小田玄紀です


 最近は私自身がビットコインに関連する仕事をしているので、ビットコインを活用したビジネスをしている人と出会うことが多くなりました。こうした人たちの間ではビットコインを扱うことが当たり前なものになっています。


 他方で海外を見てみてもビットコインを決済手段・送金手段として使うことが日常的になっている方もいますし、自国通貨より安全な資産として投資保有する方もいます。実際に6月のイギリスEU離脱の際には安全資産として金同様にビットコインが買われたこともありました。


 このように「ビットコイン=安心」と思う人がいる中で、多くの日本人はビットコインというとマウントゴックス社を思い浮かべてしまい、「ビットコイン=不安」と思ってしまうと思います。


 実際に新しいものは何事もリスクが付きまとうものであり、そのリスクは本当のリスク・課題と風評やイメージに伴うリスク・課題に分けられます。特にビットコインに関しては取引をしてみると風評やイメージに伴うリスクがただのイメージに過ぎなかったということが分かってきます。


 とはいえ、多くの人が未だにビットコインに対して否定的な印象を持っていることは事実です。そこで、ビットポイントでは国内の仮想通貨取引事業者としては初の信託保全サービスを導入しました。


 来年以降に仮想通貨取引事業者は金融庁管轄のもとで登録制度になります。様々な登録要件があるのですがその中でも顧客資産の分別管理は要件として求められるものの1つです。


 顧客資産の分別管理の方法としては顧客預かり口座を別にする、第三者の会計士に監督させる、弁護士のエスクロー口座を活用する、信託保全をするといった様々な階層があるのですが、今回選択した信託保全というのは顧客資産の分別管理の中でも最も厳格な方法です。


 来年以降の登録要件において、ここまで求められるかは分かりません。


 ただ、現実として多くの方が「ビットコイン=不安」と思ってしまっている現実の中では必要以上に自ら厳しく管理・監督をしていく必要があると考えています。


 コストや手間はかかりますが、「ビットコイン=不安」と思う方がビットコインの取引をはじめ、健全な仮想通貨取引が行われることが市場の活性化に繋がると考え、信託保全スキームを採用することにしました。


 もちろん、このスキームだけで「ビットコイン=不安」から「ビットコイン=安心」に代わる訳ではありませんが、1つ1つの施策が結果的に流れを生み出していくと考えています。


 2016年7月19日

      小田玄紀