「ムチ動作」と定義しましたが、やはり「鞭の動き」、「鞭の効果」との区別が曖昧なので別の言葉を定義します。
並進運動している物体(セグメント)の一端が運動方向と逆方向の力を力を受けると、他端が加速する現象を「慣性力による並進回転変換現象」と名付けます。(前回定義した「ムチ動作」のことです。)
ちょっと長いですが、敢えて違う名前にして「ムチ」と無関係なイメージにしたいので。
並進運動している物体。
下端に逆方向の力がかかると。
重心が動き続けようとする(慣性で)
上端は直前の並進運動より速く動く。
この物体の運動エネルギーの総和は、逆方向の力がかかったので直前のエネルギーの総和より小さくなりますが、並進運動が回転運動に変化したことで、上端の速度は並進運動していたときより速くなります。
これが、「グリップを減速するとヘッドが走る」という現象そのものです。
この並進運動 → 回転運動の変化は、この一つの物体(セグメント)の中だけで発生します。
※ もちろん、下端を逆方向に押す、という外力はかかりますが。
一方で、下記のスイングのモデルでは、
腰と肩は並進運動をしていません。( 微妙な軸移動は無視します。)
なので、「慣性力による並進回転変換現象」は、どこを止めても発生しません。
肩の角速度を加速するためには、トップで45度捻転した状態から、このねじれを解消する方向へ筋肉を収縮させます。
※ おまけですが、筋肉は収縮する方向にしか力を発生できません。
つまり、肩と腰の間の筋肉が肩が加速する方向へ、両方を引っ張っるわけです。
ゴルフのスイングのスーパースローを見るとまず腰の回転が減速して、肩が回っているように見えますが、腰の回転が減速する理由はたぶん2つあります。
一つは腰の捻転の可動域が肩より狭いので必然的に早くとまること、もう一つは、上記の腰と肩の間の筋肉が収縮して肩が加速すると同時に腰が減速すること、です。
この筋肉の収縮で、腰から肩へ回転の運動エネルギーが伝達されます。
上半身の質量は下半身の質量より小さいので、下半身の減速度合いより、上半身の加速度合いの方が大きくなります。鞭の動きの様に。
次に、肩から腕へのエネルギーの伝達です。
両肩に二本の腕の根本がくっついてるんですけど、この二本の腕の付け根の真ん中が、ほぼ肩の真ん中になります。少しぐらいのズレは無視して。
そうすると、肩の回転中心と両腕の回転中心はほぼ同じ位置です。
どこかを中心に回転運動をしていても、その物体が回転中心から離れていれば、円周軌道上の並進運動と考えることは可能だと思うんですけど、両腕の合成ベクトルの端っこがちょうど回転中心となるので、肩の回転が減速して、その両腕の端(つまり両肩の真ん中あたり)が停止したとして、そこは既に回転運動の中心なので、追加の回転運動を起こすことができません。
従って、既に回転している物体の回転中心を「止めて(減速させて)」も、上記の「慣性力による並進回転変換現象」は起きず、反対の端(手)は加速されません。
従って、肩の回転速度より、腕の回転速度を上げるには、腕の(肩の?)筋肉を総動員して、腕を加速する方向に力をかけるしかないです。
そうすると、反作用として、肩が減速します。
上半身より腕の質量の方が軽いので、移動したエネルギーによる腕の加速度合いは、肩の減速度合いより上がるでしょう。
で、腕と十分にコックされたクラブ(シャフト)の関係に移ります。
ここは結構難しいんですけど、クラブは明らかに回転中心から十分に離れた位置で(略)並進運動をしているので、ヘッドの側を加速するには、「慣性力による並進回転変換現象」をフルに使いましょう。
これを十分に活用するには、腕とクラブの連結点を自由に動くようにしておくことが大切です。
手首に力が入って、クラブ(シャフト)がグリップを中心に回転しようとする動きを止めてしまうと「慣性力による並進回転変換現象」の効果が減ってしまいますから。
ヘッドをフライトさせることがポイントですね!
僕の言いたいのは以上です。
まとめると、
・腰と肩の間: 「慣性力による並進回転変換現象」は起きない。肩を加速するには腰と肩の間の筋肉を使う。
・肩と腕の間: 「慣性力による並進回転変換現象」は起きない。腕を加速するには肩と腕の筋肉を使う。
・腕とクラブの間: 「慣性力による並進回転変換現象」が起きる。ヘッド(クラブの末端)を加速するには、手首の連結を自由に(柔らかく)して手の位置を減速することがポイント。
ということです。
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