福島県 郡山市をあとにし、一路上野駅まで戻り、千葉県 流山市に来ました。
流山市は、千葉県北西部の東葛地域に位置する人口約18万8000人の市です。
流山市はその昔、江戸から銚子にぬける江戸川航路の物資の集積所として栄えてきました。
隣の野田市は『醤油』、流山市は『みりん』で栄えた街です。
現在では13年前に開通した『つくばエクスプレス』の開通により、市内に3駅新設され、交通の利便性の向上とともに、少子化社会の中でも年間あたり4000人もの人口増加の道をたどっています。
「都心から一番近い森の街」を目指し、「グリーンチェーン戦略」を行っています。
また「母になるなら、流山市」といった転入者呼び込みや市のイメージアップ戦略を展開し日本中の自治体から注目されています。
この度は流山市の英語教育について視察に伺いました。
文部科学省では平成32年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、
初等教育の段階からグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるために
『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』を平成25年12月に発表しました。
さらに『外国語教育強化地域拠点事業』において強化地域拠点を指定し、
新学習指導要項の実施にむけた先進的な取り組みの支援を行っています。
流山市は平成26年度から平成29年度の四年間、文部科学省から指定を受けて、市内小中高校が連携して研究を進めています。
流山市では、独自の英語プログラムと小中連携の指導体制を整え、世界で活躍する人材を育ててきました。
英語教育によって、自らの意見を述べ、自国の文化やその良さを語ることのできる能力の育成を目指しています。
市内全ての中学校と半分の小学校にALTを配置し、また全ての小学校に英語活動指導員を配置しています。
ALTとは、日本人教師を補佐し、生きた英語を子どもたちに伝える英語を母語とする、大学を卒業した招致された外国人のことを指します。
ALTの給与は受け入れ側の自治体が負担します。
ALTを市が直接雇用することにより、日常的に児童生徒が英語に親しむことが出来ますし、
ある中学校にALTを集中的に集める等、委託契約では出来ない教育資源的人材を集中投下し、臨機応変な授業体系をつくれます。
流山市英語プログラムは2年間かけて作成され、実際に会話として必要になる言葉を英語で出来るようにしたスパイラル型のカリキュラムです。
また、数値化することの難しい教育の成果を数値化することにより、
先生方の意識改革と努力の結果、学力向上10%の目標を3年間で達成しました。
小学校の時に既に『入国審査を受けて行きたい国にいける』ような実践的な授業をしています。
授業の終わりには毎回習った事からミッションが課せられ、授業への集中継続をさせています。
今では文部科学省の指導要項でも採用され、広く親しまれてきたこの英語教育は流山市の英語教育が相当数ベースとなっており、
このベースを流山市の職員や先生が手探りで開発してきたという事をお聞きし大変驚きました。
お話を聞くに、全てにおいて感じたのですが、『英語を学ぶ』という姿勢より『英語に心から親しむ』との姿勢が、
結局は学力を向上させ、英語で会話ができるようにする教育なのだなと思いました。
英語に親しまさせる為に流山市の職員や教職員の叡知や心血が注がれたのだろうと思います。
担当職員さんがハツラツと説明してくださり、質問に対してもキビキビお答えくださり、
「市長・教育長のご理解が素晴らしいので、どんどんやらせてもらえる!」と笑顔でお話されている姿を見て、
このような方々のいる自治体は強いだろうなと感じました。
電車まで若干時間がありましたので、「流山おおたかの森駅」直結の『駅前送迎保育ステーション』を見学してきました。
これは、親は出勤するときに駅まで子供と一緒に来て、
駅前にある送迎保育ステーションに子供を預けるだけで、
後はバスで送迎保育ステーションから所定の保育所まで子供たちを連れて行ってくれるシステムです。
さすが、人口減少社会の今、10%も人口を増やしている流山市の子育て政策の一片を垣間見れました。
町田市も、他市の事例を参考にして様々な事業を打ち出してはいますが、
試行錯誤を恐れず独自に先駆的にチャレンジしていくことが、
選ばれる都市であるために必要なのではないかと改めて感じました。