「ジュラ州で、ジュネーヴの時計会社 Franck Muller(フランク・ミュラー)に
青信号」 /ル・マタン紙より
日本でもおなじみの時計メーカー、フランク・ミュラーが
拠点であるレマン湖畔のGenthod(ジャントー)に加え、
時計の聖地であるジュラ州の、Commune des Boisという所に
グループの新工場を建設するというニュースがあった。
フランク・ミュラーは最近の「本格時計」、「独立系時計」ブランド人気を
盛り上げた立役者といっても過言ではなく、
時計師としてのフランク・ミュラーその人も、非常に才能のある人物である。
長年にわたって計画されてきたという「新ウォッチランド」建設は、
約650人に及ぶスタッフの数と、世界中での需要を考えると、
必然的なことであったのだろう。
さらに興味深かったのは、ジュラ州への進出にあたって
その土地の住民による可否投票が行われたことだ。
どこかの国と違って、いくら多額の金を積んだとしても
住民が「Non」と言えば決して受け入れられることはない。
結果的に賛成399票、反対47票で、フランク・ミュラーおよびそのグループの
拡張事業はスタートラインに立つことができたわけである。
3000万~4500万スイスフラン(約27億円~40,5億円)に達するとも
言われているその計画だが、驚いたことに、
23400㎡の土地は、1㎡あたり20スイスフランで売買されるという。
合計で46万8000スイスフラン(約4200万円強)。
この値段でこれだけの土地が手に入ることは、グループにとって
ありがたいことに違いない。
おそらく、小さな町(村?)にとっても地域の活性化につながる可能性が高く、
双方の利益が一致しての交渉だったのであろう。
また、少ない投票数であっても一人一人の声を尊重するスイスという国の
面白さを感じた。
そして、フランク・ミュラーが今まで以上に独創的で、魅力的で、
本格的な時計を産み出すことを一人の時計ファンとして期待したいと思う。