負傷者297人、

 

電気、水道、下水道、道路、電車、JR、バス、空港、通信と全てのライフライン全てに被害が発生しました。

 

開設避難所300箇所、
最大避難者数10297人、
観光客向けの避難所の宿泊者のうち6割が外国人、

 

札幌市議会は既に制定されている「札幌市議会大規模災害対応要領」にのっとり、迅速な災害復旧活動に尽力できたそうで、

 

議員からの地域の情報を災害対策本部へ集積し、効果的な災害対応をすると同時に、
182億円という緊急補正予算を通し、

 

国や北海道等にまとめて要請を行うことにより、各種災害対応必要物資を市民に配布することができたそうです。

 

総括として札幌市議会から、

 

①札幌市議会大規模災害対応要領を制定していたので、混乱なく対応できた。

 

②市民の方からの意見の外部有識者の意見をもとにして、検討した取り組み項目の実施できた。

 

③防災体制の更なる強化のため、引き続き課題改善に注力する。

 

の三点が上げられました。

 

この度の札幌市の視察で、近年町田市で議論されている「災害時の議会の役割」について大変勉強になりました。

 

昨年、東日本大震災の被災地である宮城県 南三陸町や仙台市を視察し、

 

町田市議会へ災害時の対応について提言してきていましたので、大変参考になりました。