GENRYUチャンネル

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自分で出来てしかも「効く」セルフケア方法を毎日配信しています(^^)



こんにちは、GENRYUですウインク
最近、手の痛みで悩んでいる方が多くいらっしゃいます...
なぜ、あなたの「手の痛み」は治らないのか?
あなたは、これらの状態で困っていませんか?
「手首が痛くて湿布を貼っているが変わらない」
「手根管症候群の手術を勧められているが迷っている」
「握力が落ち、ペットボトルの蓋さえ開けにくい」

これらの症状に対し、一般的な整形外科的アプローチでは、
局所の安静(シーネ固定)、消炎鎮痛剤の投与、あるいは
ステロイド注射が選択されます。
これらは炎症を抑える対症療法としては有効ですが、
慢性的に繰り返す症状や、画像診断では異常が見つからない
「不定愁訴」のような痛みに対しては、決定打に欠けることが少なくありません。
なぜなら、その痛みの本質は「筋肉や骨の問題」ではなく、
**「神経系そのものの機能不全」**にあるケースが極めて多いからです。
今回のブログでは、神経科学的アプローチをベースに、
最新の医学的知見を交え、手の痛みと握力低下のメカニズムを解き明かします。
第1部となる今回は、病態生理と詳細な評価法について徹底解説します。
次回の第2部では具体的なアプローチ方法について解説していく予定です。
では、早速やっていきましょう!!




第1章

神経不全の病態生理~「神経の酸欠」と

「ダブルクラッシュ」
まず、医学的に「神経が痛む」「機能が落ちる」とは
どういう状態なのかを理解する必要があります。

 1. 神経も呼吸している:Vasa Nervorum(神経栄養血管)
多くの人は神経を「電気コード」のようなものだと考えています。
しかし、神経は生きた組織であり、酸素と栄養を大量に消費します。
神経の内部には**「神経栄養血管(Vasa Nervorum)」**という
微細な血管網が張り巡らされています。

手根管症候群や肘部管症候群などの「絞扼性神経障害」では、
物理的な圧迫によって、まずこの神経栄養血管の血流が阻害されます。
医学的には以下のプロセスを辿ります。
1. 静脈うっ滞:圧迫により神経内の血液が戻らなくなる。
2. 虚血(Ischemia):新鮮な酸素が届かず、神経が「酸欠」になる。
3. 神経内浮腫:低酸素状態により血管透過性が亢進し、神経内部がむくむ。
4. 線維化(Fibrosis):浮腫が長期化すると、神経内部に瘢痕組織ができ、
不可逆的な変性が始まる。

私たちが「痛み」や「しびれ」として感じるのは、
この**「神経の虚血(酸欠)」**に対する

SOS信号であることが多いのです。
したがって、治療の第一義は、圧迫を解除し、
**「神経への血流を回復させること」**にあります。

2. ダブルクラッシュ症候群(Double Crush Syndrome)
「手首が痛いから手首だけ治療する」
これが奏功しない最大の理由は、**「ダブルクラッシュ症候群」**
という概念で説明できます。
これは、1973年にUptonとMcComasによって提唱された概念で、
**「神経の近位部(首や肩など)で軽微な圧迫や障害があると、
遠位部(手首や指)が少しの圧迫でも重篤な症状を引き起こしやすくなる」**
というものです。
神経細胞の中では、細胞体(脊髄など)で作られた栄養因子や
神経伝達物質を末端(指先)へ運ぶ**「軸索輸送」**が行われています。
もし、首(頚椎)や肩、肘でこの輸送が滞っていたらどうなるでしょうか? 
指先の神経は栄養不足で脆弱になり、少しのマウス操作や家事の負担だけで、
容易に手根管症候群を発症してしまうのです。
つまり、手の痛みを治すには、手首だけでなく、
**頚椎から指先に至る「神経の走行全体」を評価し、アプローチする必要がある**のです。




