ベッドに寝転がりながら、スマホの画面をスクロールする。ニュースサイトのタイトルだけを目で追って、なんとなく今日一日の出来事を知ったような気分になる。大丈夫、取り残されてない。大丈夫…。

リズムよく画面を弾いていると、一つの記事の上で人差し指が止まった。

 

「須藤佑月さん、死亡」

 

 柔らかい微笑みが、さっと頭の中を通り過ぎた。

 ドラマの役柄か、新手のドッキリなど、視聴率を伸ばすための釣り記事だろう。そう自分に言い聞かせながら、タイトルをクリックする。

 

「女優の須藤佑月さんが、新宿歌舞伎町の路上で倒れているのを近隣住民が発見しました。須藤さんは全身を強く打っており、間もなく死亡。警察は飛び降り自殺とみて捜査中です」

 

 佑月が、自殺? 

 全く理解が追いつかなくて、同じ記事を何度も何度も読み返す。

 上半身を起こして、関連する記事を探していると、当時のクラスのグループLINEに続々とメッセージが流れ出した。

 

(佑月が自殺!)(嘘! マジで?! ドッキリじゃなくて?)(ネットニュース見て! 以下、URLです)(テレビのニュースでもやってるなう)(歌舞伎町で自殺って、やばい事件なのでは?)(私、応援してたんだけど…ショック)(嘘つくな。妬んでたくせに)(妬んでないし! お前ガチでムカつくんだけど)(ていうか卒業以来会ってない)(私も)(俺も)……。

 

 スマホの画面に、懐かしい仲間たちのアイコンが次々と飛び出してきた。