[寄稿]朝鮮半島の安全保障は抑止だけでは成り立たない
ハンギョレ新聞
24/2/20(火) 8:49配信

 米国内で朝鮮半島危機論が台頭している。「ラジオ・フリー・アジア」によると、今年1月、米国内で北朝鮮関連の検索語で最も多かったのは「北朝鮮との戦争」あるいは「北朝鮮は戦争を準備しているのか」だった。ウクライナとガザに続き、次は台湾ではなく朝鮮半島という予想が相次いでいる。それだけコリアリスクは大きくなり、韓国証券市場も下落傾向を示した。

 韓国政府の態度は断固としている。韓米同盟と韓米日軍事協力を通じて十分な対北朝鮮抑止力を備えており、北朝鮮の核・ミサイルによる脅威に対しても韓米の拡大抑止を通じて体系的に対応しているため、安心しても良いということだ。米国政府関係者や専門家らもまた、南北間で微々たる軍事衝突の可能性を排除することはできないが、既存の韓米抑止力で大規模な戦争の勃発を抑止し、朝鮮半島の現状維持を安定的に管理していけると評価している。

 しかし、依然として反対意見も根強い。最近、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の戦争決心論を提起し注目を集めたミドルベリー研究所のロバート・カーリン研究院とジークフリード・ヘッカー博士は、韓国と米国が「抑止力の催眠にかかった」と指摘し、これを越える新しい代案を模索しなければならないと注文した。事実、抑止(deterrence)という用語は「恐怖から抜け出す」(de-terrere)という言葉に由来する。しかし、韓国と米国の強力な抑止力にもかかわらず、朝鮮半島の安全保障をめぐる不安と恐怖はむしろ膨らんでいる。いわば、抑止に逆行する現象だ。なぜだろうか。

 対北朝鮮抑止戦略の性格の変化にその一次的な原因を見出すことができる。韓国と米国の伝統的な対北朝鮮抑止戦略は、北朝鮮が韓国に軍事行動を敢行した時、得るものより失うものの方がはるかに多いことに気づかせる「エスカレーション管理」(escalation management)に基づいてきた。しかし、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後に強調されているのは、北朝鮮の挑発があった場合、戦争拡大を甘受してでも圧倒的な被害を与えうると誇示する「エスカレーション優位」(escalation dominance)戦略だ。先制攻撃や大量報復、斬首作戦など、積極的または攻勢的な性格の抑止の手段が代表的な事例だ。韓米間の拡大抑止の論議が制度化される中で強化された対北朝鮮核抑制力もまた同じ脈絡だ。

 特に、韓国と米国は軍事的抑止にとどまらず、「完全かつ検証可能な不可逆的な非核化」(CVID)のように外交、軍事的手段を通じて北朝鮮の政策形態を変更しようとする強圧(compellence)戦略も同時に追求している。このような攻勢的抑止と強圧戦略に対し、北朝鮮は核・ミサイルの戦力強化などを通じて対抗している。このように作られた強対強の構図の下で、軍事力拡充競争は激化し、戦略的不安定は高まるものだ。

 抑止と再保障(reassurance)の間の矛盾も、対北朝鮮抑止力の逆機能をもたらす要因だ。抑止力は国家ごとに認識の差が大きいため、対北朝鮮抑止力に対して合理的充分性を客観的に測定することは難しい。米国の国防当局者たちは、概して北朝鮮に対する通常兵器および核の抑止力で十分だと考えている。驚くべきことに、北朝鮮も同じ考えを持っているようだ。自分たちが少しでも弱みを見せた場合、米国にはいつでも平壌(ピョンヤン)を打撃する能力と意図、意志があると信じている。このため、韓米合同演習の強化や朝鮮半島における戦略兵器の配備など、米国の対北朝鮮軍事態勢が少しでも強化されれば、北朝鮮はこれに必要以上に敏感に反応してきた。核・ミサイル戦力の増強も同じ脈絡だろう。

 しかし、韓国では米国の対北朝鮮抑止力と安全保障へのコミットメントに対し、ほとんど常に懐疑論が絶えない。核の拡大抑止を強化せよという持続的な要求がこれを反映している。そのうえ、米国の国内政治の可変性も、このような疑念を増幅させている。韓国の疑念と不満をなだめるために、米国はさらに強力な再保障措置を取ることになり、これは再び北朝鮮の強い反発につながる。この悪循環が結果的に朝鮮半島の戦略的安定を損ねる。米国が韓国の安全保障へのコミットメントを明確にしながらも、同時に北朝鮮を先に攻撃する意図がないことを確信させる「二重安全保障(double assurance)措置」は、実行することが極めて難しい課題だ。

