「佳代がいてくれて本当に助かるよ」
佳代から金を引き出すために何度も口にした言葉だ。
佳代の小さな黒目の中にある瞳孔がじわじわと開いていくのがわかる。
むちむちとした2つの手の甲が俺の頬をはさむ。
俺はその手を上から握り、自分の口元に運びキスをした。
「ありがとう。これからもよろしくな」
「正太郎ちゃん、抱きしめて。そうしたら200万円上げる。唇にキスして。そしたら300万円上げる。胸に手をおいて。400万円上げる。体中を優しく愛撫して。500万円上げる。セックスしたら、1000万円あげるよ」
「佳代らしくないよ。そんなこと言うなよ。怖いよ」
「正太郎ちゃん、一生、応援するからね。その代わり、正太郎ちゃんの人生を全部、私にちょうだいよ」
「何ってんだよ。キモイんだよお前」
俺は急にものすごくイラついてきて、佳代を床に押し倒しスカートをめくりあげた。
パンパンに肉が詰まった太ももをこじ開け、乱暴に中に入っていく。
こいつは、ただの肉の塊。なんの感情もない。
「正太郎ちゃん、ずっと応援してあげるからね。ずっと近くにいてね。私、いっぱいお金稼ぐからね。そのお金は全部正太郎ちゃんのものだからね。ずっとずーっと応援させてね」
ぎしぎしと音のする冷たい床で、上下に揺さぶられながら、佳代は無表情で喋っている。
「キモイっつってんだろ。静かにしろよ、この豚が」
「そうだ。正太郎ちゃんと外でデートしたいな。いつも部屋ばっかりだから。手をつないで、外を歩いてみたい。でも、私と正太郎ちゃんが手をつないで歩いていたら、不似合いすぎて逆に注目されちゃうね。ははは!」
佳代らしくない高笑いにゾッとする。
「うるせえよ。黙れ!」
俺は佳代の頬をはたいた。
佳代の小さな目から、大きな涙の粒がぼたりと落ちた。
ビー玉みたいに無機質な涙だ。
よく見ると、本当にビー玉が佳代の目からごろんごろんと床に落ちて行っている。
「お前、怖いよ。泣くなよ」
「ねえ、私、正太郎ちゃんのためになにができる?」
「金さえだしてればいいんだよ」
俺のイライラは沸点に到達し、頭の血管が切れそうだ。さらに乱暴に佳代の中に入っていく。俺が激しくなればなるほど、佳代の体も反応する。閉ざし、開き、最後にぎゅっと閉じていく。
俺は目を閉じてほかの女の子のことを、黒木のことを想像した。
なんでそんな涙を流すんだよ