「はいどーもー! ダンガンシュートです」

「この人、正太郎って書いて悪魔って読むんです」

 

合コン相手の男の人は、いつもライブでやっているというネタで自己紹介してくれた。

あまりぶテンションが高くて、私の体はこわばった。

 

でもそれは最初だけだった。

2人は、空気になろうとしている私に、何度も笑顔を向け、ご飯を取り分け、目を見て声をかけてくれた。

私は「あ」とか「うん」とか短い言葉しか発さないし、ずっと顔を引きつらせているのに、2人はそんなことを全く気にせず、ずっと私のことを普通の女の子と同じように扱った。

普段だったら10分もすれば透明人間のような存在になってしまうのに。

 

こんなことは初めての経験。

最初は、「放っておいて」って思ったけど、どんどん2人のペースに吸い込まれて、

私は初めて、「ここに自分がいる」と感じ始めていた。