中国経済への大打撃は不可避…「世界最大の貿易国」の根幹だった台湾企業が相次いで脱中国を決めた背景
プレジデントオンライン
24/6/10(月) 8:17配信

32人の民進党候補者に合計4100万台湾ドルの政治資金を提供(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kokouu

中国の「貿易」は台湾という外資に支えられている。たとえば「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業で、中国本土の企業は4社に過ぎない。そんな台湾企業の中国脱出が増えつつある。なにが起きているのか。ジャーナリストの邱海涛さんの著書『中国の台湾武力統一が始まる』(徳間書店)より一部をお届けする――。(第1回)

■中国で稼いでいる「両面人」

 中国本土の人々が中台経済問題について話すとき、「両面人」という言葉をよく使う。

 これは中国本土で大きく稼ぎつつ、台湾独立を支持して中台統一を妨害しようとする二面性をもつ台湾の商人を指す。

 このような「両面人」は決して少なくなく、中国本土では重要な経済投資を考慮しつつ、これらの人物への対応に頭を悩ませている。

 たとえば、台湾3大工業グループの一つ、遠東グループの創始者である徐有庠(じょゆうしょう)と息子の徐旭東(じょきょくとう)は典型的な「両面人」と見なされている。

 徐有庠は江蘇省の生まれで、1949年、国民党が台湾に撤退した際、資産をもって台湾へ渡った。台湾で遠東グループを設立し、紡績、エネルギー、化学製品、建材、金融、電信など多岐にわたる分野で事業を展開し、現在では大手企業グループの地位を確立している。

■台湾独立を目指す民進党支持に転じている

 財を成した徐有庠は、国民党政権を支持し、多額の政治資金を提供してきた。

 徐有庠は2000年に死去したが、会社の経営を受け継いだ息子の徐旭東はのちに台湾独立を目指す民進党支持に転じ、2020年には32人の民進党候補者に合計4100万台湾ドルの政治資金を提供したと報じられている。

■中国で嫌われている民進党

 民進党は中国本土でもっとも嫌われている。

 人前で冗談でも「民進党にも良い点がある」などと言ったら、売国奴と見なされるほどだ。

 2021年11月、台湾遠東グループの中国法人に、行政管理部門から5億元近い罰金が科された。その理由として、経営上の不正があったとされるが、台湾では、中国政府による圧力だという声も少なくない。

■「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業

 いうまでもないが、中国は世界最大の貿易国だ。

 WTOによれば、2021年の中国の輸出入総額は6兆510億ドルで、アメリカを29%上回り、日本の4倍にもなる強さを示している。

 だが、この結果には中国本土の台湾企業が大きく貢献している。

 2020年の中国の対外貿易輸出金額ランキングでは、上位10社のうち、フォックスコン、ASUS、クアンタ・コンピュータなど6社が台湾企業で、残り4社はファーウェイ、中国石油天然ガス集団有限公司などの中国本土系企業だった。

 つまり、10位の半数以上が台湾企業なのだ。

 輸出金額ランキング100位では、台湾企業の存在が一層際立つ。前記の企業に加え、英業達、仁宝など、全体の3分の1に相当する31社が台湾企業なのである。

■中国ではかつて「外資=台湾企業」だった

 中国の改革開放政策は、1978年に鄧小平が提唱し、1980年代以降、人民公社の解体などとともに本格的に推進された。

 当時の経済状況は非常に厳しかった。6億5000万人の農民は、衣食には困らないものの、土地が極端に少なく、働く場所が不足していた。社会問題として余剰労働力の処遇が急務となった。

 都市部では、破綻寸前の国営企業が人員削減を迫られ、リストラ対象の労働者は4000万人に達していた。これらの人々も就職先を探していた。

 そんななか、台湾企業が本土に進出してきた。1980年代当時、外資企業といえば、おもに台湾企業のことを指していた。香港企業も存在したが、規模では台湾企業に及ばなかった。

