正太郎ちゃんは、呂律が回らなくなっていた。

目がとろんとさせながら、お笑いについて熱く語っている。

 

「俺、天下取りたいんだよ」「でもそう言いながら、ぜんぜん努力してないわけ」「こんな俺って駄目だよね。売れるわけないよね」「お笑い大好きなのに全然うまくいかねえな。なんでこんなに好きなことでこんなに苦しまないといけないんだろうな。大好きなことを大嫌いになりそうで辛いよ」「学生時代はこれでもクラスの人気者だったんだよ」「ダウンタウンさんみたいな芸人目指してたんだよ。いや、今だって目指してる」「なあ、なにが悪いのかなあ」「面白いことって何? それさえも最近わかんなくなってきたよ」「こんなことなら最初からモデルか俳優を目指してたほうがいい線行ってたのかなー」「おい、優人、ツッコめよ!」。

 

正太郎ちゃんの話を聞いていると、なんだか切ない気持ちになった。

こんなに恵まれたルックスで生まれてきたのに、すごく不器用な人。