ハローマイママとは、人間そっくりの形に作られ、

常識や知識をインプットされたAIロボットのことだ。

ママの他にも、パパ、キッズ、ブラザー、シスターなどの種類があって、

ハローマイファミリーシリーズとして最近、注目を集めている。

 

見た目は、本物の人間のように何億通りもあって、

性格や知識は、買った人の好みにいくらでもカスタマイズできる。

「一生、裏切らない家族」というキャッチコピーでCMもしている。

早くにパートナーを亡くしてしまった人や、子供のいない夫婦などが購入している……

ということはニュースや学校の先生からの話で知っていたけど、他人事だと思っていた。

 

まさか、自分の家にハローマイママが来るなんて。信じられない! 

だって、AIロボットが家族の一員になんてなるはずがない。そんなの変だ。認めないぞ! 

ボクは、いつママが家に戻ってきてもいいように、ハローマイママを無視して、絶対に仲良くならないと決めた。そうすれば、パパも諦めてママと仲直りするかもしれない。


それからの日々は、学校から帰るとすぐに自分の部屋に閉じこもった。

ハローマイママは、ビックリするほど上手にご飯を作ったけど、

絶対に食べず、給食と友達の家で出してくれるおやつでしのいだ。

休みの日は、朝からすぐに友達の家に遊びに行って、夜遅くまで帰らなかった。

 

それでもハローマイママは、困ったり怒ったりする様子は見せず、朝、笑顔で「おはよう」と言ってきて、帰宅すると「お帰り」と、もっと優しい笑顔で迎えた。