 このようにみると、軍事的抑止力の強化だけでは、朝鮮半島における戦争を予防し、平和と安保を一挙に保障する万能薬にはなり得ない。厳密にいうと、安全保障をめぐる不安を一時的に軽減するための一時しのぎの策に近い。朝鮮半島の戦略的安定を模索するためには、まず安全保障のジレンマの果てしない悪循環を最小化できる抑止の方法を考えなければならない。同時に、抑止と強圧を跳び越える新しい想像力が必要だ。安定した安全保障と平和を構築するために、抑止と交渉の両翼が必要だという国際政治学の昔からの命題を振り返らなければならない時だ。                                             ムン・ジョンイン|延世大学名誉教授

(引用終わり)
何だこの記事は。
抑止だけでは成り立たないから、別の事も考えろだ?
ご自分で考えて下さい。

毎度の両班文でよく理解できません。
結論は「抑止と強圧」から「抑止と交渉」に切り替えろという理解でよろしいでしょうか。
「交渉」は実現できそうですか? どのようにして? 前大統領のように尻尾を振って?

>軍事的抑止にとどまらず、「完全かつ検証可能な不可逆的な非核化」(CVID)のように外交、軍事的手段を通じて・・

久々に見たよ、「CVID」。
北も南も論点をズラして誤魔化そうとする連中だから
こうやって核心点を明確化しないとね。
とはいえこのCVIDも、いつの間にやらウヤムヤにされたけど。

抑止と交渉と言うが、この相手は交渉にどれだけ耳を傾けるのか?底が問題だと思う。
何しろ、自分の意にそぐわなければ腹違いとはいえ、自分の兄を暗殺してしまう人間が指導者の国ですからね。
もちろん、抑止は必要だと思うし、日本がいずもとかがの空母化は北朝鮮や中国にはかなりのインパクトになっていると思います。
特に航空戦力が脆弱な北朝鮮にとってミサイル(核を含む)で先制しても制空権を取られたらミサイルを打とうにも打てなくなると思う(準備してる間に発見され攻撃されると思う)。
さらに、先制で核を使ったら流石に中国も支援し難くなると思う(中国は戦後の対応も考えると思うから)なので、孤立をする様な事は国としての判断では出来ないとはおもうが・・将軍様の暴発は危ういですね。

「安定した安全保障と平和を構築するために、抑止と交渉の両翼が必要だ」。結局は、この「抑止と交渉の両翼」に尽きると言うことだろう。

イスラエルとガザの現状を見ても、軍事的抑止力では根本的解決には至らないのは明らかだ。圧倒的軍事力を持っていても、イスラエルの人々はハマスの反撃に怯えな続けなければならない。

パレスチナ情勢がイスラエル次第の部分が大きいように、朝鮮半島情勢は米国次第の部分が大きい。北朝鮮は韓国への侵略的統一などできるとは考えていないだろう。米韓軍による金王朝の破壊に怯えて虚勢を張るしかないのだと思う。

韓国も日本も米国と北朝鮮に関係改善を促し、朝鮮戦争の休戦状態を終戦に持っていくように促すべきだ。

韓国も、北朝鮮も角度は違えど、ある意味崖っぷちの状況にあるのは日本を始め第三国からみれば明らか。その当事国が、現状打破の為にアクションしている状態で、それぞれのスタンスは『対決』で一致している。ならば、両国の自立性を許容するスタンスはあながち誤りではない。日本は韓国と日韓基本条約を締結している手前、表向き朝鮮半島内唯一の国家としては韓国のみを認めているが、事の展開によっては、北朝鮮を実質的な自立国家として認める方向性は既に日本社会の中にはいつ定着してもおかしくない状況にある。相手憎しの政策だけでは、前進の展望が無い故、国際社会は中国同様、投資引き上げ、支援見直しを止む無しの思考が支配的になっていくだろう。


抑止と交渉の両翼が必要なことに異論はありませんが、日本も韓国も革新派は、中国や北朝鮮に対して抑止力が必要とは、主張しませんよね?

で、具体的にはどうするの。
耳障りの良い原則論を述べるだけなら、卑怯だ。

半島統一は、何時かあるかもしれない。何しろ歴史上単独で独立したことがほんの少しの民族だから夢は独立ではないのか。
それなのに国連軍だ、中共だ、関係無い日本だなどと言っていることがおかしい。自分達で解決すればよいのだ。

半島で起こるのは内乱だ。色を付けても内戦でしかない。
動乱時と違って、中国も米国も厄介者に過ぎなくなっている。アホな日本政府がアメリカの思惑に忖度しているが、拉致問題以外どうということのない金王朝と事を構える必要などない。

日本は、傍観者で良い。南北統一のための内乱をじっと見ていることだ。
動乱時には1万人程度の避難民?があって九州では大変だった。次回は、そんな人数ではないだろう。

韓国の防衛ほかは、韓国が考え自分たちだけでやればよい。人の力を借りてドイツ、ベトナムは統一したのだろうか。
日本は半島には二度と手出ししてはならない。慰安婦、強制労働と虚言癖にはうんざりだ。

朝鮮戦争が再開されるのは、予定されたことで、自明ですらある。
朝鮮半島での戦火は必然だ。
緩衝地帯としての責務をきちんと果たせばいい。