アメリカ毒性学会に参加のため、10日からユタ州のソルトレイクシティに来ています。

アメリカに来たのは10年以上ぶり。ユタ州に来たのは初めてです。

 

寒かった日本からまずロサンジェルスに飛んだら、気温は20度で空港の中では誰も私のようにダウンコートなんて着ていません。常夏の国、という印象で、半そでのTシャツ姿でのんびり(と見える)歩いている人をたくさん見ました。こちらは汗だくになりながらまず入国審査。アメリカに入国する際に、審査が簡単になるスマホのアプリ、Mobile Passport Control (MPC、携帯パスポートコントロール)というものをスマホにダウンロードしておいたので、長い行列を尻目にさっさとMPC用窓口に並び、あっという間に入国できました。こんなに簡単にアメリカに入国できたのは初めてで、夢のようです!これからアメリカに行く方は、ぜひご利用ください。

 

それから荷物をいったん引き上げ、乗り換えのゲートに走りました。何しろ今回は乗り換え時間が1時間15分しかなかったのでひやひやものです。ソルトレイクシティ行きの飛行機のゲートに着いたらすぐに搭乗が始まりました。いやはや危なかった。

 

日本とロサンジェルスの間には16時間の時差があり、ロサンジェルスとソルトレイクシティとの間には1時間の時差があり、しかも到着した日が夏時間への変更日で1時間ずれたので、もはや何が何やらわかりません。体が時間の変化についていきません。

 

さて、ソルトレイクシティの名前を知ったのは、たしか中学校の英語の教科書だったような気がします。大きな塩湖(ソルトレイク)がある街、として説明があったような。あとは、モルモン教の本拠地、ということでしょうか。到着したのは日曜日の夕刻だったせいもあり、町中がしんとして、人気(ひとけ)がなく、閉店したお店が多くてちょっとゴーストタウンのような感じでした。そんななか、昔のアメリカドラマ、「大草原の小さな家」に出てくる少女たちのような長いロングワンピースを着た女性たちがグループで歩いていて、胸に名前を書いたバッジを着けて、一目でモルモン教徒の方たちとわかります。私とすれ違う際に、にっこりと笑って「ハロー」と言ってくれたりします。道路にはごみが全く落ちておらず、歩道は清掃が行き届いていて(車道はボコボコ)アメリカの街中でしばしば感じる「危険な感じ」がしません。スーパーに入っても、レストランに行っても、お店の方たちがとても親切で、やわらかい物腰で対応してくれます。やはり、モルモン教徒の方たちだからなのではないか、と想像しました。横断歩道の道路には、「Look(右、左見て)」と顔文字で書いたサインがあってやさしく注意を促されます。

 

 

マンホールのふたに、「2002年オリンピック」と書いてあり、そういえば、と冬季オリンピックが開催されたことを思い出しました。町の周りをぐるりと雪山が囲んでいて、到着した日曜日は気温が14度くらいまで上がっていたのですが明日から気温がぐっと下がり、水曜日は雪の予報です。

 

街灯の足元には先住民の方の顔が彫ってあり、アメリカの方に聞いたところ、この辺りは昔ナバホ族の人たちが住んでいたそうで、ヨーロッパ人がアメリカ大陸の東部から開拓をはじめ、先住民の方たちを殺戮しながら西へ西へと支配を広げていった歴史を感じてちょっと背筋が寒くなりました。しかし、それを隠すことなく、先住民の方たちへの尊敬の気持ちを込めての街灯の装飾のようでした。

 

アメリカ毒性学会は、世界の毒性学会の中で最大規模です。明日の予定は朝から夕方までびっしりで、心して参加して来ます。

 

十数年ぶりのアメリカで、すっかりアメリカ初心者に戻ったうさぎ