第2章

解剖学的・機能的分類~3つの主要神経~
腕の機能は、腕神経叢(胸にある神経が多く集まった場所)から分枝する
3つの主要神経(正中・尺骨・橈骨)によって支配されています。
それぞれの解剖学的特徴と、障害された際の臨床症状を詳細に見ていきましょう。

1. 正中神経 (Median Nerve) ~「精緻さ」の神経~
* 走行:頚椎(C5-T1)から出て、上腕の内側、肘の前面(円回内筋の間)、
前腕の中央を通り、手首の**手根管(Carpal Tunnel)**を通過して指に至ります。

* 感覚支配:親指、人差し指、中指、薬指の橈側(親指側)1/2の手掌面。
指先の繊細な感覚を担います。

* 運動支配:
* 円回内筋・橈側手根屈筋:手首を回内(内側にねじる)、屈曲(下に曲げる)させる。
* 母指球筋:親指の対立運動(小指と合わせる動き)や屈曲。
臨床的特徴
* 円回内筋症候群:肘の前での圧迫。手根管症候群と誤診されやすい。
* 猿手(Ape Hand):重度麻痺では母指球が痩せ、親指の付け根が平らになる。
* OKサイン不可:人差し指と親指の屈曲ができず、きれいな丸が作れない。

 2. 尺骨神経 (Ulnar Nerve) ~「パワー」の神経~
* 走行:頚椎(C8-T1)から出て、上腕の内側、肘の内側後方(**肘部管**)、
前腕の尺側を通り、手首の**ギヨン管(Guyon's Canal)を通ります。

* 感覚支配:薬指の尺側(小指側)1/2、小指の手掌・手背。

運動支配:
* 尺側手根屈筋:手首を小指側に曲げる。
* 骨間筋・虫様筋(第3,4):指を開いたり閉じたりする、MP関節を曲げる。
* 母指内転筋:親指を人差し指側に引き寄せる(握力の「締め」に重要)。
臨床的特徴:
* 肘部管症候群:肘をついたり、曲げ続けたりすることで発症。
* 鷲手(Claw Hand):薬指と小指が伸びなくなり、鉤爪のように曲がってしまう変形。
* フローマン徴候:紙を親指と人差し指で挟んで引っ張ると、
親指が曲がってしまう(母指内転筋麻痺の代償)。

 3. 橈骨神経 (Radial Nerve) ~「解放」の神経~
* 走行:*頚椎(C5-T1)から出て、腋窩、上腕骨の後ろ(**橈骨神経溝**)を
螺旋状に回り、肘の外側を通って手背へ。

*感覚支配:** :手背の橈側(親指・人差し指の水かき部分)。
※指先の感覚は正中神経が担うため、橈骨神経麻痺でも指先の感覚は保たれることが多い。

運動支配:
*上腕三頭筋:肘を伸ばす。
*手根伸筋・指伸筋群:手首と指を反らす(伸展)。
臨床的特徴:
*下垂手(Wrist Drop):** 手首が反らせず、だらんと垂れ下がる。
*ハネムーン麻痺/サタデーナイト麻痺:
 上腕を圧迫したまま寝てしまうことで起こる急性麻痺。
*テニス肘との関連:橈骨神経深枝の絞扼は、
 難治性のテニス肘(外側上顆炎)の原因となることが多い。




 第3章

Evidence-Based Evaluation

(根拠に基づく評価法)
画像診断(MRIや神経伝導速度検査)も重要ですが、
日々のコンディショニングにおいては、自覚症状と
機能評価を用いたスクリーニングが極めて有効です。
脳は身体の鏡であり、神経の不調は即座に「感覚」と「運動」の出力変化として現れます。

1. 徹底的な感覚検査(Sensory Testing)
大脳皮質の体性感覚野において、手(特に指先・唇)は
非常に広大な領域を占めています(ペンフィールドのホムンクルス)。

