加齢は女性の大きな悩みのひとつだ。さまざまな原因で体重が増えやすくなるし、肌や髪にも衰えが出てくる。それは女子プロレスラーにおいても例外ではない。
今年41歳になる井上貴子はアラフォーど真ん中世代だが、その美貌は衰え知らずで、体型もスリムなまま、美しく月日を重ねた代表的な選手と言える。
『キレイでいないとリングに上がれないと思ってるんですよ。ファンの人の夢を壊しちゃいけないっていうか。40歳っていうことが壊してるんだけども(笑)、だけど40歳なのにちゃんとしているよねっていうところはもってないとね』
アイドルレスラーとして一世を風靡した彼女には“美しくあり続けることが義務”という考えがある。だから、コスチュームから贅肉がはみ出したり、腹が出たりといった“よくあること”をよしとせず、『これならリングに上がっても大丈夫』と納得できるように、自らをストイックに律している。
その努力は並大抵のものではない。運動面ではランニングを欠かさずおこない、そのほか特徴的なものとしてはヨガをトレーニングに取り入れている。『パワーヨガ(筋肉トレーニングと瞑想的な要素を強化したヨガ)をやりますね。あんまり好きじゃないので、そんなにガッチャンガッチャン(ウェート・トレーニング)はやらないですけど』
貴子は『ヨガを始めて本当によかった』と笑顔で語る。筋肉が鍛えられるだけでなく、冷えや便秘、偏頭痛、腰痛といった、いわゆる不定愁訴が改善。体の調子が良くなれば、表情も明るくなる。さらには猫背になりがちだった姿勢も直り、ケガをしにくくなった。
もちろん、昔はウェートをおこなっていた。10年前、全女を辞めてフリーになった際には、レスリング・ジム『UWFスネークピットジャパン』を主宰する宮戸優光氏のもと、キックの習得に明け暮れ、それと同時にウェート・トレーニングにも力を入れた。そのときに鍛えた筋肉があるから、スリムな体型を維持していられるわけだ。
また、貴子は運動面だけでなく、生活面でも“美”のために心血を注いでいる。野菜や大豆類を多く食べ、体の内側からキレイになるように気を配るほか、風呂(半身浴)にも全力投球する。
『半身浴というと優雅な感じがするけど、私が入るのは熱湯コマーシャルみたいな感じで熱いんです(笑)。最初は足を入れただけでもビックリするぐらい熱いんだけども、そこに入って20分もたたないうちに汗がボタボタボタボタ垂れるんですよ。それを45分入る。上がって30分ぐらいクールダウンするんですけど、すっごく寒い格好するんですよ。バスタオル1枚で窓開けたりして、体を冷やして、またお風呂を沸かして入る。それを3回ぐらい繰り返す。まぁ、リラックスはできないよね(笑)。でも、体のためだよね。体重を減らす効果もあるし、新陳代謝も良くなるし。キレイになっている実感?どうだろう。自己満足かもしれないよね。だけどそれで次の日の体調が全然違うから。むくみとかもなくなったし』
もちろん、“女の命”であるメイクにも気を遣う。メディアによってやり方を変えるほか(写真か映像かでメイクを使い分ける。)、落ちるのが前提の試合では、『ファンデーションが落ちたら変だから、あんまりつけないようにするし、あとはパンダみたいにならないように。眉毛もなるべく落ちないようなヤツでやったり』と、また違うメイクを施している。
そんなたゆまぬ努力もあって“永遠のアイドルレスラー”の道を歩み続けている貴子だが、現在、新しい興味が沸いてきたという。なぜなら『ちゃんとプロレスができて、息の長いアイドルを育てられれば、安心して引退できるから。』
まだ具体的に動き出したわけではないため、今後のこともまったくの未定。しかし、彼女の目にかなう数人が現れて、その教えをすべて吸収できたら、女子プロレス界を代表するアイドルレスラーになれるはずだ。
そのとき貴子はリングを降りることになるわけだが、彼女は最後の瞬間まで、美しくあり続けるのだろう。