現代の化粧品や美容法をとりまく実態や問題点を、一般の方々が事細かに理解するのは大変にむずかしいことです。
しかしむずかしいとあきらめていたら、あなたの大切な肌は大きな、深刻なダメージを受け続けることになってしまいます。だから決してあきらめないでください。
まず簡単に整理することにしましょう。肌を守り、より美しくなるためのポイントは、大きく次の3つに整理することができます。
①皮膚を健康にすることが化粧品の前提である
②皮膚は排泄器官なので、栄養を外部からいれても異物にしかならない
③合成界面活性剤を乱用する化粧品は皮膚を破壊して危険である
①についてですが、健康であるということは何よりも美しいものです。人間は、健康で生命力にあふれたものには、内面的にも外面的にも深い魅力を感じ、本当の意味での美を感じるからです。
だからこそまず第一に大切なのが、皮膚を健康にすることです。どんなに巧みなメイクアップであったとしても、土台である皮膚が不健康だったら、単なるごまかしにしかすぎません。誰の目にであろうと、ごまかしはごまかしとしてしか映りません。
皮膚組織の細胞そのものを健康にする。肌のバリアゾーンを壊さない。これこそが化粧と美容の基本です。
②は「皮膚に栄養と潤いを与える」といったCMにまどわされて、皮膚の健康と美しさは外から作ることができるかのように誤解している方が少なくありませんが、これは基本的にまちがっています。
肌の表皮は身体にとって一番外側の組織です。外へ外へと作られる身体の末端です。その意味では、いらなくなった組織をアカという形で排泄している部分なのです。
したがって外からの栄養を吸収し、利用するという働きはありません。
皮膚の栄養は、身体の内部から補給されるという原則を大切にして下さい。つまり、食べた栄養が皮膚を作るのです。
皮膚は身体全体の健康の鏡ともいわれています。
③の合成界面活性剤の及ぼす害については、後でくわしくお話しします。ここで知っておいていただきたいのは、合成界面活性剤を含んだメイク化粧品の場合、せっかくよい基礎化粧品で肌のコンディションを整えたとしても、メイク化粧品が基礎化粧品と混合し、相乗作用を起こしてしまい、せっかくのコンディションを台なしにしてしまうということです。
これからの化粧と美容は、以上の3つの条件を土台として考えてゆかなければなりません。
●角質層の3つの条件
さてあなたが肌につける化粧品は、角質層(外殻)から浸透して、顆粒層(内殻)表面に接触します。
この外殻と内殻の両方を合わせて角化層と呼びますが、ここが異物を身体に侵入させないように守ってくれている、いわば皮膚のバリアゾーンというべき部分です。
卵にたとえてみると分かりやすいかもしれません。
卵の場合いちばん外側の硬くて厚い外殻と薄くて軟らかい内殻があります。この二つの殻がバリアゾーンです。
これがなかったら、卵の生命活動は異物の侵入によって即座に破壊されてしまうに違いありません。
では、もしもバリアゾーンを乗り越えてまで内部に浸透する物質を塗りつけてしまったらどうでしょう。
卵の殻がいくら頑張ったところで、役に立ちません。
今日の化粧品では、これに非常によく似た事態を引き起こしているのです。合成界面活性剤は、強い溶解力と浸透力を発揮し、バリアゾーンを破壊し乗り越えてしまいます。
つまり異物を卵の中身(表皮胚芽層)にまで到達させてしまうに等しい状況を作っているのです。
化粧品は、バリアゾーンを破って皮膚組織内部に浸透した途端に、毒物として、あるいは異物として、組織細胞の状態を悪化させる方向に働いてしまいます。
これでは逆効果でしかありません。美容と化粧の重要なポイントは「バリアゾーンを健康にすること」にあるはずなのに、根本的なところで逆行してしまっているのです。
バリアゾーンのうちの内殻、つまり顆粒層は生きている細胞です。わざわざ化粧品を使って外から手を加えるところではありません。だとすれば、上手に手入れしなければならないのは死んでいる細胞の角質層です。
では角質層をどんな状態にすればよいのか。理想的な角質層のポイントは次の三つになります。
①適度な厚さ
②組織の密度が高い
③代謝が活発で、ほぼ毎月のペースで新しく入れ替わり、組織がいつも新鮮
角質層が適度な厚さであるというのは第一条件です。しかしただ単に厚ければよいというものでもありません。サメ肌のようにいくら厚くても組織が緻密でなければ化粧品にかぶれやすくなります。
また組織にいつまでも古い角質が残っていると、それを強化するためにメラニン色素が余分に分布するようになり、透明感のない、やや黒ずんだ肌になります。
