高校古文だったと思うのですが、

こんな歌がありました。

世の中にさらぬ別れのなくもがな千代もといのる人の子のため

親との別れは本当に辛いものです。

母との別れは18年前。

そして父との別れがとうとう今年初めにきてしまいました。

 

放たれて魂は遊ぶやむつら星

社交的な父でした。寛容で磊落で。

それが最後のほうは目も耳も不自由になって、

生きること自体が「苦」であったに違いありません。

死によってその苦から解放されたように思えました。

 

寒明けや亡父来りて静かなる

夢に出てくる父はいつも静かに笑っています。

 

鳥帰る百年生きて父もまた

春浅き喪の家(や)の木々は刈られけり

線香を焚き焚きひなの祭かな

香りのよいお線香は心をいやしてくれます。

遺産相続をめぐっていろいろありました・・・。

 

難民となるためトランクひとつ春

ロシアのウクライナ侵攻は唐突でほんとうにひどい。

戦争は絶対悪と私は思うけれど、

「いちがいにそうとは言えない」なんて人が多いのにも驚く。

 

桜餅届けむとして薄化粧

友人が手作りの桜餅をたくさん送ってくれました。

本当は父のところで合流して、父に食べてもらいたいということだった。

叶わなかったけれど・・・。

たくさんあったのでご近所におすそ分け。

 

過ぐる猫の一べつ眩し立夏かな

湯茶の面もさみどりにゆれ夏来たり

落ち梅の冒険譚を聞く夜かな

鮭のカマかすかに臭う太宰の忌

このころコロナが一時おさまって街にも人出が戻りました。

新緑が美しく、固まった心も少しほどけてきたのが句からもわかります。

 

・・・・・・・*

私にとっての俳句は十七音にいかに自分の気持ちをのせられるか、

ということにつきます。

こうして辿ってみると、

あのときはああいう気持ちだったんだなということがよく分かります。

一度ブログで紹介した句ですが、再度夏までを載せました。

お付き合いいただきありがとうございました。