牡蠣の人とひとつなぎの大秘宝
※この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。
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「ロジャーDについてなにか知ってますか?」
メールにはそれだけ書かれていた。
いまは牡蠣の人と呼ばれてるとはいえ、ゲームから牡蠣に至るまで様々な開発やイノベーションに何気なく関わってきた。さらには文無し家なき子で世捨て人なのに…それなりに活きてる。。
なぜ?という疑問から反社会感裏社会感がでるのだろうか…だからかわからないが、なにかと多岐にわたる不思議な相談?を受ける。
年末にハングオーバーして開けてはいけないパンドラの匣を開けまくってからはなおのこと増えた。
ロジャー・Dか。。懐かしいな。
ロジャー・Dは人物ではない。実在でも架空でも。
ロジャー・Dは至るところにいる。あそこにもここにも。あなたのすぐそばにも。
なぜか。それはそれがプログラムだからだ。
これを開発したヤツはホントに天才だった。俺の知る限り三本の指に入る天才プログラマーだ。
簡単にいうとこいつでコンパイルすると、どんな言語のプログラムでも違うプラットホーム(OSなど)で動作するようになる優れもの。
簡単ではなかったね。コンパイルとは、プログラムを動作するようにするために必要なプロセスだと思ってくれ。そのコンパイルをしてくれるのを「コンパイラ」と呼ぶ。
まだガラケー全盛期だった頃、ドコモもauもJ-phone、、いやVodafone、、もといソフトバンクなどは各社すべてのアプリの仕様が違った。特にauは言語や環境まで違った。
つまりは開発側は、プレイヤーにとっては同じゲームでも、3つも4つも開発しないといけなかったわけだ。
それを見兼ねたのか、面倒だったのか、理由や動機はわからんが、この天才は、ひとつのプログラムをこのコンパイラでコンパイルするだけで、すべてのケータイで使えるようにしてしまった。
特筆すべきはそのネットワーク(通信)関連の呼び出し。。まぁこのあたりはもういいね。とにかく開発者的にも会社的にもありがたい仕組みだったわけ。コストが下がれば価格も下がるからプレイヤーもだね。
当時このコンパイラはライセンス制だった。お金を払ったとこは普通に使えたが、無料でも使えた。そのかわりに広告が入る仕組みだった。
あれからいく年月、同じプログラムをワンコンパイルでいろんなプラットホームで使えるという開発思想は、さらに価値を持つようになっていく。Windowsにアップル。iOSにアンドロイド。例をあげればキリがない。
仮にだよ、仮にだ。そのなかのそれなりの数のアプリケーション、特にスマホ系のアプリケーションがこのコンパイラでコンパイルされていたとしたらどうだろう。
そしてその無限にも近いアプリの中に表示される広告の広告料が入ってきたとしたら。。
待て待て、それだと、単純にそのアプリの配信元に広告料金が入るのでは?
広告が表示されるアプリはたくさんある。基本的にはそのアプリがもともと組み込んでいるものということだ。その広告アカウントのいくつかをこちらのアカウントに切り替えていたらどうだろう?
その広告料はこちらのアカウントに入るわけだ。広告をいれていないアプリにだって勝手に表示させることもできる。
いまに至っては、無料アプリなどは特に広告が表示されて当たり前だと思ってはいないか?本来そのアプリに組み込まれた広告でなくともそういうものだと思ってしまってるのではないだろうか。
そもそもアプリってのは箱みたいなもの。なのでネットに繋がってさえいればナンボでも中身の入れ替え書き換えが可能。
そしてなにより肝心なのは全部を差し替えるわけではない。
そうコイツ、、ロジャー・Dがやるのはプログラム内の広告アカウント、もしくは広告プログラムの差し替え、それだけ。
当然、すべての広告料をせしめることもできる。が、それはしない。そんなことをしたらアプリの配信元にバレるからだ。
バレなきゃ訴えられない。訴えられなきゃ、犯罪にはならない。
いまや日本だけで、スマホは数千万台。ひとつのスマホに10本以上はアプリが入ってるだろうか。何億本。下手すると何十億本。
その膨大なあらゆるアプリをひと纏めにして、莫大な広告料を生み出してくれる。それがロジャー・D。そう、まさにひとつなぎの大秘宝。
もうお気づきかとは思うが、この「ロジャー・D」の名前の由来はあの海賊王。あの漫画の。
なんでそんな由来を知ってるかって?それはね、そもそも俺がつけた名前だからだよ。
しかし。。こんなメールが来るとはね。。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20170122/14/gens-jp/4a/96/j/o0396039513851151380.jpg?caw=800)
2017-01-22