「はいどうも~! ダンガンシュートです。今日は顔と名前だけでも覚えて帰ってほしいなと思っています。僕がツッコミ担当の正太郎と申します。隣にいるのが」
「やめてやめて。僕なんて子供のころから陰キャラで、卒業式には担任の先生から名前を間違えられたんだから」
ダンガンシュートは何回も見たことのあるネタをやっていた。一言一句、昔と同じ。
でも、そんなことはどうでもいい。
久しぶりに見る正太郎ちゃんは少し痩せて、顔色が悪く、ちょっと老けたみたい。
ちゃんと食べているのかな。やっぱりお金に困ってるよね。
毎日のように安い居酒屋で吐くまで飲んでいるのかな。
もう大丈夫だよ。私、迎えに来たよ。正太郎ちゃんをずっと応援するからね。めいっぱい甘えていいんだからね。
私は興奮していた。
お客さんの笑い声は確かに聞こえているのだけど、
まるでそこには私と正太郎ちゃんしかいないような錯覚を覚えた。
正太郎ちゃん、迎えに来たよ。