今日は土曜日、フェルネー・ボルテールの名物、朝市が開かれる日です。


昨日から楽しみにしていたせいか、予定よりも早く目が覚めてしまいました。いそいそと準備をして、それでも「あまり早く行ってもね」と自分に言い聞かせながら、10時にホテルを出ました。


思った通り、ホテルの前の道路には両側にびっしりと車が駐車しています。近隣の町から多くの人が朝市目指して集まってくるのです。


徒歩5分で、街の中心、市役所前広場にやってきました。ここには、街の名前の由来にもなっているボルテールおじさんの像が立っています。


朝市開始!


すでに朝市には多くの人が来ていました。朝市には、日用品やかばん、洋服などを売るお店もたくさん並んでいるのですが、やはり圧巻は食品の通りです。



朝市に集まる人たち

野菜、果物、魚屋さん、肉屋さん、チーズ屋さん、パン屋さんなどあらゆる食品の屋台が出ています。小さな、一人でお店番をしている屋台があるかと思うと、大型のトラックで乗り付け、何人も従業員を引き連れて大きな屋台を開くお店もあります。




野菜にも、たくさんの種類があります。トマト、ナスだけでも日本で見たことのないような品種があります。驚いたことに、すでにホワイトアスパラガスも出ていました。ホワイトアスパラガスは5月ごろのものだと思っていたので、3月にスイスとの国境の町で見られるとは思ってもいませんでした。食べたいなーと思いましたが、私はホワイトアスパラガスのソースを自分ではうまく作れないので、レストランでいただくことにします。

ほかにも、日本のちょろぎに似た野菜も、もっと大きいのですが、売っていました。「ちょろぎ」ってみなさんご存知ですか?もしご興味があればネットで調べてみてください。きっと出てくると思います。




商品の数も種類も、日本よりもずいぶん多いように感じます。商品の並べ方も日本とは違います。肉屋さんなど、日本では牛肉、豚肉、鶏肉、時々カモ肉などがきれいにスライスされて売っていますが、ここではぎょっとするようなものが並んでいます。たとえばこれ。




ウサギちゃんが丸裸で並んでいますね。ウサギは、肝臓以外の内臓は取り除かれ、毛皮もはがされて伸びています。私が初めてこの朝市に来たときは、ちょうどジビエの季節だったこともあり、今まさに山で取ってきた、という感じのウサギや山鳥やカモなどが毛皮のまま、並んでいました。実は私はウサギ年。子供のころからウサギには特別な親近感を持っています。心ひそかにウサギは十二支の中で一番かわいいのではないか、とも思っているのです。自分がウサギ年、ということもあり、このブログのタイトルも「ウサギの日記」ということになったわけです。


もちろん、犬もかわいいし、馬はかっこいいのですが、ウサギほど、いろんな芸術品や日用品のモチーフになっている、人間に身近な動物はないのではないか、と思うのでウサギが大好きなのです。だから、パリで初めてウサギのパテを食べたときは、共食いのような心境でした。しかしそのウサギ肉のおいしかったこと!やっぱりウサギは最高だな、と思ったのでした。


さて、朝市では大きなお魚屋さんもあり、前回ジュネーブを訪問した際に、大学の同僚たちが朝市に行って生ガキを食べた、と聞いていたので、私も今回はぜひ食べたい、と思っていました。前回私は風邪をひいていて、大事をとって朝市には行かなかったのです。


朝市を歩いていると…ありましたありました。生ガキの屋台がありますよ!お魚屋さんの大きなお兄さんたちが、並んでいるお客さんのために黙々とカキを剥いています。私も並んで注文しました。価格は、大きさによって違いますが、「Fine de Claires」というのが一番小さいので、それを注文しました。すべての種類が6個入りです。お兄さんたちはカキを縦に持って剥いていくので、せっかくのカキのエキスがじゃーっと(ほんとに、じゃーっと)こぼれてしまいます。「ああっエキスがもったいない!」と思うのですが、お兄さんたちは気にしちゃいません。まあ、十分においしいエキスは残っているのですが。


6個をお皿に並べて、カットしたレモンをプラスチックのフォークでグサッと刺したものを載せて、テーブルの上に置いてくれました。白ワイン一杯付きで10ユーロ(約1400円)です。



いやあ、おいしゅうございました。なんてうまみのあるカキなんでしょう。これは焼きガキにしてもきっととてもおいしいと思います。まあ、焼いても自分で剥けないので、ここでは生ガキしかいただけませんが。