いずれにしても、上記の3条件を満たすには、合理的な食生活と正しい基礎化粧法で健康な角質層をめざすことが美容の第一歩となります。
「カエルの面に水」ということわざがあります。広辞苑によれば「(厚かましくて)どんな仕打ちにあっても平気でいるありさま。しゃあしゃあとしていること」となっていますが、いつも化粧品のことばかり考えている私たちには、ちょっと違った意味に感じられてしまいます。
水がなくては身体の表面が乾いてしまったようなカエルも、水をかけてやると俄然活気づく。
そんな意味合いを連想してしまうのです。カエルのように皮膚から水分を吸収することができる動物の場合、まさにそのとおりのことが起こります。
でも私たち人間の場合は、そうはゆきません。人間は、たとえどんなに長くお風呂につかっていても、どんなに長く海水浴していても、皮膚から水分を吸収するということはありません。皮膚の表面がふやけはしますが、これは角質層が水分を含んだだけで、その下の組織まで吸収されることはないのです。
私たち哺乳類は、皮膚から、水分ばかりでなくどんな栄養分も吸収することはできません。
人間の皮膚は、いちばん上の角質層、次に顆粒層、次にゆうきょく細胞、さらに基底細胞層(母細胞)からなる表皮、そして毛細血管のある真皮層という順で構成されています。
外部からの細菌、塵、ガス、水などは、ケガや火傷などによって組織が破壊されたとき以外、この組織全体が守ってくれているために、例外的な物質の場合を除いて体内に入ることはできません。ここがカエルのような両生類と根本的に違うところです。
カエルの皮膚は人間の場合と違って、水をとり入れます。また皮膚からとり入れられた水は、身体内部の生命活動・生理活動に役立てることができます。
「皮膚から吸収する」とは、このカエルの場合のような状態をいうのです。
「あら!そんなことないじゃない!だって洗顔すれば肌がシットリするわよ。あれは肌が水分を吸収したということじゃないの?」
と反論する方もあるかもしれません。
でも違います。人間の肌の場合、水に接して一時的にはシットリしたとしても、ほんのしばらくすれば蒸発してしまいもと通りに乾いてしまいます。
確かに皮膚組織のいちばん外側の角質層までは、ある程度水分を含みますが、しかしそれ以上内部の組織に入って役立つことはなく、水分が真皮層にまで届くことはないのです。したがって、洗顔などによって皮膚の外に接した水分が、皮膚細胞の中の水分としてはもちろん、あらゆる生体細胞中の水分として利用されることもありません。つまり、水分ばかりでなく、栄養素なども浸透することはあっても吸収されて細胞の活動に利用されることはないのです。
もうお分かりですね。化粧品メーカーは、テレビや雑誌の効果を最大限に利用して、さも「お肌が栄養分を吸収する」かのように宣伝しますが、これは大きなウソです。
そしてこれはウソだけではすみません。薬効成分や微量栄養素を肌に侵入させるということは、皮膚のバリアゾーンを破壊するということなのです。いかにも美白の素かのように宣伝されるビタミンCにしても、肌に浸透させることには危険性があるのです。
すでに「皮膚は排泄器官である」と書きました。この意味に注目して下さい。けっして消化吸収器官ではないのです。皮膚は体内で不要になったものを体外に排出する機能をもっていても、胃や腸のように栄養分を吸収する機能はもっていないのです。
では、「排泄器官」である皮膚に塗る化粧品には、どんな働きを期待したらよいのでしょう。
その第一は角質層を弱酸性に維持し、外界からの様々な刺激から肌を守るという働きなのです。
水がなくては身体の表面が乾いてしまったようなカエルも、水をかけてやると俄然活気づく。
そんな意味合いを連想してしまうのです。カエルのように皮膚から水分を吸収することができる動物の場合、まさにそのとおりのことが起こります。
でも私たち人間の場合は、そうはゆきません。人間は、たとえどんなに長くお風呂につかっていても、どんなに長く海水浴していても、皮膚から水分を吸収するということはありません。皮膚の表面がふやけはしますが、これは角質層が水分を含んだだけで、その下の組織まで吸収されることはないのです。
私たち哺乳類は、皮膚から、水分ばかりでなくどんな栄養分も吸収することはできません。
人間の皮膚は、いちばん上の角質層、次に顆粒層、次にゆうきょく細胞、さらに基底細胞層(母細胞)からなる表皮、そして毛細血管のある真皮層という順で構成されています。