 日本企業やアメリカ企業など、ほかの外資が進出してきたのは90年代後半になってからだ。

■「同じ中国人」の共感を利用して成功した

 台湾企業は、日本企業から学んだ生産や品質管理のノウハウを活かし、「同じ中国人」という共感や認識を利用しながら、中国本土でビジネスを成功させた。

 当時(1990年代以降も含めて)、中国本土で名を馳せた台湾企業としては、フォックスコン(ファウンドリー)、ASUS(パソコン)、クアンタ・コンピュータ(パソコン)、英業達(パソコン)、友達光電(TFT-LCD)、奇美電子(TFT-LCD)、頂新(食品)、統一(食品)、宝成(スポーツ用品)などがある。

 統計によると、1990年から2021年の間に、台湾企業8万社が中国本土で4万4577件のプロジェクトを実施、1940億ドルを投資し、8000万人の労働者を雇用した。

 間接的な影響も含めると、台湾企業の進出により2億人以上が就職の機会を得たことになる。

 これらのデータを見れば、改革開放初期に台湾企業が果たした経済的役割の重要性は明らかだろう。

■台湾企業の撤退が始まった

 ところが、2008年頃から風向きが変わり、台湾企業は苦境に立たされるようになった。台湾企業は撤退を始め、次々と東南アジアやインドへ工場を移した。

 そのおもな理由は、次のようなものだ。

 ①労働力コストの増加。2007年に「中国労働契約法」が施行され、基本給が上昇し、福利厚生の基準も高まった。これは法律による強制実施であり、台湾企業にとっては製品コストの増加を意味した。1995年と比較して、コストは15倍に膨らんだ。
②外資企業に対する優遇税制の廃止。以前は外資企業の平均税率は13%だったが、新しい納税制度で本土系企業と同じ30%に引き上げられた。さらに、製品輸出時の税還付も17%から13%に引き下げられ、企業利益が減少した。

■6000社あった台湾企業が4000社に減少

 ③人民元の切り上げによる輸出取引コストの増加。
④インフレーションによるコスト増。原材料や燃料の購入価格指数は2003年から28ポイント上昇したが、工業製品出荷価格指数は0.8ポイントしか上がらず、利益が減少した。
⑤ビジネス拡大への制限。土地使用(工業用地)が厳しく制限され、環境保護対策も企業に課される審査項目となった。

 これらの理由により、台湾企業の撤退が加速し、2015年にはピークに達した。

 台湾企業が集中していた広東省東莞では、かつて6000社あった台湾企業が2015年には4000社に減少し、製造業を中心に、破産や海外移転で3分の1が消滅した。

 とくに電子業界で破産した会社が多かった。

 台湾当局の統計数字によると、1991年から2022年までの対中投資金額は2033億ドルで、31年間で平均年60億ドルである。しかし、2023年の対中投資金額は、30億ドルにまで下がったという。

■「偽造品の横行」「企業技術の盗用」が問題に

 台湾企業の破産や撤退によるトラブルは後を絶たなかった。企業が密かに工場売却を進めるなか、労働者たちがストライキを起こし、仕入れ先が支払いを求めて訪れるケースや、社長が夜逃げし、数千人の労働者が一夜にして失業する事態も発生した。

 台湾人社長にとって、優遇税制の廃止や人民元の切り上げなどによる打撃に加え、増え続ける労働者のストライキも不安の一因となった。知的所有権の不備、偽造品の横行、企業技術の盗用も大きな問題だった。

 さらに、ファーウェイ、レノボ、華星光電、京東方科技集団(BOE)など、中国本土の企業が国際競争力をつけ急成長してきたため、台湾企業のシェアが縮小した。

 中華徴信所(CRIF)の調査では、2020年、有力な台湾企業1000社のうち、営業収入が前年比で増加した会社は半分に満たず、税引き前の利益も20%減少した。

■2509項目を輸入禁止にしていた

 2023年4月、中国商務部は台湾の対中貿易制限措置に関する「貿易障壁」について正式に調査を開始した。対象は半導体、農産品、紡績製品、化学工業製品など2455項目に及んでいる。

