出球の方向を決める要因について、ちょっとWEBで調べてみました。わかったことは、
最近「フェースの向き主要因論」が「新理論」として確立してきたらしい、ということです。
たとえば、このサイト。
http://diamond.jp/articles/-/52319
2014年5月16日の記事です。
一方で、2013年とかのプロのブログでも、「ヘッドの軌道が出球の方向を決める」と書いているものがあります。たとえばこれ。
http://golf-yume.com/entry9.html
(ちょっと古いかも)
これはアマチュアのベテランのブログです。
Google で、「ゴルフ スイング 軌道 フェース」で検索して出てきた最初のページの Web サイトの内、
1箇所:「フェースの向き主要因論」
5箇所:「ヘッドの軌道主要因論」
です。まだ、古い理論の方が多く見受けられます。
僕が、8年前にインストラクターに「ヘッドの軌道主要因」で習ったのも当たり前ですね。
でも、よ~く考えたら、ヘッド軌道主要因論は、物理学的におかしいと思います。
単純化するために、ビリヤードを考えてください。
ボール対ボールの弾性衝突の場合、的球の転がる方向は、ボール同士の接点と的球の中心を結んだ線上に飛び出します。
これは、ビリヤードを少しでもかじった人には常識です。で、
ゴルフのボールとヘッドも十分弾性衝突だと思います。
ヘッドは平面ですが、球と平面の衝突においては、接点と球の中心を結んだ直線は必ず平面に垂直になります。(それ以外の角度では当たりようがない)
ビリヤードの様な球と球の衝突時のぶつかったほうの球の接点もミクロに見れば平面と同じで、平面と球の衝突とほぼ同じです。
つまり、平面が斜めにぶつかった場合(スクエアでない場合)は、フェースが傾いているからそっちの方向に飛び出すんではなく、接点が球の中心を通るヘッドの軌道と平行な直線上にないために、ずれた接点とボールの中心を結んだ線上に飛び出すことになるはずです。
フェースが傾いていると、スクエアな方向から見たときのボールの中心にコンタクトせず、ずれてコンタクトするためにそのコンタクトポイントとボール中心を結ぶ方向に飛ぶのが物理的に正しい弾性衝突モデルです。
もしヘッドが平面でなく。非常に小さい球の形をしていても、そのコンタクトポイントとボール中心を結んだ線上に飛ぶはず。ヘッドの軌道とは「無関係に!!」
これ、実感できるケースがあります。と~きどきですが、ドライバーで、ボールの手前をかすったら、ほぼ90度横方向に飛びますよね?軌道方向とは一切無関係です。
結局、フェース面の方向が問題なのではなく、コンタクトポイントが問題なんです。
フェースが平面でスクエアに入ってこないと、飛ばしたい方向の真後ろにコンタクトできませんから、変な方向に飛び出してしまいます。
物理学的には「至極」あたりまえな話です。
ただし(たぶん)ビリヤードと違って、インパクト時に、ヘッドは自由に動いているわけではなく、シャフトと腕でインパクトの期間中ずっと一定方向に力が加えられてます。
ボールはその間に力が加えられながら摩擦力で軌道方向への運動ベクトルも受け取るので、完全フェース面方向(実際は接点とボールの中心線方向)に飛び出すのではなく、軌道方向へもある程度は飛んでいくんだと思います。
しかし、それは一瞬なので、弾性衝突モデル分のベクトルのほうがはるかに大きいでしょう。
ということで、ボールの飛び出す方向は、8割~9割がフェースの向き( というよりコンタクトポイントとボール中心を結んだ方向 )で決まり。残りの、1~2割が軌道方向で決まります。
最初のサイトには、「飛び出す方向に対しフェースの向きが、アイアンで約75%、ドライバーでは約85%影響する」と書いていますが、私の実感としては、アイアンもドライバーも85% です。