JR新橋駅の改札を出て、SL広場を通り過ぎて右に曲がると、大きな通りにぶつかります。
その歩道のわきに、靴磨きをする、二人組みのおじさんとおばあさんがならんで靴磨きをされてるんですけど、ご存知の方いらっしゃいますか?
(ここ一年ぐらい僕もいっていなので、もしかしたら今はいらっしゃらないかもしれませんが...)
その靴磨きのおじさんから僕は、ある時期、仕事に必要なものを学ばせて頂きました。
それは、僕がボルチモアテクノロジーという会社を経営していた時代のことですが...
その会社は、インターネットでの商取引に必要な暗号技術と電子認証技術を提供していいて当時大変注目を浴びていたため、いろいろな経緯で、電力会社や、大手総合商社、銀行や保健会社、VC大手など、実に50社以上の企業様から出資をいただいていましたし、手がけるプロジェクトも、大手通信事業者、官公庁、グローバル企業のセキュリティのインフラを担うもので、比較的おおがかりなものが多かったのです。
従業員も100人を超えており、当時30歳になったばかりの僕にとって、その会社の経営を行っていること自体、常にかなりの重圧だったのですが、さらに、もっとも大きなストレスとなるイベントが、年に数回ありました。
数億円を超えるプロジェクトのプレゼンテーションや、記者発表会、大規模なイベントでの講演などなど...
中でももっとも、プレッシャーだったのは、株主総会です。
株主総会には毎回30人~50人を超える大企業の担当者の方がこられていました。
( 余談になりますが...その後、ヘラクレス上場会社の役員になって知りましたが、上場会社といえども株主総会は少ないときは10人もいらっしゃらないんですね...。 まぁ、それだけ、当時のボルチモアが期待を集めていたってことでしょうか... )
で、業績がよければ、いいのですが、これがよくないときは、本当つらかったですね。
僕よりはるかに年齢の上の方ばかりの50人が待ち受ける会議場の壇上にたつのは、本当に嫌でした。
その50人が見つめる中で、一人、会社の状況を説明するわけです。
そして、会社の責任を一人一身にせおってあらゆる質問にこたえなければならない。
若干30歳でしたから。
当時はいえませんでしたけど、正直きつかったです。
で、その株主総会の朝に、必ず立ち寄ることにしていたのが、新橋の靴磨きのおじさんのところだったんです。
(次回へ続く)
春日原森