ムーブメント | サムライ時計師スイスで修行してきました!

サムライ時計師スイスで修行してきました!

スイスといえば自然、銀行、そして時計。
いやいやそれだけではありません。
ハイジの故郷は、実はこんな国なんです。
(ヨーロッパ 海外 海外生活)
そして帰国しました。

金曜日からヨーロッパでは”イースター”の休日で連休になります。

ご存知のとおり、イースターとは「処刑されたイエスが、復活したこと」を祝う
キリスト教の祝日。

この休みは家族でゆっくりと過ごすのが一般的で、
街ものんびりしたムードでした。

でも、ジュネーヴは観光地でもあるので「稼ぎ時!」とばかりに、
レマン湖沿いではたくさんの出店・カフェがでていたり、
天気の良い、爽やかな空の下で人々が休日を満喫していました。

ブルーの湖面に真っ白なヨットやボートが漂っている風景は、
本当にキレイで、こんなところで春を感じられるのはジュネーヴならではです。

さて、今週でバーゼル・ワールドの話はそろそろおしまいに
しようと思っていますが、、、、

今日は「ムーブメント」をテーマに。

このブログで何度も書いていますが、「何だっけそれ?」という方のために
ひとことで言えば、
時計でいうところの「ムーブメント」とは、時計内部の機械部分のことを
指します。

ムーブメントはいろいろなバリエーションがあって、
メーカーやブランドによって様々な個性、特徴を持ち、
好きな人や詳しい人になると、機械を見ただけで
その製造開始年代、品番などがわかってしまうものです。

機械式時計はこのムーブメントを1から作ろうとすると
時間、コストなどがかかり、また大変な手間、技術力を必要とするため、
多くの時計会社は”ムーブメントを専門に製造開発をしている会社”に
ムーブメントを発注し、そのまま使う、
あるいはそれに加工・装飾を施したり、ブランドのロゴを入れたり、
またはそれをベースにモディファイするなどして
時計を作っているわけです。

だから、新しい技術、独自のムーブメントデザインを搭載した時計
というのはどうしても値段が高くなってしまうんですね。
そして、高くてもその個性を求める人も間違いなく存在するのです。

ムーブメント製造会社で文句なしに有名なのが
「ETA」(エタ)という会社。

機能的で、修理がしやすく、
また修正・加工もしやすいのがその理由。
長年のノウハウもあるので信頼性があることも大きいでしょう。
製造個数も多いためわりと安価でおろせるので重宝がられています。

もちろん、それがつまらないと思う時計ファンがいるのも当然の
ことですが。

エタ社もバーゼル・ワールドに出展していました。

ETA
(ETA社のブース:結構大きなスペースを使っています)

一度にこれだけを見た事がなかったのですが、
やっぱりたくさんあるなあと感心しました。
クォーツもけっこう多いですね。

新作は、

eta1
(ETA新作:時計界のトレンドをおさえたラインナップ)

左からRef.G15.261、クォーツ・クロノグラフ・レトログラード、
Ref.2826-2 ビックデイト”Great Show"、
Ref.A07.171 自動巻セカンドタイムゾーン”Caliber Valgranges”。

レトログラードにしてもビックデイトにしても、
高級時計メーカーをはじめ、もはや当たり前になってしまった
機構で、次は低価格帯の時計を中心にしているメーカーにという
流れなのでしょうか。

そして、一番エタ社が押していたのはこれ、

eta2
(ETA2894S2、スケルトン・クロノグラフ)

ペイズリー柄のような装飾とブルースチール加工されたネジが
特徴のスケルトン使用のムーブメント。
装飾は金メッキ。

見た時はなんだか逆に安っぽく見えてしまったんですが、
面白いことは面白いです。
もし、メーカーが購入して時計に組み込むとしたら、
これ以上どうやって装飾を加えるんでしょう?
ローターくらいですかね。

それから、会場内を歩いていて、いくつもの新しい時計メーカーや
名のあまり知られていないメーカー、小規模のメーカーを
目にしましたが、
有名ではないとはいっても結構いい時計メーカーってあります。

一部の時計ファンなどに人気で、
手軽な機械式時計を作っている「EPOS」(エポス)なんかは
そのうちのひとつです。

手巻き式のものなら2万円台くらいからあり、
シンプルなデザインのものが多いので使いやすそうです。

epos

ただ、これはトゥールビヨンなんですけど、
ここのメーカーには作ってほしくなかったなあ。
ちょっと前に話題になっていた比較的低価格の
”フライングトゥールビヨン”をつかっていて、おそらく
他に比べて価格設定も低めなんでしょうけど、
メーカーのあり方に疑問を抱いてしまいますね。

でも、得意の"UNITAS”(ユニタス)Ref.6498ムーブメントを使った
新作は悪くなかった。

3377
(Ref.3377)

3378
(Ref.3378)

3379
(Ref.3379)

この3本は同じムーブメントを使っているけれど、
文字盤側にそれぞれ違った設計がなされているため
3者3様の表情になるといういい例でもあります。

ちなみに、ユニタスのムーブメントはこれです。

unitas6498
(UNITAS:Ref.6498)

大きくてシンプルな機械と大きなテンプは、
時計がメカであることを実感させてくれそうです。
このムーブメントは他の時計メーカーにも使われていて、
日本の時計学校では教材になっていました。
(今はどうだか知りませんが、、、)

だから、ちょっと目についてしまったんですが。

時計のムーブメントは、だいたい棲み分けができているようです。
1、老舗・有名メーカーによるもの
2、新興の時計メーカーによるもの
3、ETAなどの汎用ムーブメント
4、それ以外の高級時計用ムーブメント
5、ハンドメイド製作
etc...

2の中には、ハイエンドのものと、
たとえば「Frederique Constant」(フレデリック・コンスタント)や
「Maurice Lacroix」(モーリス・ラクロア)のようにもともと低価格帯の
時計を扱っていたが、高級化・ブランド価値を上げるために
自社開発に取り組むものとあります。

ムーブメント開発は難しいけれど、
決して休む事がないのは、
それだけムーブメントが時計において重要だからです。

ムーブメントへの考え方を知る事で、
そのメーカー、ブランド、時計をより深く理解することができるでしょう。
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