それにしても、6個じゃあ足りないくらいあっという間に食べてしまいました。フェルネーに暮らすようになったら、毎週土曜日は生ガキの日、ですね。


このカキの名前を覚えておこう、と思い、「Fine de Claires」の意味を翻訳機で調べてみました。えーっと、「Fine」は・・・「んだ」って書いてあります。えっ!「んだ」???「んだ」とは、東北の方たちが「そうです」ということを力強く表現する際のあの「んだ」でしょうか?では、「Claire」は?翻訳機は「明確な」と教えてくれました。では、このカキの名前は「明確な《んだ》」ということ?でも、「明確な《んだ》」なんて名前のカキはないよねー」と不思議に思い、ホテルに戻ってからネットで調べてみたら、ありました。「Fine de Claires」というカキの名前が。なんと日本のカキの品種なんですね。フランスで養殖されているそうです。興味のある方は「Fine de Claires」で検索してください。あ、もちろん「明確な《んだ》」という意味ではありませんでした。


でも、「fine」は本当にフランス語で「んだ!」という意味なんでしょうか。今度フランス人に聞いてみましょうか。「Fineって、んだ!という意味?」って。そしたら、「Fine!」って言うかもしれませんね。


私が使っている翻訳機、今一つ内容に自信がありません。実は日本にいる間に、電子辞書を探したのですがいずれも高くて、5万円くらいしたのです。それで、成田空港の電気屋さんで電子辞書ならぬ翻訳機、というものを見つけたのです。この翻訳機は、15か国語に対応している、というふれこみでしたので、私もこれから国連職員としてあちこち行く機会が多くなるだろうし、アラビアの国やポーランドみたいな国に行っても、この翻訳機があると便利だろうな、英語とフランス語だけの電子辞書よりも便利かも、約2万円と安いし、買っちゃえ!と買ったわけです。しかし、どうもその内容が、時々、「???」という内容で・・・。


さて、気を取り直して、朝市です。新鮮なお魚や野菜以外に、パン屋さんやチーズ屋さん、タイ料理のお店、ベトナム料理のお店、お総菜のお店などが並んでいました。パン屋さんやケーキ屋さんは、日本と違って、裸で商品を積んでいます。でもこの辺りは乾燥しているので、たちまち固くなってしまうのではないかと思うのですが、みなさん構わずに売っています。



私は、お魚屋さんのお惣菜コーナーで売っていたパエリヤを今晩の食事用に買い、農家が売っている果物のジュースを買って一度ホテルに戻り、お昼ご飯を食べにまた朝市に行きました。


ケバブという、中東の焼肉みたいなものをはさんだサンドイッチを4ユーロで買い、タイの揚げ春巻き1本2ユーロを4本買い、大きなオレンジと平たい、不思議な形をした梨も買いました。同僚から、朝市で平たい梨を買ったらおいしかった、と聞いたので。


ケバブを、朝市の開かれている広場にある郵便局(驚いたことに土曜日もちゃんと仕事していました)の庭のベンチで食べました。市場を見ながら食べていると、市場の向こうに、ジュネーブ空港(コアントラン空港)から5分おきくらいに飛行機が飛び立つのが見えます。フェルネーから空港までは車で10分くらいなのです。


お昼ご飯を食べ終わって、近くを歩いてみました。日本のレンギョウによく似た黄色い花が満開に咲いています。



さらに歩いていると、せせらぎがありました。ジュラ山のほうから流れてくるので、ジュラの雪解け水ではないかと思います。今のところとてもきれいな水で、せせらぎにもゴミは落ちていませんでした。土手にはかわいらしい、プリムラに似た花がたくさん咲いています。








こんなきれいな花が野生で咲いているなんて、素敵なところですよね。スミレもいろんな種類が咲いていて、鳥は楽しそうに鳴いているし、心が和やかになっていきます。そういえば、もう分厚いコートを着ている人はほとんど見ません。みなさん、軽いジャケットや、気の早い人は半袖で歩いたりしています。


歩いていると、ピンクの花の咲いた細い木が並んでいる通りがあり、なにかしら、と思って近づくと、なんと桜でした。もちろんソメイヨシノではないのですが、もっとピンクの濃い桜です。残念ながら、まっすぐに伸びる桜で、しかも下のほうの枝を全部すっきりと剪定してしまっているので、間近に桜を見ることができません。今日は薄曇りであまりきれいに写真には撮れなかったのですが、一応載せておきます。



自宅に戻り、夕食には朝市で買ったパエリヤと、タイの春巻きを食べました。今日のビールはカルフールで買ったBrasserie Artisanale de Sabaudia (BAS)の黒ビールにしました。BASは、フランスのローヌ・アルプス地方のサボワイエの地ビールです。つまり、フェルネーのすぐ近くの地方です。由来はよくわからないのですが、何かの塔からゾウが2頭飛び出している絵が貼ってあります。アルコール度数は4%と低いです。







今日は朝からいろんな珍しいものを見て、食べて、自然にも触れられて、すっかりリフレッシュしました。

明日は日曜日、また来週から頑張れる気がします。それでは、おやすみなさい。ウサギ