 2024年1月から調査の結果が少しずつ出ている。同年1月2日に「華夏経緯網」(中央政府系のサイト)は、中国商務部は長期間の調査を経て、台湾の対中貿易の制限措置をめぐる「貿易障壁」の事実があると認定したと報道した。

 調査結果によると、台湾は大陸から農産品、卑金属および製品、紡績原料および製品などを含む2509項目にわたる産品と製品を輸入することを禁止しており、金額は44億8000万ドルに達している。

 対抗措置として、大陸は台湾からプロピレン、パラキシレンなど12項目の商品を輸入する際、ECFAで優遇される税率の適用を中止する。

 この対抗措置は、「台湾の化学工業にとって痛い打撃を与える」と大陸の有識者が言う。事態の推移によって、中国側は台湾側を相手取ってWTOに提訴することも考えているという。

 「中台経済が共に繁栄する時代は終わった」という言葉が、いま双方の経済界で囁かれている。



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邱 海涛(きゅう・かいとう)
ジャーナリスト
1955年中国上海生まれ、上海外国語大学日本語科卒業。父親は国民党による台湾人弾圧「228事件」をきっかけに、台湾から中国へ逃れており、台湾にルーツを持つ。1985年に来日し、慶應義塾大学および東京外国語大学で学んだ後、日本企業で10年間勤務する。1995年、日本に帰化。現在、中国と日本の間で出版や映像プロデューサーとして幅広く活動中。著書に『中国五千年性の文化史』(徳間文庫)、『ここがダメだよ中国人!』『中国大動乱の結末』『中国でいま何が起きているのか』(以上、徳間書店)、『中国セックス文化大革命』(徳間文庫カレッジ)、『チャイニーズ・レポート』(宝島社)など多数。
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ジャーナリスト 邱 海涛

(引用終わり)
現在、ベトナム北部には中国資本の工業団地が乱立してますね
記事内の台湾系企業だけでなく、本土系の企業も脱中国が加速してるのをベトナムに行くと実感します。
大きな港の有るハイフォン周辺なんかは中台企業が脱本土の代替地として特に。中国国境のモンカイから高速道路が繋がり国境から車で2~3時間ですし、中国本土からの船足の便も良いし、しかも元々がサムスン、LGや京セラ等の電子系の集約地が更に電子系に加えて他業種も集約してきてます。加えてアップル辺りも。
逆に中台韓の企業に比べて日系企業の脱中国の動きが鈍いのがねぇ~

中国の経済力を支えていたのは増え続けていた人口、自国産業が未熟で就職先が無い、仕事、産業を得る為に外資優遇する、安い労働力が大量に手に入ると外資がどんどん進出してくる、仕事が生まれ、賃金が生まれ、内需が増え続ける、輸出が増大し続け、外貨を獲得し続け、そのおかげで内需も増え続ける。ここまでが成長局面。人口が減りだし、物価上昇が世界水準まできて、安価で大量だった労働力は高価で少なくなり、規制がひどくなり外資は生産拠点としては脱中国を図りだす。市場としてはまだ魅力だが、職場が無くなる、仕事が無くなる、贅沢になれてしまい、親、祖父母の金をあてにして働かない若者が増大中。ここまでくれば一旦不景気になれば消費も一気に冷え込む。今がまさにバブル崩壊前夜ではないだろうか。親や祖父母が稼いだお金が底をついた後、今の一人っ子達の次の世代あたりがどう生きれるかだね。日本も他人事じゃなかったけど。

中国経済大打撃が不可避とか言ってるけど、もうすでに中国経済は終わってますよ。日本の失われた30年、バブル崩壊なんて可愛く思える位。最悪のシナリオが待ち受けてると経済評論家は言ってますよ。

世界の国々や世界の企業が中国にとっている行動を見て、あなた方はまだ中国が成長できるとお思いですか?

