小田玄紀です

 

 本日、リミックスポイントの20193月期決算を開示しました。

 

https://www.remixpoint.co.jp/ir/index.html

 

 売上117億円、経常損益▲17億円という数値であり、前期の売上143億円、経常利益33億円に比べると大きく減収・減益という結果になりました。前期の期初に立てた業績予想については仮想通貨を取り巻く市場環境が想定を超えて停滞期間が続いたために中間決算のタイミングで未定と変更させて頂きましたが、それでも今期の結果については株主をはじめとする多くの方の期待に対して著しく応えることができなく、大変申し訳なく、また、不甲斐ないと考えています。

 

 ただ、今回の結果をもって現在のビジネスモデルや組織体制が全て問題かというと決してそういう訳ではなく、この点を正しく理解頂くためにも通常は機関投資家説明会と合わせて開示をしている決算説明資料を、決算短信発表と同タイミングで開示をすることと致しました。

 

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08938/035eb7de/7fd0/400a/8389/cc11f5213b97/20190515153027613s.pdf

 

 こちらの資料になるべく具体的に前期の赤字の要因や今後の展開仮説を記載させて頂きましたが、主だったポイントについて改めて補足説明をさせて頂きます。

 

 まず、17億円の赤字の要因ですが主には前期に生じた仮想通貨の価格下落に伴う仮想通貨評価損および経営管理態勢強化のための業務委託費や監査費用等といった一時的費用が合計で15.4億円程度を占めます。現在はまた仮想通貨価格は上昇傾向にありますが、これからどのような市況になっているのかは正直なところ正確に予測することは出来ません。そのため、同じような一時的費用が今期以降も発生するかどうかは一概には言えませんが、前期においてはこの一時的費用によって大きな損失を計上するに至りました。

 

 また、前期これだけ大きな赤字を生じてしまいましたが、現状でもリミックスポイント連結貸借対照表として82億円の純資産があります。当然17億円の赤字は大きいですが、前期までの利益および資本金等により一定の純資産は維持をしています。

 

 そして何よりも重要なこととして、リミックスポイントは仮想通貨事業だけでなく多様な事業により底支えされています。売上の過半数を電力事業が占めており、エネルギー事業は売上67億円、事業部利益2.6億円と安定的な成長を実現しています。先週末には旅行関連事業のジャービスが運営する東京・京橋のホテルもグランドオープンし、中古車関連事業も前期比20%増近い売上を計上することが出来ました。

 

 今後はエネルギー事業、中古車事業、旅行関連事業で収益の安定基盤を構築し、金融事業の方で一定規模の収益を計上する組織構造へと転換していくことで特定の事業の市場環境に左右されない収益にもっていけると考えています。

 

 また、今回は収益面においても苦戦をした仮想通貨事業ですが、ここについては明らかに日本と海外。そして当事者とそうでない人との間で市場についての認識が大きく異なります。

 

今回の決算説明資料においても、仮想通貨市場がこれからどうなっていくのかという点について現時点で想定される予想を含めて記載をさせて頂きましたが、昨年より様々な講演会やブログなどで発信をしている通り、「仮想通貨市場は“もう終わった”のではなく‟これから“です」。

 

201712月~20182月などは日本の取引量がビットコイン全体の50%を占め、ビットコインの現物取引量だけで120003000億円近くありましたが、それがここ数か月は1100億円近くまで停滞をしていました。

 

主要な仮想通貨交換事業者に対して業務改善命令も出され、日本の仮想通貨ビジネスはもう成立しないのではという意見もありました。

 

ただ、この流れは明らかに変わりつつあります。

 

海外では仮想通貨に関する様々な法律・規制が導入されつつあり、6月に日本で開催されるG20においてもFATFに基づいた国際間の仮想通貨取引のルールが協議される予定です。

 

タイやマレーシアなどアジア諸国においても仮想通貨交換業の登録制が進んでおり、他国でもICOSTOのルール作りが進んでいます。こうして法整備化されることで機関投資家が参入してきます。

 

日本株式でも個人投資家は全体の17%程度であり大半は機関投資家です。当社が昨年3月に実施したマーケティング調査によると日本人で仮想通貨を実際に保有しているまたは保有していた経験があるという人は5%もいませんでした。

 

去年までは仮想通貨バブルとされましたが、それでも市場参加割合は限られており、むしろ市場が本格化するのはこれからです。

 

去年は国内でも2回に渡る仮想通貨流出事案がありましたが、その中でも各仮想通貨交換業者は経営管理態勢の強化に取り組んでおり、顧客よりの預かり資産もその大半をコールドウォレットにおいて管理したり、また、不正防止策としてコンプライアンスや内部管理態勢の強化を徹底して行っています。また、認定自主規制団体である一般社団法人仮想通貨交換業協会も発足し、様々な自主規制ルールの制定に動いています。

 

この自主規制ルールの一環として新規仮想通貨の取扱いやICOのルール作りも具体的に取り組んでおり、ビットポイントもこのルール作りに深く関わっています。

 

こうした地道な一つ一つの取組みが、仮想通貨市場の健全な成長・発展を下支えしており、さらに最近ではDappsゲームをはじめとしてブロックチェーン技術を活用したサービスが普及しつつあります。

 

リミックスとしてもこれらサービスに積極的な投資をしており、仮想通貨交換所に依存しない収益体制を構築しつつあります。

 

もちろん、肝心の仮想通貨交換所についても抜本的な改革を今、動いています。開発体制を刷新し、UI/UXの改修。新規仮想通貨の取扱に向けた取組。インフラ/エンジンの刷新。少し時間はかかりますが、今年中に諸々の取組を実現させてユーザーから支持をされるサービスへと昇華させていきます。

 

 今回の業績により多くの方の期待を失ってしまったことは事実として受け止め、他方で今進めている取組みにより、社員・株主・取引先そしてそのご家族を含めて再び信頼して頂くことを目指して、進んでまいりたいと思います。

 

 なお、決算短信発表前より多くの機関投資家やメディア関係者の方から取材依頼を頂いております。今回の業績ではありますが、従来通り変わらず対応させて頂きます。

 

2019515

    小田玄紀