観たよ♪「クライマー パタゴニアの彼方へ」 ~そこに山があるからと言う理由だけではないのだ~ | 松丸元気のあ~ゆう事やそ~ゆう事

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※それなりにネタバレが含みます





「クライマー パタゴニアの彼方へ」

2013年制作・2014年公開 オーストリアのドキュメンタリー映画


監督:トーマス・ダーンホファー
出演:デビッド・ラマ、ピーター・オートナー、トニー・ポーンホルツァー


南米パタゴニア。難攻不落と呼ばれ、世界中のクライマーたちを惹き付けてやまない山「セロ・トーレ」。
50年間以上に渡り、この山頂への登頂は物議を醸し、今だに誰が本当の意味でこの山頂を征服出来たのか答えは出ていない。
史上最年少でクライミング世界チャンピオンの称号を手に入れたデビッド・ラマはこの前人未到の山に果敢に挑戦するが、様々なアクシデントやトラブルに苛まれ、また世論の酷評などに打ちのめされたりもするが、持ち前のチャレンジスピリッツで最小限のボルトとロープだけのフリースタイルでセロ・トーレ登頂に果敢に挑戦する・・・




世界で一番登頂が難しいと言われる南米パタゴニアの山「セロ・トーレ」の南東稜からの登頂に挑むクライマーのドキュメンタリー映画


フリークライミングの最年少世界チャンピオン、デビッド・ラマが様々な困難の中、セロ・トーレに挑戦する3年間を密着して撮影


ドキュメンタリーならではの迫力と自然の景色の雄大さとガンガン来ます


山を舞台に描いた映画って実は沢山あるんだけど、自分の中ではシルベスター・スタローンの「クリフハンガー」を思い出す



このクリフハンガー、スタローン自身も結構お気に入りらしく、「クリフハンガー2」も製作が決定していて、スタローンも前向きに出演を検討しているらしい


まぁ、これは実際のクライミングではあり得ない描写が結構使われているので“こんなので山の映画なんて、ちゃんちゃらオカピーぜ!”と言われる方もいるかとは思いますが、スタローンも好きだし、山でのアクションも派手なので、個人的には好きなんですよ


でも、本来の山登りとかクライミングって、もっと過酷で孤独で地味な物かとは思います


知り合いの山ガールにたまに山登りに誘われたりしますが、ハイキングとかと違って、富士山とかの登頂でも結構装備を揃えないとダメなんですよね~


それにその装備もなんだかんだで結構高額だったりします


クライミングはやったことがないんだけど、基本指を使って登るなんて、凄いな~と思う


もうそれ用の身体になってると言う事なんですよね


自分からしてみれば、なかなかな超人なんですが、そんな超人の頂点に立つ人間のドキュメント映画って、どんなんかいな?と興味があったんです


それに高所恐怖症でも、馬鹿と煙は高い所に昇りたがると言いますから、高い所の景色も見たかったし、ポスターの雄大な自然にも惹かれた訳です


で、感想はと言うと・・・





良いですね~♪ ドキュメンタリーってあんまり観た事がないんだけど、コレ結構面白いです


ドキュメンタリーに有りがちな退屈な場面や展開も少ないです(まあ、ドキュメンタリーなんで演出的な物は基本無いんでそんなもんかと思いますが)


前半は結構間延びしている様な所もありますが、中盤から後半にかけては怒涛の展開の如く、攻め込んできます


ヘリコプターからの撮影で分かる、セロ・トーレの無慈悲な180度の垂直な壁に唖然とし、ヘルメットに備え付けられたカメラから映し出された、高さと崖の過酷さ、足元の不安定さのクライミングの映像にアングリします


高所恐怖症の方は足が確実にガクブル物で、掌に汗もかいてしまうぐらいの迫力


特に後半の3度目のチャレンジとなるフリークライミングでの登頂はマジで手に汗握ります


だって、命綱は付いていても、基本素手で登っていくし、また昇っていく崖も割とつるつるする岩なので、僅かな窪みや亀裂に指を入れて登っていく


指だけでぶら下がって、足場が無いなんて、考えただけでも…無理です((((;゜Д゜)))


身体能力も凄いけど、何よりも度胸が凄いよね


自分なんか高所恐怖症だから、登ってみ?と言われても全力で“ムリムリムリ!”と拒否りますね


カメラワークは抜群のカメラ位置ではなくても、CGではないドキュメンタリーならではの迫力


よく“何故、山に登るのか?と言われたら、そこに山があるから”と言う言葉を聞きますが、主人公のデビッド・ラマは“何故、崖を登るのか?と言われたら、そこに崖があるから”となるんでしょうね


世界一過酷な山での登頂に加えて、一番過酷な登り方を選んでいる


高田延彦風に言えば“お前は男だ!”となります



このデビッド・ラマ、フリークライミングの世界にはとんと疎い自分ですが、いろいろと調べてもあんまり出てこないんですよね~


多分その筋には有名な人と言う感じだと思いますが、映画のPRサイト以外では殆ど検索に引っかからない


国際スポーツクライミング連盟、IFSC認定の国際大会の2008年の総合男子で優勝していると言う記録は確認出来ました


こうなると逆に、昔のプロレスの外国人レスラーよろしく、未知の強豪張りに妄想が膨らむ



映画に登場したデビッド・ラマだけではないと思いますが、皆陽気なのと、山に登ると言う事以外に関してはホント無頓着


山の天候を観ながら、登頂にふさわしい天候になるまでふもとの村で生活をしているんだけど、そこには何故かハエがワンサカ飛んでいる


もう、それが“マジか?”と言う感じのハエ、蠅、はえのオンパレード


蚊とか蠅とか嫌いな自分は1匹でも嫌なのに、こんな環境で生活する事は無理です


それでも、デビッド達は何だかんだと言いながらも蠅叩きを持ちながら、生活している。それもなんか楽しそう


まあ、山に比べたら全然マシと言う事と山に登る事の大事の前の小事なんでしょうけど、自分には無理だな~



自分の技術と確固たる信念があっての挑戦で、自然が相手だから、いろいろと上手くいかない事の方が多い


富と名声は、ホンの小さな出来事でも、世の中の評価がひっくり返ったら、一気に消えてしまう事だって在る


ましてやネットの世界での評判なんて、賛辞と罵声は常にコロコロと変わっている


でも、絶対に言えるのは、なんでも最初にやり遂げた記録は絶対の不文律なんだよね


そんな賛辞と罵声に苦しみながらも、自分の技術と信念で前人未到の大記録に挑戦したデビッド・ラマは素敵だ


多分世の中のしがらみに縛られていたのでは、一般人には狂気とも思える事に挑戦出来ないんだと思うけど、いろんな事にも悩んだりしながら挑戦していく


デビッド・ラマの若者らしい葛藤と山男らしい陽気さが観ていて面白い


後半からの映像美とドキュメントとしての迫力は必見


ぜひ、ご興味のある方は観て頂きたいなあ~と思います