ベルギーのテロ事件に思う | 先生は明日の夢を見る : 井中 蛙

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教育は未来づくり、との思いで続けた38年の教師生活を終え、学校現場を離れてより広い視野で教師、子供、保護者、学校そして社会等々を見つめ、これからの社会のありようを考える。

ベルギーでテロがありたくさんの人が死傷した。痛ましいことである。
ベルギーだけではなく、今や世界中どこででもテロが起こってもおかしくない状況にある。
日本ではオウム真理教による、地下鉄サリン事件があったが、各国が厳戒態勢を敷いてもなおテロは続発する。爆薬と起爆剤が世界中に散らばっている状況とみてよいのだろう。

多分、それを防ぐに十分な手立てはもはや存在しないと考えられる。

私はテロ行為に賛同するものでは決してない。犯人たちを決して許してはならないと思う。
だが、そのテロ犯たちを生み出したものは何か。

欧米を中心とした資本主義の広がりによる、経済優先の考え方、さらには富の一極集中による貧富格差の拡大、失業者の増大などが大きく影響していることは間違いなかろう。
若者たちは現実の社会に失望し、現状の世界や政治、体制への反発を強め暴力に走るのではないだろうか。

ISなどのテロ組織の声明などを聞いていると、とても利己的で受け入れられないようなものだ。特にイスラム系の組織はイスラムの教えを曲解してテロを賛美している。
戦国時代に木津川合戦において、本願寺側が「進者往生極楽、退者無間地獄」との旗印を掲げ、門徒を死兵と化して戦ったことを思い出す。
狡猾な金持ちや権力者を守るために、善良で貧しい人たちが互いに殺し合う、そんな映像が見えるようで悲しい。

死ぬことを受け入れた自爆犯たちは誰にも止めることができない。そしてそうした自爆しても良い、宗教に殉じることが生きる証、と思い込む若者はますます増えていくように思う。
それは、現在の世界は、ごく一部の人間が多くの富を集め、大多数が貧困の底に沈んでおり、そこからは容易に抜け出すことができないという異常な状況にあるからだ。それが最大の問題点ではなかろうか。

すべての人々に満遍なく富が行きわたり、わずかでも生きている幸福を実感することができるならば、高い絶望の壁は消え、明日への希望の光を見ることができるはずだ。