とは良く言ったもので、先日ちょっと勉強になった出来事がありました。
冬の間の運動不足解消とリフレッシュを目的に、
2005年10月からスポーツクラブ(ジムですね)に通うことにしました。
そんなに大きくはないけれど、街の中心にある利便性と
充分な設備が揃っていることで入会を決め、
登録料99スイスフラン(約9000円)と
月々149スイスフラン(約1万3500円)を支払っていました。
ヨーロッパの他の国のことは詳しく知りませんが、
スイスでは携帯電話や保険、そしてスポーツクラブなど
契約は1年単位で加入することが多く、
基本的に途中退会は認められず、最低1年間分はサービスを受ける代わりに
支払いを続けるのが常です。
ですから、「長期滞在ビザ」がない旅行者の場合、
例えば携帯電話はプリペイド式を選ぶしかなかったり、
保険も加入ができないので自国の海外旅行者用保険に入っておいたり
するわけです。
(場合によっては保証金を預けることで契約できることもありますが、バカ高い)
私もスポーツクラブに入会する際、担当者から1年での契約を提示されました。
けれども春夏の気候が良くなる時期にわざわざ室内で運動するつもりはなく、
ましてや夏は長い休暇がある。
さらに以前の私の滞在ビザは2005年3月までしか発行されていなかったので、
その時点では先行き不透明。
また上手く時間を作れるかも心配だったので、
なんとか中途退会できないものかと相談してみました。
すると、「外国人ということもあるし、現時点での滞在ビザも3月までだから”特別”に
途中で辞めても良しとしましょう。」と言ってくれました。
親切だなあとすっかり安心し、また以前に普通の携帯電話の契約が
ビザの種類の関係でできなかったという残念な経験もあったので
スポーツクラブへの入会を気持ち良く決めました。
後日、正式に入会書へサインするために改めて行ってみると、
その日は別の担当者が出てきました。
また一から説明し、「じゃあ、そういうことなら。」と契約内容を確認。
念のため、備考欄に最初の担当者の名前を書いておいてもらいました。
さて、実際にそのスポーツクラブへ通ってみると、快適でサービスも
良かったのですが、なかなか行く時間が作れなかったので、
春になる前に退会するか、と思い、
2月下旬に辞める旨を伝えました。
最初の担当者をつかまえて話してみると、
「わかりました。 一応、事務手続きの関係で退会理由がほしいので、
ビザが3月までということを理由にしておきますから、ビザのコピーを
撮ります。」と言って、
「では、これを事務担当者に渡しておきます。 OKですよ。」
と、握手で別れました。
そこまでしたから大丈夫。
言ってみるもんだなあ、とのんきに構えていると、
「3月クレジットカード引き落とし、スポーツクラブ149スイスフラン」
、、、あれ? なんだかオカシイ、、、。
もう一度、どうなったのか問い合わせに行ってみると、
「なんですって? 事務担当者に確認してみます。 今日は彼女が休みなので
後日電話させます。 返金もできます。」
と、どうやら受付と事務との連携が上手くいってないもよう。
しばらく電話を待っていたのですが、4月に入ってみると、、、
「4月クレジットカード引き落とし、スポーツクラブ149スイスフラン」
、、、これはダマされているのか?
と、少々戸惑いながらもう一度そこへ足を運ぶと、
「電話もこなかったって? おかしいですね。 事務担当は何をやっているんだ!」
と、なぜか逆ギレ。
困っているのは私なんですけど。。。
しばらく待たされた後、 事務担当の女性が出てきて、
「本来契約は1年です。 クレジットの引き落としはキャンセル、返金できません。
そこまで言うのなら、今ここで”特別”に退会を認めましょう。
来月から支払いは終了になります。」
特別、特別って、こんな特別はイヤだ。
「ちょっと待って下さい。 最初に契約した時に途中退会できると聞いていました。
2月に退会すると言ったので、3、4月の引き落とし、つまり、
4月分、5月分の支払いはおかしい。 しかも電話すると言っていたのに誰も
連絡してきませんでしたよ。」
しばらく平行線で、「できません」、「おかしい」の繰り返し。
終いには欧米女性らしい(?)ヒステリックな口調になってきたので、
私もおだやかに言い回しを変えてみましたが効果なし。。。
事務担当者は怒って事務室に戻り、「キャンセル申込書」なるものを発行
してきて、
「来月から払わなくていいから、これにサインを。」
と、明らかに”帰れ状態”。
ここでサインしては男がスタルと思い(なんのこっちゃ)、
「それはできない。 あなた方の連絡ミスと、最初から最後まで
手続きミスだ。」と主張すると、
ついに彼女は伝家の宝刀「私には関係ない発言」を抜いてきました。
「それは私のミスではありません。 そして入会手続きも、退会手続きも、
私が担当したわけではありません。 これは私の同僚が担当したことです。
私にはできません。 上司もそう言っています。
キャンセルは本当に”特別”なんですよ。」
まあ、ヨーロッパでは結構あることですが、
部署、担当分野の線引きがきっちりしているわけです。
彼女はまた事務室に行き、私の入会申込書の原本をもってきて、
「ほら、途中退会できるって書いていませんし。」
これはまずい、と思っても後の祭り、、、。
私が、「いやいや、”詳しいコンディションは担当者と話した”と
備考欄にメモされていますよ。」
と食い下がっても、
「あくまでもオーラル(口頭)です。 話しただけです。」
となってしまいました。。。
結局、これ以上は話にならないと思い、
まあ、半年分の支払いで済んで良しとするか~と、
自分に言い聞かせました。
最後に入会時の担当者が出てきて、
謝りと、同僚に対して手続き・電話などのことで注意したことを
主張していましたが、
ここまで来るとお金うんぬんよりも、対応の悪さが腹立たしく、また、
あきれてしまいました。
けれども彼は、
「結局、契約書に途中退会のことをされていなかったのが問題でした。」
と、言いましたが、
「私がきちんとやらなかったことも問題でした。」
とも認めていたので、なんだかもうどうでもよくなってしまいました。
謝るくらいなら、どうにかしてもらいたいものですが、、、。
どんなことでも、自分が納得することは大切ですが、
同時に相手も納得させるためには、時として証拠を残すことが
重要なのを思い知った気がします。
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