今日は、Palais des Nations (パレデナシオン)にある国連ジュネーブオフィス(UNOG)の図書館を訪問し、秋の研修の際の受け入れをお願いしてきました。ここは、昔の領主の館だったところで、このあたりからレマン湖に届くところまでがこの一家の所有だったというのだから、とんでもない大貴族です。お城のような壮麗な建物は、戦前の国際連盟の本部として使用されていました。最後の領主だった男性は、たくさんの陶磁器やガラス製品のコレクションをしていたそうで、そのコレクションを展示する美術館が敷地内に建っています。お母さんの名前を付けたという「アリアナ美術館」です。

Page d'accueil | Ariana (musee-ariana.ch)

 

最後の領主さんは独身のまま亡くなったのですが、遺言ですべての土地、建物、陶磁器などのコレクションをジュネーブ市に寄贈しました。その際、いくつか条件を付けたのです。自分の墓を敷地内に置くこと、クジャクを必ず敷地内で飼うことなどです。大きなお墓は庭の真ん中に静かに納まっており、運が良ければ数羽のクジャクが優雅に歩いているのを見ることができます。私も国連職員として派遣されていた頃、ここで総会があってなんどか足を運びました。

 

UNOGは国連のさまざまな会議の会場になるところですが、予約をすれば有料のガイドツアーに参加して内部を見学することができます。ところが、現在多くの部分が工事中で、せっかくお金を払って入場しても見られないところが多いのです。そのため、昨年はジュネーブ国連職員日本人会で知り合った、UNOG図書館に勤務のAさんにお願いをして、図書館を見学させてもらいました。今年もぜひとも見学させていただきたく、ごあいさつと相談に行ったのです。

 

Aさんに庭を案内していただいた際、いました、いました!美しいオスのクジャクさんが!目もくらむような深い青色の胸の色が強烈で、長ーいしっぽを上品にひとまとめにして、しずしずと歩いてきます。「餌がもらえると思って、近づいてくるんですよ」とAさんはおっしゃるのですが、迫力があってくちばしで襲われるのではないかと少々恐怖を感じて後ずさりしてしまいました。しかし、1メートルくらいまでしずかに近づいてきて、こちらが餌をあげないとわかると、すーっと横を向いて、またしずしずとどこかへ歩いていきました。

 

 

図書館は、1927年にアメリカのロックフェラー財団から寄贈された、アールデコ調のすばらしい建物です。ここは、世界中からいろいろな国際法に関する研究者を受け入れています。また、戦前からの各国の新聞が地下の書庫に保管されていて、第二次世界大戦中のイギリスの新聞に、戦争中なのにファッションの記事やデパートのセールの広告が載っていたりして、日本の悲壮な覚悟の思想統一された当時の新聞とはえらい違いです。一方、旧ソ連時代の新聞は、やはり「労働者は愛国者」というプロパガンダのにおいがプンプンする紙面で大変興味深かったです。今はもう電子化されて不要になった紙の新聞を、「欲しければ、どうぞ」と言っていただいたのですが、とにかく大きくて重くて、断捨離中の自分は持て余してしまいそうで、丁重にお断りしました。

 

 

 

良い見学会になりますように。