外部からの細菌、塵、ガス、水などは、ケガや火傷などによって組織が破壊されたとき以外、この組織全体が守ってくれているために、例外的な物質の場合を除いて体内に入ることはできません。ここがカエルのような両生類と根本的に違うところです。
カエルの皮膚は人間の場合と違って、水をとり入れます。また皮膚からとり入れられた水は、身体内部の生命活動・生理活動に役立てることができます。
「皮膚から吸収する」とは、このカエルの場合のような状態をいうのです。
「あら!そんなことないじゃない!だって洗顔すれば肌がシットリするわよ。あれは肌が水分を吸収したということじゃないの?」
と反論する方もあるかもしれません。
でも違います。人間の肌の場合、水に接して一時的にはシットリしたとしても、ほんのしばらくすれば蒸発してしまいもと通りに乾いてしまいます。
確かに皮膚組織のいちばん外側の角質層までは、ある程度水分を含みますが、しかしそれ以上内部の組織に入って役立つことはなく、水分が真皮層にまで届くことはないのです。したがって、洗顔などによって皮膚の外に接した水分が、皮膚細胞の中の水分としてはもちろん、あらゆる生体細胞中の水分として利用されることもありません。つまり、水分ばかりでなく、栄養素なども浸透することはあっても吸収されて細胞の活動に利用されることはないのです。
もうお分かりですね。化粧品メーカーは、テレビや雑誌の効果を最大限に利用して、さも「お肌が栄養分を吸収する」かのように宣伝しますが、これは大きなウソです。
そしてこれはウソだけではすみません。薬効成分や微量栄養素を肌に侵入させるということは、皮膚のバリアゾーンを破壊するということなのです。いかにも美白の素かのように宣伝されるビタミンCにしても、肌に浸透させることには危険性があるのです。
すでに「皮膚は排泄器官である」と書きました。この意味に注目して下さい。けっして消化吸収器官ではないのです。皮膚は体内で不要になったものを体外に排出する機能をもっていても、胃や腸のように栄養分を吸収する機能はもっていないのです。
では、「排泄器官」である皮膚に塗る化粧品には、どんな働きを期待したらよいのでしょう。
その第一は角質層を弱酸性に維持し、外界からの様々な刺激から肌を守るという働きなのです。
昭和20年代末から30年代初期にかけて、化粧品の原料とヒフの関係を理論的にとらえ、合成界面活性剤と化学添加物がヒフに与える毒性を化粧品公害と名づけて指摘したのは小沢王晃(おざわたかあき)、ゼノアの創設者です。
シャンプーが合成洗剤であり、バリアゾーンをこわしていろいろな化学添加物をヒフに入れてしまうこと、そしてシミやシワの大きな原因になっていることは今でこそ知られていますが、当時は見向きもされませんでした。
一方、このようにしてふえた化粧品公害が消費者の反発をまねき、添加物に対する批判や自然化粧品の流行を生みました。
化粧品の原料には油脂や石鹸が欠かせませんが、これらはみな酸化や腐敗しやすいので添加物が必要です。そこで化粧品業界は巧妙な手段を用いました。
油脂のかわりに合成樹脂を、石鹸のかわりに合成洗剤を使えば酸化防止剤も防腐剤もいらないことを利用したのです。合成洗剤も合成樹脂も表示義務がないので「無添加です」「自然化粧品です」と宣伝できたのです。
粘りけがあるが油を使っていない乳液やクリームは、水溶性の合成樹脂。ウォーターブルーのファンデーションや濡れた唇の口紅は、水に溶けない合成樹脂の応用です。
こうして今、女性は合成洗剤の洗顔フォームで顔を洗い、合成樹脂の乳液をすりこみ、合成樹脂のファンデーションや口紅を「落ちないし、仕上がりもきれいだし」と喜んで使っているのです。
一方、食品添加物は動物実験でその動物が一生毎日食べてもまったく影響しない量の100分の1から、各食品ごとにその使用量が制限されています。問題は多々あるにしても一応の論拠があります。
化粧品の許可量は食品の10倍程度ですが、その論拠ははっきりしていません。物質を吸収する腸皮にぬる食品とちがって、物質の侵入を拒否するヒフにぬるのが化粧品ですから、そういう意味でおおまかに10倍ぐらいならよかろうとしたのでしょうか。
化粧品はヒフにぬるものです。ヒフは物の侵入を拒否する皮ですから添加物も入りにくいのです。制限が食品ほどきびしくないのも当然です。
ヒフには角化層というバリアゾーンがあって異物の侵入を防いでいますが、万が一侵入したときは白血球やランゲルハンス細胞がその物質を捕らえ、捕らえそこなったものは「かぶれ」という現象をおこして排泄します。