そのため、わずかな感覚の異常は、脳機能の低下や神経の不全を鋭敏に反映します。
*検査法:閉眼状態で、検者が綿や指先で患者の指を触れます。
評価項目:
* 触覚閾値:「触れているのがわかるか?」
* 識別覚:「右と左で同じように感じるか?」(左右差の確認)
領域別チェック:
* 親指・人差し指(正中神経領域)
* 小指(尺骨神経領域)
* 親指と人差し指の間の手の甲(橈骨神経領域)
医学的意義:** 運動麻痺(筋力低下)が出現する前に、
感覚障害(知覚鈍麻や異常感覚)が先行して現れることが多いため、
早期発見の鍵となります。

2. 指別・握力検査(Fractionated Grip Strength)
一般的な握力計では「手全体」の力しか測れません。
しかし、どの神経が障害されているかを見抜くには、指ごとの筋力評価が必要です。
*検査法:ボトルや検者の指などを、特定の指だけで握らせる、または抵抗運動を行う。
評価項目:
* ピンチ力(つまむ力):親指と人差し指で輪を作り、検者がそれを引き離す。
 弱い場合は**正中神経**の問題を示唆。
* 指の開排力(広げる力):指をパーに開き、検者が指を閉じようとする力に抵抗する。
弱い場合は**尺骨神経**(骨間筋)または**橈骨神経**(伸筋群)の問題を示唆。
* パワーグリップ(小指側の握り):小指と薬指だけで強く握り込む。
ここが弱いと全体の握力が著しく低下する。**尺骨神経**の問題を示唆。

3. 神経伸張テスト(Neurodynamic Testing / ULNT)
整形外科的テスト法であるULNT(Upper Limb Neurodynamic Test)の簡易版です。
神経をあえて伸張させる姿勢をとり、症状が誘発されるかを確認します。
メカニズム:
神経は本来、関節運動に合わせてスライド(滑走)します。
しかし、癒着や浮腫があると滑走性が低下し、伸張時に痛みやしびれが生じます。
重要性:
このテストで症状が再現される場合、問題は筋肉ではなく
「神経の滑走不全」にある可能性が極めて高くなります。
(※具体的な姿勢は第2部で解説します)




第4章

脳と神経の可塑性~なぜ「運動」が必要なのか~
従来の治療では「神経障害=安静」が常識でした。
しかし、近年のリハビリテーション医学では、
**「痛みのない範囲での早期の運動療法」**が推奨されています。
その理由は2つあります。
1. **ポンプ作用による浮腫の軽減:**
筋肉を動かし、神経を滑走させることで、静脈還流が促進され、
神経内部の浮腫(むくみ)が軽減されます。これにより、神経への酸素供給が回復します。
2. **皮質表現領域(Cortical Map)の維持:**
痛みやしびれにより手を動かさなくなると、脳内の「手の地図」がぼやけ(Smudging)、
運動制御能力が低下します。適切な感覚入力と運動を行うことで、
脳の地図を鮮明に保ち、慢性痛への移行を防ぐことができます。




 第1部のまとめ
手の痛みや握力低下は、単なる局所の炎症ではなく、
**「頚椎から指先に至る神経経路のどこかで生じた血流障害(虚血)と、
それに伴う脳とのコミュニケーションエラー」**である可能性が高いと言えます。
* 正中神経:つまむ動作、親指側の感覚
* 尺骨神経:パワーグリップ、小指側の感覚
* 橈骨神経:手を開く動作、手の甲の感覚

これら3つの神経のうち、どこに問題があるのかを上
記の評価法で特定することが、改善への最短ルートです。
続く第2部では、これらの医学的背景を踏まえ、
自宅で安全かつ効果的に実施できる
**「神経系モビライゼーション(神経滑走エクササイズ)」**の
具体的な方法を、図解とともに詳しく解説していきますので、
楽しみにしておいてくださいねチューキラキラ
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう爆  笑