小田玄紀です
数年前にコラムで書いて、また最近一部SNSで投稿したところ評価を頂いたのでブログにても再掲となるのですが、今日は「メリット」と「価値」の違いについて考えていきたいと思います。
何かのサービスが顧客にとって「メリットがあること」と「価値があること」は一見すると同じことのように思えますが、実はこの2つには大きな違いがあります。
「メリット」だけあってもその商品を買ってくれたりサービスを使ってくれる人はいます。ただ、本当の意味で広がり、継続的に使ってもらうためにはその商品・サービスが「価値」を持つ必要があります。
たとえば、1つの例で考えてみます。
多くの企業はモノ・コトの対価としてお金をもらいます。それではユーザーにとってメリットがあるモノをお金をもらわずにやっていったら爆発的に普及する・・・はずと考えてしまいます。
フリーペーパーなどはその例です。作り手からするとお得な情報が無料でもらえる。これは貰わない人がいない訳がない・・・と考えて作ってしまいます。しかし、実際にはユーザーからするとフリーペーパーをもらっても重たいし、自分にとって必要な情報が少ないから要らない・・・のようになってしまいます。
つまりフリーペーパーはユーザーにとってお金がかからないで情報をもらえるという「メリット」はありますが、それを“どうしても必要”と思えるだけの「価値」には至っていません。
「価値」というのは、その商品・サービスがあることがプラスになり、どうしても使ってみたいと思えるようになることが1つの基準です。
私が経営するBitpointでは本日、仮想通貨の店舗決済サービスを正式にリリースしました。
これは去年から試験的には導入提案をしていました。初期費用無料・月額費用無料・決済手数料1%というのは顧客にとって明らかにプラスと思ってプレ営業をしてみました。
結果としては、反応が悪くはないものの「まあ使ってみる・・・」という程度の反応が大半でした。私も実際に他社の仮想通貨決済を利用している店舗に行って、仮想通貨決済を使ってみましたが、実際の現場としては利用する方は「まだ月1~3組程度であり、スタッフも使い方を覚えてくれない。これだけのために会計トラブルがあると困るからあまり積極的でない・・・」というような意見が大半でした。
つまり、仮想通貨決済だけだとメリットはあります。しかし、それが価値には至っていないということです。
Bitpointについては先週に中国最大SNSである微博(ウェイボー)との提携が決まりました。この提携を受けて流れが大きく変わりました。これまでは「低コストな仮想通貨決済というメリット」しか売りに出来ていなかったのが、ここに「集客という価値」が付与されました。
現にこの点でプレ営業をしてみると反応が大きく変わりました。店舗経営者にとっての価値は「収益に貢献すること」です。コスト削減は確かにメリットはありますが、最大の価値は売上を増やすことです。今回の微博(ウェイボー)との提携によりこれが実現したことがBitpointの仮想通貨決済サービスを「メリット」から「価値」に変えました。
・・・とここまでいったからには何としても仮想通貨店舗決済サービスを普及して成功させていく必要も出てきたのですが(笑)、何かサービスを考える上で反応が思ったよりイマイチな場合、「本当に自分が価値を提供できているのか」という点に立ち返って考えてみるのは1つ重要なことなのかもしれません。
2017年1月30日
小田玄紀