小田玄紀です


 「仮想通貨」という言葉はここ数年で新聞や雑誌でも良く聞かれるようになった言葉の1つです。日本では2014年にマウントゴックス社の破綻により仮想通貨の1つであるビットコインに対して危険・怪しいといったネガティブな印象が付与されてしまいましたが、他方でこの1~2か年の間で仮想通貨を生み出したテクノロジーであるブロックチェーンは金融の在り方を変えるとされて注目されています。


 日本でも今年の5月25日に仮想通貨に財産的価値を認めて決済手段に使うための開成資金決済法が参議院で可決され、公布後1年以内に仮想通貨も決済手段としての価値が認められることになります。


 つまり1年後にはビットコインを含む仮想通貨が日常生活にも浸透する可能性があります。今後、不定期にはなりますが仮想通貨に関してブログを更新していきたいと思います。


●ブロックチェーンとは

 仮想通貨のベースとなる技術はブロックチェーンと呼ばれます。最近ではメガバンクもこのブロックチェーンを採用する動きがあり、技術としては認められたものとなっています。


 ブロックチェーンを一言で表すと「分散型台帳技術」と言われます。ただ、これだけ言っても分かる人は少ないと思います。


 分散型台帳とはどういうことかというと、たとえばAさんが銀行に100万円の預金を持っていたとします。この場合Aさんの通帳には100万円の残高が記されます。仮にAさんが超高性能印刷機を購入して、この通帳に残高1億円と書き込んだとします。しかし、この通帳を銀行に持っていったとしてもAさんは100万円しかおろすことが出来ません(正確に言うと、この通帳を銀行に持っていくと私文書偽造などで逮捕される可能性もありますが・・・)。


 これは何故かというと、銀行は中央サーバーで顧客の台帳(残高や入出金履歴)を管理しており、この中央サーバー情報に対して強固なセキュリティを有しているからです。つまり、仮に不正をしようと思ったら顧客の通帳ではなく銀行の中央サーバーを改竄する必要があります。


 これを防ぐために銀行などは中央サーバーの維持・保守に多額の資金を投下しています。


 ブロックチェーンはこの発想が全く異なります。中央サーバーのセキュリティを高めるのではなく、顧客の台帳をネットワークに繋がっているユーザー全員で共有します。ただし、この時にその台帳とAさんを紐付ける情報は分けて共有されます。


 イメージとしては匿名の通帳を何百万人という人が保有している状態になります。この場合、誰か特定の通帳を改竄したとしても、その他の人の通帳と照合するとその通帳が改竄されたことが分かります。


 つまり、仮に不正をしようと思った場合にはネットワークに繋がっている全ユーザーの情報を改竄する必要が出てきます。1件1件の改竄は簡単かもしれませんが、全ユーザーの変更は現実的に極めて難しくなります。セキュリティ突破が難しい中央サーバーにセキュリティ費用をかけるのではなく、個別のセキュリティ突破は容易なものの何百万というユーザーが存在することで現実的に情報改竄が出来なくなるようにしたというのがブロックチェーンの特徴であり、このため、大手金融機関も大幅にコストを抑えることが出来ることになります。


 実際に東京三菱UFJ銀行はMUFGコインを発行したり、みずほ銀行も海外送金にブロックチェーンの技術を活用し、これまで数日かかっていた海外送金を数秒に短縮する取り組みに動いています。


 仮想通貨そしてこれに使われるブロックチェーン技術が日本においても金融の在り方を変えようとしています。


 長くなりそうなので、続きは別のブログで書いていきます。


 2016年7月18日

    小田玄紀