小田玄紀です


 先日、あるベンチャーキャピタリストと話をしていました。

テーマは「社会起業家は投資対象になるか?」という点です。


 私とその人が共通して出した答えは「No」でした。


 ただし、「社会性が高い企業への投資可能性は高い」という考えは合致しました。


 『なぜ社会起業家は投資対象にならないのか』という問いかけに対する回答はシンプルです。


 あくまで投資は投資なので、リターンが求められます。「社会起業家だから投資する」というのは寄付です。寄付だと景気状況によって大きく左右され、継続性がありません。資金の継続性がないと事業の継続性も困難になり、結果的に社会事業として成立しなくなります。


 よって、社会起業家だからという理由で投資対象になるということはならないし、むしろなるべきではないと思っています。


 他方、投資先が社会性が高い企業の割合が増えてきているというのは事実です。


 この2~3年は株式公開を行う企業数も極端に減少し、ベンチャーキャピタルの多くが苦戦をしています。投資をしてもEXITが見えない。他方でファンドの償還期限があるために投資を一定期限内までにする必要がある。こういうファンドが多数存在しています。


 ファンド側も以前であれば高い投資パフォーマンスを売りにしていましたが、現状では如何に損失を出さないかを留意しており、この中で『投資対効果のパフォーマンスは一定ながらも社会性が高い企業に対して投資をしている』ということがファンドの大義名分としても成立するようになってきています。


 この状況は社会起業家にとってはチャンスではないでしょうか。


 資金を受けられるチャンスであるだけでなく、事業・組織を見直すためのチャンスにもなります。


 「理念」・「社会性」に加えて「事業性」「金銭的対価」を強く意図することで、活動内容に変化が生じるかもしれません。その結果として、新しい収益構造が生まれるかもしれません。さらに投資を受けられることもあるかもしれません。


 社会起業家だからといって投資対象にはならなくても、社会性が高い企業への投資は多くの投資家が期待していることです。多くの社会起業家の方は“社会性”は十分に持っていると思います。なので、この機会に“事業性”をより意図することか、理念の実現に大きく寄与すると思います。


 小田玄紀