NHKの「視点・論点」と言う番組は、様々なテーマ、様々の論者による毎回10分間の解説番組である。


そこで語られた「情報」自体に興味を持つ事もあるが、同時に「論者の説明技術」の良し悪しが見られるので、良いものは参考にするし下手な場合には反面教師にしている。


論者の大多数はその分野の専門家や第一人者ではあるが、説明技術には優れていない場合もとても多い。番組作成時にNHKからは話の構成やら時間管理などを指導されるのだろうが、時として熱が入り、情報を入れすぎて早口過ぎたり、内容が分かりにくく共感できない事もある。何より大学の授業のように、既に整理された情報を順番に読み上げている場合には聞いていくうちに次第に興味が薄れてしまう。残念なのは、解説番組と言う設定でプレゼン番組とはしていないのでプレゼン下手を許容する結果になっている。アメリカで行われているTEDは、話の内容と話し方と両方を評価するプレゼン番組として有名であり以前NHKで番組化していたが私も大好きな番組だった。


先日は世界や日本の秘境を旅する「探検家」が、探検活動の素晴らしさを解説していた。その中で、恐らくNHKの番組編集者のアドバイスかと思われるが、「日常生活で事前に情報を集めて効率的に行動する事」が如何につまらない事で、地図も情報も無しに見知らぬ秘境に飛び込む事が如何に感動的かを延々と語っていた。確かにこうした「比較法」によって自分のテーマの魅力を説得する手法はビジネスでもよくあるやり方だ。


しかし、普段の生活で検索をして一番いい商品や売り場を探す事と、困難さを意図的に楽しむ探検とを同じ尺度で比較する論法こそ詐欺商法と同じやり方であり、聞いていて笑ってしまった。


仮想敵設定で説得しようとする「詭弁」に頼る話法なので、それに納得してしまう人もいるだろうが、私には折角のいい話の内容の腰が折れる残念なものだった。


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