こういう自衛のためのシステムも合わせてヒフのバリアゾーンと定義してもよいと思いますが、いずれにしろパラベンやエデト酸などの添加物をふくんだ石鹸を何十年も使ってきたのに体のヒフが今もきれいなままであることを確認していただきたいと思います。
化粧品のサンプルを使ってみると、しっとりとヒフが潤います。一見若返ったような気がするでしょう。「植物の潤い成分が」などという説明書を見ると「なるほどねえ」と思うにちがいありません。
しかし、ヒフが求めている最高のクリームは皮脂です。その皮脂はべとべとして気持ちがわるいのです。
ヒフには「つけると気持ちがわるい皮脂(親油性化粧品)が必要なのに、化粧品業界が開発し製造してきたのは「つけると気持ちのよい化粧品(親水性化粧品)だったのです。近代化粧品問題の根幹がここにあります。
合成樹脂なら刺激がなく、かぶれない化粧品を作ることができます。しかしヒフは合成樹脂にまみれて進化してきたのではありません。ヒフの環境が汚染されて、ヒフはますます弱くなります。すると一生、無刺激の合成樹脂化粧品しか使えないヒフになってしまうでしょう。
ここらで私たちは基本に帰って、化粧品はどうあるべきかを考える必要があるのではないでしょうか。
シャンプーが合成洗剤であり、バリアゾーンをこわしていろいろな化学添加物をヒフに入れてしまうこと、そしてシミやシワの大きな原因になっていることは今でこそ知られていますが、当時は見向きもされませんでした。
一方、このようにしてふえた化粧品公害が消費者の反発をまねき、添加物に対する批判や自然化粧品の流行を生みました。
化粧品の原料には油脂や石鹸が欠かせませんが、これらはみな酸化や腐敗しやすいので添加物が必要です。そこで化粧品業界は巧妙な手段を用いました。
油脂のかわりに合成樹脂を、石鹸のかわりに合成洗剤を使えば酸化防止剤も防腐剤もいらないことを利用したのです。合成洗剤も合成樹脂も表示義務がないので「無添加です」「自然化粧品です」と宣伝できたのです。
粘りけがあるが油を使っていない乳液やクリームは、水溶性の合成樹脂。ウォーターブルーのファンデーションや濡れた唇の口紅は、水に溶けない合成樹脂の応用です。
こうして今、女性は合成洗剤の洗顔フォームで顔を洗い、合成樹脂の乳液をすりこみ、合成樹脂のファンデーションや口紅を「落ちないし、仕上がりもきれいだし」と喜んで使っているのです。
一方、食品添加物は動物実験でその動物が一生毎日食べてもまったく影響しない量の100分の1から、各食品ごとにその使用量が制限されています。問題は多々あるにしても一応の論拠があります。
化粧品の許可量は食品の10倍程度ですが、その論拠ははっきりしていません。物質を吸収する腸皮にぬる食品とちがって、物質の侵入を拒否するヒフにぬるのが化粧品ですから、そういう意味でおおまかに10倍ぐらいならよかろうとしたのでしょうか。
化粧品はヒフにぬるものです。ヒフは物の侵入を拒否する皮ですから添加物も入りにくいのです。制限が食品ほどきびしくないのも当然です。
ヒフには角化層というバリアゾーンがあって異物の侵入を防いでいますが、万が一侵入したときは白血球やランゲルハンス細胞がその物質を捕らえ、捕らえそこなったものは「かぶれ」という現象をおこして排泄します。
こういう自衛のためのシステムも合わせてヒフのバリアゾーンと定義してもよいと思いますが、いずれにしろパラベンやエデト酸などの添加物をふくんだ石鹸を何十年も使ってきたのに体のヒフが今もきれいなままであることを確認していただきたいと思います。
化粧品のサンプルを使ってみると、しっとりとヒフが潤います。一見若返ったような気がするでしょう。「植物の潤い成分が」などという説明書を見ると「なるほどねえ」と思うにちがいありません。
しかし、ヒフが求めている最高のクリームは皮脂です。その皮脂はべとべとして気持ちがわるいのです。
ヒフには「つけると気持ちがわるい皮脂(親油性化粧品)が必要なのに、化粧品業界が開発し製造してきたのは「つけると気持ちのよい化粧品(親水性化粧品)だったのです。近代化粧品問題の根幹がここにあります。
合成樹脂なら刺激がなく、かぶれない化粧品を作ることができます。しかしヒフは合成樹脂にまみれて進化してきたのではありません。ヒフの環境が汚染されて、ヒフはますます弱くなります。すると一生、無刺激の合成樹脂化粧品しか使えないヒフになってしまうでしょう。
ここらで私たちは基本に帰って、化粧品はどうあるべきかを考える必要があるのではないでしょうか。