最近のヒット商品といえば、〝 アップル iPhone 〟と〝 任天堂 Wii 〟が2強であることは言うまでもありませんね。
この2つのヒット商品には、われわれベンチャー企業経営者にとって、いまの市場で売れる製品を作るために必要な重大な要素が隠されているのをご存知ですか?
もう一方で、最近あまり元気がない企業の代表を〝Sony〟さんとしますけど(Sonyさんごめんなさい)、iPhoneとWiiにあって、Sony製品にないものは、なんでしょうか?
もっと言うと、Sonyの大ヒット商品である〝ウォークマン〟には、それがあって、〝プレステ3〟にはそれがないんです。
Wii、iPhone、ウォークマンが提供していて、プレステ3が提供していないもの...賢い貴方は、もうお分かりだと思います。
プレステ3が提供できず、前3者だけが提供できているもの、それは
〝 目的達成の機能でなく、過程そのものを楽しませること 〟です。
ハイテクの進化と、経済の発展による大量生産と価格競争によるコストダウンによって、我々は驚くほ
ど、安い価格で、あらゆる便利な機能を、製品やサービスを購買することで、簡単に手に入れることができるよ
うになりました。
その結果、我々の心・購買欲求は、安いこと、便利であることを 当たり前と受け取るようになりつつあり、それらだけでは、満足できないようになりつつあるんです。
これまでの製品やサービスは、多くの場合 〝 目的を達成する手段 〟を提供していたわけです。
その手段を 〝より安く〟〝より高機能に〟〝より高品質で〟提供することの競争をしていたのが、これまでの市場環境でした。
そこで、必要になってきたのが、〝目的達成のための機能〟ではなく、〝過程を楽しませる〟ことを価値として提供する製品化です。
すごいリアルな画像とか、ドルビーの立体的な音とか、家庭用ゲーム機もとことん進化していって、ゲームをする為の機能は、これ以上ないほど発展していきました。携帯だって、同じ。音楽も聴けるし、写真も撮れるし、しかもどちらも数万円で手に入ります。
しかしながら、相変わらず残っている退屈な作業が、操作のために〝ボタンを押すこと〟だったんですね。目的を達成するための手段である、操作を楽しくしよう! という方向性が、WiiとiPhoneのヒットを生んだんですね。
ウォークマンはどうでしょう?
ウォークマンって、もともと、通勤電車に揺られるサラリーマンが満員電車でやることがなくて可哀想に思った、ソニーの盛田さんだか、井深さんだかが、〝通勤〟という〝会社に行く〟という目的達成の手段/過程そのものを、楽しくしてあげようとして発明されたものだって聞いたことがあります。
Wii、iPhoneと発想が似ていますよね。過程を楽しませる製品であるという点で。
一方、プレステ3はどうでしょうか? そう考えてみると、音とか、3Dとか、画像のすごさとか、処理速度とか、目的達成の機能のみを追及している感がありますね。
〝過程を楽しませること〟による差別化/製品化というコンセプトは、自社の製品/サービスの方向性に悩まれている経営者にとって、役立つものかもしれません。
一度、この角度から、自社の製品/サービスが提供できないか 考えてみてもいいかもしれません。
春日原森