木曜日は朝からILO(国際労働機関)とWHO(世界保健機関)を訪問し9名の職員の方と面談しました。WHOには正午前から滞在し、カフェテリアで次の方が来てくださるのを待っていたので、6時に終わった時にはちょっと疲れてしまいました。

 

テーブルと椅子があるとはいえ、ひっきりなしに人が行きかい、重いドアがバタンバタンと開いたり閉まったりする音が響く中で、時に1時間以上も人を待つのは疲れるものです。ホテルに戻ったら外に食べに行く気にもならず日本から持っていったカップ麺を食べてどさっとベッドに倒れました。

 

ジュネーブにいる間、ちゃんとした食事をしたのは水曜日の夜だけでした。仕事の後、フェルネーのSさんがフランスのDivonne-les-Bains (ディボンヌ・レ・バン)というリゾート地に車で連れて行ってくれたのです。小規模ながらカジノや高級なエステサロンなどもあるようで、まさにリゾート地でした。食事の前に、バーのベランダでアペロ(食前酒)。ビールで乾杯です。

 

Sさん「私はこの町が好きなのよ。週末の朝市に来るのが楽しみなの」

ウサギ「へー、こんな遠くまで来るの?私はフェルネーの朝市好きよ」

S「ウサギ、フェルネーとこの町の違い、わかる?」

ウ「何?」

S「ここにはイスラム教徒がいないの。ほら、見まわしてみて」

そう言われて、そっと周りを見回すと、イスラム教徒と分かる人はもちろん、アジア人も私だけのようでした。

S「フェルネーは視界にイスラム教徒が入らないところはないわ。朝市も、アラブからの移民たちが出しているお店が多いでしょ」

そういえば、そうでした。中東のイスラム教徒の方たちのための独特の服、靴などのお店、食べ物の屋台なども多いのです。それがフランスらしいともいえるのですが…。

S「今、フェルネーではクリスマスのイルミネーションをやらなくなったのよ。『イスラム教徒の人が増えたから、キリスト教的なことはやめよう』ですって。もちろんフランス人が、昔アラブやアフリカを植民地にするなんてひどいことをしたからフランスが悪いんだけど、私はポルトガルからの移民で、カトリック教徒で、クリスマスはとても大事。なぜ、移民が増えたからってフランスの文化を変えないといけないの?『ローマに来たらローマ人のようにせよ』っていうでしょ。この町は高級リゾート地だから、貧しい移民の人たちは来ないの」

 

なるほど…。先日のEUの選挙で、フランスの極右政党が圧勝しました。歴史を考えればイスラム教徒の移民の方が増えるのは当然と思いますが、なにもフランスの文化を消すようなことをしなくても良かったのに、と思いました。そんなことをするから、極右政党の主張にフランスの人たちの気持ちが動いてしまうのです。そういえば、以前フェルネーに住んでいたころ、市営プールで「シャワー室でも裸になってはいけない」というルールができた、と市民の方が愚痴っていました。「イスラム教徒の人は裸になれないから」というのが理由だそうですが、シャワー室でシャワーを浴びるのは人それぞれの方法で良いはずなのに。あまりにイスラム教徒の方たちに気を遣いすぎです。そんなことを彼らは望んでいるのでしょうか。

 日本にもイスラム教徒の方たちが増えていますが、日本でも将来こうなるのかな、と想像しました。