高円寺駅の北口に降りる。

歩き慣れた雑多な街並み。

吸い込まれるように足を進めると、

だんだんと気持ちが落ち着きを取り戻していった。

赤提灯がぶら下がる立ち飲み屋に入り、生ビールを注文する。

 

ホットパンツを履いた若い女の店員が、

ぶくぶくとカニ泡の浮いたくすんだジョッキを運んできた。

肉が詰まった太ももをちらちら見ながら、一気に飲み干す。

ほこりが混じったようなくすんだ味。毒みたいな茶色の炭酸が胃の中で弾ける。

 

「やっぱりこれだよ、これ」

 

続けて、300円のサワーに200円のマグロ刺しと100円のハムカツを注文。

スマホで売れてる芸人のネタを見ながら優人を待った。

 

高級料亭なんかより、こっちが落ち着くんだよ