部屋が明るくなってきて、やっとうとうとしてきたときだ。
正太郎ちゃんががばっと上半身を起こした。
「いてぇ」
頭痛いのかな。小さいベッドで寝たせいで、体痛いのかな。
こんなとき、普通の女の子はなんて言うんだろう。大丈夫? でいいんだよね。
そう、大丈夫。って聞けばいいんだ。
私もゆっくり上半身を起こすと、正太郎ちゃんの大きな目と私の目が合った。
「私、正太郎ちゃんを応援する」
いきなり何言ってるんだろう。私のバカ。きっと「なにこの女、キモイ」って思われた。
正太郎ちゃんは眉間にしわを寄せて、困った顔とような表情を浮かべている。
「ごめん、ちょっと気持ち悪いからトイレ借りるね」
そっか。二日酔いなんだ。どうしよう。なにか食べたほうが楽になるかな。
トイレから正太郎ちゃんの嗚咽が聞こえる。辛そう。普段からあんなに飲むんだとしたら体、心配だなあ。いつもは、ご飯はどうしてるんだろう。隣に並ぶのが恥ずかしくなるくらい線の細い正太郎ちゃん。ちゃんとしたご飯を食べているようには見えないけど。
台所に行き、冷蔵庫を開ける。
レタス、キャベツ、トマト、納豆、卵、お味噌汁は豆腐とわかめでいいか。
あとは鮭を焼いたら、私のいつもの簡単な朝ご飯だけど、食べてくれるかな。
二日酔いには重すぎたかな?