いびつな形をした器の中央に、
色鮮やかな料理がちょこんちょこんと盛り付けられている。
店員が料理の説明をしているが、全く頭に入ってこない。
「ごゆっくりどうぞ」
再び二人きりになる。
ピカピカに磨かれた小さなグラスに、
黒木がビールを注いでくれた。
美しい黄金色の液体と白い雪のような泡。
そのまま黒木が自分のグラスにビールを注ごうとしたので「僕が」と瓶を奪う。
同じビールなのに、俺がついだらぶくぶくの泡だらけになった。
黒木は気にすることなく、こちらにグラスを傾けた。
「乾杯」
喉はからっからだ。
小さなビールを一気に飲み干す。
緊張のせいか、アルコールが走るように全身を巡った。
空になったグラスにすぐに黒木がビールを継ぎ足してくれる。何回も何回も、俺はビールを一気に飲み干した。
酔いが回ると俺は饒舌になった。
お笑いのこと、貧乏話、優人の話。
休むことなく話し続けた。
だってさ、止められるわけないよ。
信じられないくらいの美女が俺の目をまっすぐに見てる。
絶対に柔らかい頬にえくぼを作って、コロコロと笑ってくれているんだから。
これって夢なのかな。