
彼はイギリスを代表するインディペンデント(独立)系時計師で
今や、世界でも注目を集める若手時計師のひとり。
「インディペンデント系の時計師」というのはその名のとおり
どこのメーカー、グループ、資本にも属さず、
個人で時計製作に取り組んでいる人達のことを言います。
バーゼルやジュネーヴで時計ショーが開催されていたのと
同時期に、私の会社も新作発表会をおこなったのですが、
会期中にそのロジャー・スミスがやってきました。
細身の黒いスーツに、眼鏡、そして温和で少々繊細な顔つきは
私たちがイメージするイギリス人そのもの。
銀行やコンピューター関係の仕事をしていると言われれば
知らない人はそう見えてもおかしくありません。
彼は左右の腕にそれぞれ時計をはめていました。
そう、彼が製作したオリジナルの時計!
ともにローズゴールド製のレクタンギュラー(長方形)ケース、
針は細いスペード針で、
エングレーヴィング(彫り)仕様の文字盤をふくめ、
すべて自作。
「見せてもらえませんか?」
とたずねると、笑顔でその時計をはずしてくれました。
とても美しい仕上がり。
やはり大量につくられる時計と違って、細かい部分まで手が
加えられており、味わいや深みが感じられ、
「モノ」というよりも「作品」と表現するのにふさわしい雰囲気が
あります。
そのうちの1本はトゥールビヨンでした。
ケージを支えるブリッジがとても長く作られていますが、
全体的なバランスが良く、ブラスト仕上げの金メッキムーブメントは
往年の、”英国懐中時計”スタイルを見事に踏襲していると言えます。
彼や、彼とともに来ていた友人から話を聞いたり、
イギリスのサイトで彼のことを調べてみると、
ここにたどりつくまで、試行錯誤が繰り返されたようです。
今度、彼のヒストリーも紹介したいと思います。
最後に、ちょっと水を挿すようですが、
私の会社も独自で展開している時計メーカーなので、
彼がやってきたのは自分の時計をアピールし、
営業も兼ねていたのかななんて。。。
良いインディペンデント時計師は、良い営業もできなきゃ
ダメなんですよ。
作るだけでは広まりませんからね。
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