皮膚から栄養素は補給できない | スローコスメから見た新時代化粧品事情

スローコスメから見た新時代化粧品事情

化粧品の良し悪しは10年~30年(長期間)使用してお肌が健康であるかどうかにあります。

「カエルの面に水」ということわざがあります。広辞苑によれば「(厚かましくて)どんな仕打ちにあっても平気でいるありさま。しゃあしゃあとしていること」となっていますが、いつも化粧品のことばかり考えている私たちには、ちょっと違った意味に感じられてしまいます。

水がなくては身体の表面が乾いてしまったようなカエルも、水をかけてやると俄然活気づく。
そんな意味合いを連想してしまうのです。カエルのように皮膚から水分を吸収することができる動物の場合、まさにそのとおりのことが起こります。

でも私たち人間の場合は、そうはゆきません。人間は、たとえどんなに長くお風呂につかっていても、どんなに長く海水浴していても、皮膚から水分を吸収するということはありません。皮膚の表面がふやけはしますが、これは角質層が水分を含んだだけで、その下の組織まで吸収されることはないのです。

私たち哺乳類は、皮膚から、水分ばかりでなくどんな栄養分も吸収することはできません。

人間の皮膚は、いちばん上の角質層、次に顆粒層、次にゆうきょく細胞、さらに基底細胞層(母細胞)からなる表皮、そして毛細血管のある真皮層という順で構成されています。

外部からの細菌、塵、ガス、水などは、ケガや火傷などによって組織が破壊されたとき以外、この組織全体が守ってくれているために、例外的な物質の場合を除いて体内に入ることはできません。ここがカエルのような両生類と根本的に違うところです。

カエルの皮膚は人間の場合と違って、水をとり入れます。また皮膚からとり入れられた水は、身体内部の生命活動・生理活動に役立てることができます。

「皮膚から吸収する」とは、このカエルの場合のような状態をいうのです。

「あら!そんなことないじゃない!だって洗顔すれば肌がシットリするわよ。あれは肌が水分を吸収したということじゃないの?」

と反論する方もあるかもしれません。

でも違います。人間の肌の場合、水に接して一時的にはシットリしたとしても、ほんのしばらくすれば蒸発してしまいもと通りに乾いてしまいます。
確かに皮膚組織のいちばん外側の角質層までは、ある程度水分を含みますが、しかしそれ以上内部の組織に入って役立つことはなく、水分が真皮層にまで届くことはないのです。したがって、洗顔などによって皮膚の外に接した水分が、皮膚細胞の中の水分としてはもちろん、あらゆる生体細胞中の水分として利用されることもありません。つまり、水分ばかりでなく、栄養素なども浸透することはあっても吸収されて細胞の活動に利用されることはないのです。

もうお分かりですね。化粧品メーカーは、テレビや雑誌の効果を最大限に利用して、さも「お肌が栄養分を吸収する」かのように宣伝しますが、これは大きなウソです。

そしてこれはウソだけではすみません。薬効成分や微量栄養素を肌に侵入させるということは、皮膚のバリアゾーンを破壊するということなのです。いかにも美白の素かのように宣伝されるビタミンCにしても、肌に浸透させることには危険性があるのです。

すでに「皮膚は排泄器官である」と書きました。この意味に注目して下さい。けっして消化吸収器官ではないのです。皮膚は体内で不要になったものを体外に排出する機能をもっていても、胃や腸のように栄養分を吸収する機能はもっていないのです。

では、「排泄器官」である皮膚に塗る化粧品には、どんな働きを期待したらよいのでしょう。

その第一は角質層を弱酸性に維持し、外界からの様々な刺激から肌を守るという働きなのです。