中国大好きな人、そろそろ夢から目覚めたほうがいいですよ。

これ、台湾だけじゃないでしょ
既に数年前から世界有数の外資企業は
中国から撤退している。
残ってるのは日本ぐらいじゃね?
まあその日本も抜け出し作業始めてるけど

それにしても中国は本当に
経済音痴だよね、何をしてもダメダメダメ
いやガチで、スパイ法で外資の首を絞めるような事するし
とにかく自分の事だけでやってる。
これじゃあ切られて当たり前だろって感じ

台湾企業の脱出は良いが、倒産や夜逃げも相当数あると云うこと。
当然、日本企業にとっても他人事では無い。
夜逃げになる前に昼間の脱出を急がないと、後の祭りになりかねない。

少し前には、日本のメディアは中国の外交政策等を日本のそれと比べて長期的視野を持ち戦略的だとか誉めそやしていましたが、現実はこの通りですよね。他国の警戒心や反発、不安ばかり招いていますよね。ヘタ打ってばかりでしょう。習近平に現実に沿った情報や提案を出来る人はもういないんでしょうね。

いや、習近平氏は、毛沢東が作った 清貧ですばらしい、大躍進の
社会主義の中国に復帰するのを、自分の使命だと思っているから
現実の状況を”これでいいのだ”と見ている事でしょう。

なんでこんな平気に嘘つく記事ヤフーニュースーに掲載するのは不思議
中国の「貿易」は台湾という外資に支えられている。たとえば「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業で、中国本土の企業は4社に過ぎない。

輸出金額トップ10企業
1位 中国石油化工股份有限公司 国営企業
1中国石油化工股份有限公司国営企業
2中国石油天然气集团公司  国営企業
3鸿富锦精密电子(郑州)有限公司 民営企業
4英特尔产品(成都)有限公司 イギリス
5中国海洋石油总公司国営企業
6深圳华为公司民営企業
7深圳富士康公司 (台湾)
8中国中化集团有限公司 国営企業
9华为终端有限公司 民営企業
10达丰(上海)电脑有限公司 民営企業

オモシロイ人たちが住んでる国では、嘘だろうがなんだろうが売れる記事が良いなのです。
お互い様ですね、w

経済が破綻する直前にはそれを打開しようとして、戦争が起こる可能性が高まる。それが今の台湾海峡問題。なんとか先延ばしにしてもらいたい。

台湾企業が中国本土から脱出する傾向が強くなると、中国政府は
脱出する行為に対し適当な理由で中国政府に対する違法な反逆行為と
決めつけ台湾進攻を早めるかもね。

日本にしろ 台湾にしろ
中国に対しては 一刻も早く
渡航禁止命令を出すぐらいの必要性が
あるのでは ?

社員の安全を軽視する経営者が
未だに 存在するのだから

台湾企業がインド、ベトナムに移転して成功すればいいが

大陸に旨みは、もう完全になくなったってこと、早く撤退を

弱腰外交と言われる前に
日本も早く中国から離脱せねばー

台湾企業が根幹〜 笑

そりゃそうだわな。あれだけ軍事的に圧力を掛けられて、台湾侵攻の可能性を思わせられたら、有事を憂いて、他国に工場をシフトするのが当然だ。日本の熊本に工場進出してきた台湾企業もあるが、日本は大歓迎だ。どんどん中国から去ればいい。

夜逃げだね!

日本に好都合じゃないか。よかったね。

定期便のような崩壊論(笑)

中国崩壊論が出始めてどの位立つのだろう。
10年以上前から言われている様な気がする。
北朝鮮もそう。
ロシアもいろいろ言われながら、戦争を続けられている。
国民に犠牲を強いる事が出来る専制国家はしぶとい。

とはいえ、備えは怠ってはいけない。


日本には真の経済専門家がいない。
この記事のレベルは幼稚園以下。

どこの国の経済専門家も一緒。                                   
世界中のどの専門家も2008年に発生した、リーマンショックを予見できなかった。        
経済専門家の言う事ほど信用できないものはない。               
30年間株取引をしてきて分かった事。