菊の話

 

ってお好きですか?

私は、大輪の菊はどうもなんですが、

小菊は好きで、菜園の隅にも実家からもってきた

小菊を植えています。

 

写真の白い小菊は、2年半くらいまえに

苗を購入したもの。

 

ところがこの苗、翌年は咲かずに

(菊が咲かないってあり得ない…)

今年ようやく咲いてくれたのです。

どんなに待っていたことか。

 

それで写真は、

「やっと…、やっと会えたね💛

という感動の一枚なわけなのです。

(そうは見えないでしょうが…)

 

で、どうして翌年咲かなかったかといえば、

伸びすぎた先端を(脇芽が出ると思って)

切ってしまったから?

確かに脇芽は出たのですが、

蕾はつかなかったのですよ。

私が悪かった…。

 

          *

 

の季語「菊」で

どのような名句があるのかしらと

ググってみました。

やはり「喪」にまつわる句が多いのです。

 

で、次の句などはいかがでしょうか。

「増殖する俳句歳時記」より、

三宅やよいさんの解釈で紹介します。

 

菊の香や仕舞忘れてゐしごとし

                           郡司正勝

 

 

は天皇家の紋章にもなっているので

古くから日本独自の花と思っていたが

そうではないらしい。

万葉集に菊の歌は一首も含まれていないという。

奈良時代、まずは薬草として

中国から渡来したのが始まりとか。

 

中国では菊に邪を退け、

長寿の効能があるとされている。

杉田久女が虚子へ贈った菊枕は

その言い伝えにあやかったのだろう。

沈丁花や金木犀は街角で強く匂って

どこに木があるのか

思わず探したくなる自己主張の強い香りだが、

菊の香はそこはかとなく淡く、

それでいて心にひっかかる匂いのように思う。

 

菊は仏事に使われることも多く、

掲句の場合も大切な故人の思い出と

結びついているのかもしれない。

胸の奥に仕舞いこんだはずなのに、

折にふれかすかな痛みをともなって

浮き沈みする記憶とひっそりとした菊の香とが

静謐なバランスで表現されている。

 

作者の郡司正勝は歌舞伎から土方巽の暗黒舞踏まで

独自の劇評を書き続けた。

「俳句は病床でしか作らない」と

あとがきに綴っているが、

句に湿った翳りはなく

「寝るまでのこの世の月を見てをりぬ」

など晩年の句でありながら

孤独の華やぎのようなものが感じられる。

『ひとつ水』(1990)所収。

 

               *

 

この文字数ですべてを言いつくとは…!

(しかも気品にみちて)

まったくみごとな解釈ですね。

 

これでしばらくは花びんの菊と

静謐なひとときを過ごせそうです。

 

ありがとうございます。

 

・・・・・・・・・*

お付き合いいただき

ありがとうございました。🍎