少し前の投稿でも「感情の筋トレ」について書きました。

人は、動物なので、不測の事態に備え、常に食料を貯めこんだり、様々な資源を囲い込むことで、自分が生き延びる確率を最大化しようとする本能が備わっています。

継続的にストレス下におかれると、その傾向が強まってしまいます。

「不測の事態」に備えるというのは「不足」に備える、ということです。

「何だかよくわからないけれども、不安…」これって、すごく普通の感情です。

「存在の耐えられない軽さ」という哲学好きには有名なミラン・クンデラという作家の小説があります。「存在しているだけで不安」という、非常に哲学的なテーマを扱っているとされています。

しかし、存在しているだけで不安、というのは、実は哲学的というよりは、非常に動物的で本能的な感情である、ということが、近年の脳科学や、神経科学の研究で判明しています。

理性を無視して、とにかくスピード重視で危機から自分の身を守ろうとするための脳の部位が偏桃体です。

何らかの情報に対して、偏桃体が「危険」と判断すると、「視床下部」というところがほぼ同時に反応し、コルチゾールなどの「ストレスホルモン」が一気に放出されます。

この偏桃体は、恐怖や不安、怒りなどのネガティブな感情をつかさどる部位です。

人類は、チータや馬の様に、4本の足を使って早く走る能力などを犠牲にして、脳の発達を優先させ、知性による進化をつづけてきた動物です。

他の動物にくらべて、けた違いに大きな脳が、二本の足に乗っかっているという、実にバランスの悪い身体構造をした人間は、武器や集団によるデイフェンス無しには、大型の肉食動物の攻撃に対してとても弱い。だからこそ、外的からの攻撃に対して、スピード重視で自分を守る「恐怖」によるディフェンスシステムが発達しているのです。

その恐怖ディフェンスシステムはでも、暴走しがち。

特に、手のひらのスマホや、耳に装着するイヤフォン、目に飛び込んでくるサイネージなどを通じ、360度から世界中の情報が絶えず流れ込んでくる現代社会では、脳が恐怖や不安に支配される「偏桃体ハイジャック」が起きやすいのです。

しかも、世界システムは「あなたには常に何か足りていないものがある」という「不足の不安」に訴求する「資本主義」によって動いています。

充足した生活を送るためには、常に何かが足りていないと思わせることで、お金を生むグローバル資本主義。

「今すぐこのサプリを飲まないとガンになるかもしれない」

「今すぐこの美容液を買わないと顔が加齢で崩れ落ちるかもしれない」

「今すぐ、今すぐ….」

それらの広告は、常にあなたに「足りないもの」ばかりを押し付け、脅迫観念を植え付けます。

そういう情報にさらされていると、ヒトの脳はこんな風に感じ始めます;

 

「他の人は、自分が知らない間にどんどんお金をもうけて幸せになっている、自分だけがここに取り残されている…自分だけが何かを正しくやっていないからでは無いか…」

 

そう感じ、メディアや世間が伝える「こうあるべきだ」というレッテルを追いかけ、振り回され、常に自分が何かをうまくやれていないのではないか、という「不足」に苛まれる。

そうしていると、偏桃体が暴走し、小さなトリガーでも不安と恐怖が解き放たれるのです。

だからこそ、思い出すことが大事です。不安と恐怖は、動物としての本能と、資本主義という経済システムと、高度情報化デジタル社会という厄介な組み合わせが生み出す「幻想」だということを。

思い出すのは下記の点です;

 

  • 私には、何一つ欠けたものはない、私は今のままで、全き状態で、充足している。
  • 自分に足りて無いような気がするものは、実はもともと必要の無いものばかりだ。
  • よくよく考えてみたら、いや、よく考えてみるまでもなく、今の自分にはすべての必要なモノがそろっていることは明らかだ。
  • 世界でも一番平和で、安定した国に住んでいる。それだけで幸せだ。

 

あなたにとって、ずっと探しているけれど見つからないと思っている「何か」はありませんか?

ずっと探しているけれど見つからないのであれば、実はもともといらないものだった、という可能性もあります。あるいは、もうすでに手に入っているかもしれない。

世間一般でいう「正しい在り方」とはちょっと違うかもしれないけれど、実は別の形で、あなただけのユニークな形で、「それ」は、あなたに気付いてほしいと語りかけているかもしれません。


(この記事は、下記の投稿のつづきです)

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