人を動かす力についてお伝えしています、今回はその5つ目に挙げている

5。良い質問をすること Ask good questions

について。

この「良い質問」は、人を動かす人になるための原則のうち、全てに関わるので、改めて貼り付けます;

1.be vulnerable 欠点と弱さを見せること.
2.be engaged and attentive その場、その人、その瞬間に全力で「関わり」、関心を持つこと、注意を払うこと
3.物語を持つこと
4.話すより聞くこと
5.良い質問をすること ask good quesitions
6.感謝の念をなるべく多く伝えること
ー批判、不平不満を言わないこと
7.Go above and beyond - やりすぎたとしても、過剰であったとしても、常に一生懸命であること

そもそも、良い質問とはどういうものでしょうか。今回は、質問をすることが大事な仕事である報道記者、特にテレビ報道の記者における「質問力」を通して考えてみます。

テレビ報道の記者を見ていると、欧米メディアと日本のテレビ局で大きく違います。

米国ホワイトハウスの記者会見では、世界の主要なニュース媒体の精鋭が集まります。
米国のテレビ局の「ホワイトハウス担当記者」は、質問している顔も映ります。
ここ十数年ほどの日本の報道番組でも、「フィールドレポーター」「フィールドキャスター」などの肩書きのアナウンサーと記者の間のような立場の人を番組ごとにキャスティングするのが流行っていますが、これは欧米のテレビ局の「記者」を真似て始まったものです。
米国のテレビ局の報道記者は、
Broadcast journalist
と称されます。これは、「放送の記者」という意味。
CNNやブルームバーグで、世界各国から中継を入れる人たちをブロードキャスト・ジャーナリスト、と呼びます。つまり、彼らは「ジャーナリスト」なのです。

彼らは、喋りも、いわゆるスタジオの中にいる「アンカー」と同じくらい上手でありながら、彼らは原稿を「読む」ことは恥だと考えています。もちろん、数字やデータは間違えてはいけないので、メモを見たりしますが、自分の足で歩き、自分の耳で聞き、自分で考えて伝える内容なのであれば、原稿を読む必要は無い、という考えがあるからです。

それは現場で取材するジャーナリストとしてのプライドなのです。

一方、日本のテレビ局で世界各地に派遣される人は、数年おきに配置換えされますし、多くの人がずっと記者職でいるわけでもなく、営業にいる人もいれば、ディレクターになったりもします。唯一、NHKだけが例外とも言えますが、彼らは世界でも最も厳しく上層部から管理され、政府などに忖度する報道機関に所属しており、個人の意見や能力などはあって無きがごとくなので、欧米のジャーナリストと同列で語ることはできません。

いずれにせよ、日本のテレビ報道の記者は、「喋り」のプロでもなければ、「取材」のプロでもない。自分で取材した部分が入っているにもかかわらず、極めて予測可能な内容の、誰が書いても同じような原稿の棒読みが垂れ流され、結果的にとてと中途半端なパフォーマンスとなります。

しかし欧米テレビ局の記者は、一度記者になったら、テレビ局にいる間はずっと記者です。なぜなら、彼らには卓越した言語能力、取材能力、記憶力、瞬発力などの特殊能力が求められるからです。なので、彼らの立場に憧れる人はたくさんいますが、世界中の人に顔が知られるCNNなどの「特派員」は、本当に一握りの選ばれた人たちで、世界でも屈指の頭脳と才能の持ち主が競争に晒されながら選抜されていくのです。

しかも、彼らは、全員がコロンビア大学のジャーナリズム学科の修士号を取っているのか、といえば、実はそうではありません。頭がいいだけでは足りず、ニュースを面白くかつエキサイティングに「伝える力」=表現力、も求められます。また、言語化が難しい、
It factor 
X factor 
Cue factor
 という特殊な「才能」ないし「雰囲気」が実は一番大事と言われています。これは何かと言いますと、サイモン・カウエルの辛口審査で有名なオーディション番組が
X Factor
と呼ばれていることからも分かる通り、わかりやすく言えば「スター性」、もっと具体的にいうと、その人の「カメラと放送媒体との相性」とも言えますし、より抽象的な言い方をすると、
「なんだかわからないけれどつい目がいってしまう何か」です。

その中でも、一番大事だとされているのが
Authenticity 真正性、本物らしさ
と言われています。

この「本物らしさ」が担保する質問する力については、また次回。

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