しばらくアパートの問題を書いていなかったので、きっとすっかりアパートは快適になったのだろう、ああ、つまんない、と思われているかもしれませんが、もちろん人生いやはやな私のこと、ちっとも片付いていません。


今の問題は、トイレがスムーズに流れないこと、窓の外側のシャッターをくるくる回す棒が壊れていること、廊下の照明がパカパカして、ディズニーの「ホーンテッドマンション」状態なこと、そして暖房がつかないことです。


最近すっかり冷え込むようになり、特に夜はどんどん室内の温度が下がります。カナダもそうですが、スイスも寒い国なので、暖房はふつうは行き届いていて、室内は暑いくらいなのです。全館暖房のところも多くて、アパートの管理組合が決めた日に暖房をつけるのですが、個々のアパートの部屋にスイッチがあるわけではなく、調節ができません。それで、冬の間は室温を調節するにはむしろ窓を開けて外気を入れて調節したりしています。


ところが、私の古いアパートでは、どんどん気温が下がっても暖房がつく気配はありません。重ね着をしてしのいでいますが、すぐに耐えられなくなる日が近づいています。


不動産屋さんに3度メールしていますが、まったくなしのつぶてです。明日まで待ち、変化がなければ直接直談判に行くしかありません。


廊下の照明は、電球がパカパカし始めた際、「電球が切れたのだ」と思い、スーパーで電球を買ってきて交換してみたのですが、パカパカが止まりません。やれやれ。ホーンテッドマンション状態のパカパカをスマホで録画し、不動産屋さんに送ってみましたが、これもなしのつぶて。


トイレが流れないのは最初からなので、夏に日本に帰った際、洗面器を買ってきて、水を流す際に洗面器いっぱいの水を一緒に勢いをつけて流しています。「ジュネーブに行く」と決まったころ、こんな毎日になることをだれが想像したでしょう。


しかし私が最も恐れているのは、やはり水漏れです。先日、一度私のお風呂から水漏れを起こして迷惑をかけたけどその後仲良くなった下の部屋の男性とアパートの玄関先で会ったので、「最近どう?」という話をしたのです。そうしたら、そのおじさん、「知ってる?この間3階の部屋も天井から水漏れしたんだよ」「えっ!あなたの部屋で起こったような、寝室やリビングの天井からの水漏れ?」「そう。このアパートは古いんだ」


というのです。うううっ怖い。いずれは私の部屋でも起こるのでは?毎日、自宅に帰ってくるたびに、カギを開けて恐る恐る中をチェックするのが日課です。こんな毎日、だれが想像したでしょう。


私はおじさんに聞いてみました。「あなたは長くこのアパートに住んでいるんでしょう?どうして引っ越さないの?」おじさんは言いました。


「問題はたくさんあるんだけど、この辺りは緑が多くて静かな、よいエリアなんだ。それに、自分はここに長く住んでいるからフランスの法律では家賃は値上げされないから、安く住めるんだよ」


そういえば、聞いたことがあります。フランスもジュネーブもそうなのですが、賃貸人の権利が強くて、一度部屋を借りると、その家賃はそのまま上がらないのだそうです。職場の同僚が住んでいる古いアパートでは、30年も前から住んでいるお年寄りがいるそうですが、家賃は30年前のままなのだそうです。だから、一度住んだらなかなか退去しない、というのです。


しかし日本だったら、30年前の家賃がそのままだったら「タダ」みたいな家賃になってしまいますね。いったいどういうシステムなのでしょうか。


だから、下の部屋のおじさんは天井から水漏れしてもずっと住み続けているのですね。私も、引っ越そうか、と迷うのですが、荷物の整理が苦手なので、この荷物をもう一度まとめて引っ越すことを想像すると、そのまま何もかも忘れて冬眠したくなってしまいます。


なんとかして少しでも住みやすく、と考えています。不動産屋さんのお尻を叩くしかありません。明日電話してみます。


では、良い夜をお過ごしください。


うさぎ